インドから香港から、日本の能楽堂に集合

2026年03月17日

三井記念美術館「在原業平と伊勢物語」

1774835303414

三井記念美術館にて開催中の「在原業平と伊勢物語」に行きました。

能ではおなじみの伊勢物語。
「井筒」「杜若」「雲林院」「小塩」「隅田川」など、様々な能が伊勢物語に題材をとっています。

興味深い展示の数々を堪能しました。

最近の美術館は、SNS拡散をねらって一部を撮影OKにしています。

MP

これは、有名な「杜若」の屏風絵です。中央の橋げたが、いわゆる八ツ橋です。


MP

これは、「ちはやぶる神世もきかず龍田川」の和歌で有名な「龍田川」の屏風絵。
能「龍田」でお馴染みです。

MP
これは、「筒井筒」の屛風絵。
能「井筒」でお馴染みの、井戸のそばで遊ぶ幼馴染の男女が、やがて思春期となりお互いを意識して、和歌を送って結ばれるという、甘酸っぱい物語。
在原業平の初恋物語です。

MP

でも、やがて高安の女に浮気する在原業平。妻の紀有常の娘が、夜中に龍田山を越えて行く業平を心配する和歌を詠むのを、業平はこっそり聞く場面です。


いやあ、楽しかったです。
「伊勢物語」は、和歌物語なので、様々な和歌が登場します。

色々な和歌が展示されていましたが、結構知っている和歌が出てきます。
何で知っているのだろうと思っていたら、「ああ、能に出ている」からだと気が付きます。

例えば、伊勢物語第23弾「筒井筒」に出てくる和歌
「筒井筒 井筒にかけしまろが丈 生ひにけらしな妹みざる間に」
「比べこし振分髪も肩過ぎぬ 君ならずして誰かあぐべき」
「風吹けば沖つ白波龍田山 夜半にや君がひとりゆくらん」
など、全部能「井筒」に登場します。
「井筒」は他にも第4段の「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」など、色んな和歌が登場します。

第9段「八ツ橋」の和歌
「唐衣着つつなれにしつましあれば はるばるきぬる旅惜しぞ思ふ」
は、能「杜若」に出てくるし、

第9段4「東下り」の和歌
名にしおはば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」
は、能「隅田川」に出てきます。

能「小塩」のクセは和歌の宝庫
「春日野の若紫の摺衣 忍の乱れ限り知らずも」(第1段)
「陸奥の忍もぢずり誰ゆえに 乱れ染めにし我ならなくに」(第1段)
「武蔵野は今日はな焼きそ若草の 夫も籠れり我もまた」(第12段)
他にも、前述の「唐衣」の和歌など、次々に伊勢物語の和歌が出てきます。

他にも「伊勢物語」に直接関係ない能でも、例えば第50段「行く水に数書く」に出てくる
「行く水に数書くよりもはかなきは 思はぬ人を思ふなり」は、
能「水無月祓」に出てきます。

この和歌が展示の絵に描かれているのを見て、「ん? 聞いたことあるぞ、そうそう水無月祓に出てくる和歌だ!!」と分かると、なんだか嬉しくなってきます。

和歌以外にも、例えば伊勢物語の第1段「初冠」の冒頭
「昔、男」、初冠して、平城の京、春日の里に、知るよしして狩りにいにけり」
は、「杜若」のサシに出てきます。

また、能「雲林院」のクセに出てくる「芥川をうち渡り」は、第6段「芥川」であったかと気づいたりと、いろいろ勉強になりました。


謡曲15徳というものがあります。
「謡曲を稽古すると、こんな得ですよ」というものがまとめられています。

その中に「習わずして歌道を知る」というのがあります。

私はまさにそれを実感しました。
能の謡をそらんじているおかげで、知らず知らずのうちに様々な和歌を知ることが出来ています。そして、伊勢物語や源氏物語を読んだ時、どれだけその知識が役に立っていることでしょう。



kuwata_takashi at 22:00│Comments(0)

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
インドから香港から、日本の能楽堂に集合