2026年04月19日
九皐会別会「葵上 古式」


4月26日(日)、観世九皐会別会にて「葵上 古式」を演じます。「葵上」は、今まで二回演じておりますので、今回は「古式」という珍しい演出に挑戦いたします。
「葵上」は、能を代表する人気曲です。「源氏物語」を題材とし、華やかな装束と美しい詞章で平安貴族の世界を堪能できます。
主人公は、六条御息所。源氏物語のなかでも、その美貌と知性と身分の高さでは、トップクラスです。その貴婦人が嫉妬に狂い、理性では抑えら切れない感情が爆発し、最後には般若の形相となって恋敵の葵上に襲い掛かります。凄惨な物語ですが、その過程には様々な人間ドラマがあります。
六条御息所の、美しさ・激しさ・悲しさ。色んな感情が入り乱れた複雑な心を、上手く表現したいと思います。
「葵上」は人気曲ゆえ上演頻度も多く、小書(特殊演出)も多くあります。その中で「古式」は、最近作られた演出で、最も面白い小書と言われます。世阿弥著の「世子六十以後申楽談議」にある記述を元に新たに考案されました。
能は省略の芸能なので、年月が経つにつれ様々なものを省略してきました。「葵上」も本来もっと派手で賑やかなものだったものが徐々に省略されて今の形になったと言われます。
「古式」という小書では、実際に車の作り物を出し、「青女房」というツレが登場します。
賀茂の祭りの車争いで葵上の取り巻きに牛車を壊された恨みが、「破れ車」という壊れた車に乗って登場することによって強調されます。
また、ツレが複数出ることによって視覚的にも華やかになり、侍女を伴って現れる六条御息所の存在感が際立ちます。
他にも様々な新しい演出を加え、「古式」ではなくもはや「新式」と言っても差し支えないほどです。今回も、少々新しい試みや自分なりの解釈も取り入れて、演じたいと思います。
狂言は、人間国宝・山本東次郎師による「二人袴」です。現代狂言界の最高峰の至芸をお楽しみください。
もう一番の能は非常に珍しい能の「咸陽宮」です。秦の始皇帝の暗殺を企てる刺客と始皇帝との、緊迫した戦いが見どころです。シテ、ツレはもとより、ワキ、ワキツレが大活躍する活劇です。
あと、一週間。しっかり稽古して臨みたいと思います。