シンガポールから日本へ能を学びに9月九皐会「阿漕」

2025年08月14日

「深川八幡祭 能奉納」御礼

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今年も、「深川八幡祭 能奉納」をつとめました。
2009年に始めたこの能奉納も、17年目を迎えました。2020年と2021年はコロナ禍により奉納行事全てが行われませんでしたので、今回が15回目の節目の能奉納となりました。
これだけ長年、能奉納をさせていただき、有難く思います。

今年も上の写真のように、境内を立ち見客で埋め尽くすほどの多くのお客様にお運びいただきました。
ご来場くださいました方々にこの場を借りて御礼申し上げます。

連日猛暑が続きますが、この日は奇跡的に曇り空で暑さもそれほどではありませんでした。
最高気温は32.5度。それでも充分熱いのですが、先週のように連日35度を超える猛暑の日々に比べるとずいぶん過ごしやすかったです。
有難いことに、能奉納が始まる午後5時頃には、かなり涼しくなっておりました。


最初は、いつものように私が指導しているお弟子さんの発表です。
フレッシュな初舞台の方もいらっしゃいまして、賑やかに奉納出来ました。
社中の方からすれば、これだけ多くのお客様の前で演じるのことはそんなにないことです。良い経験となることでしょう。

長男・潤之介(19歳)は仕舞「菊慈童」を、次男・大志郎(18歳)は仕舞「嵐山」を舞いました。
夏休みになってからの短時間で稽古しました。

もうすっかり大人なので、大人の弟子と同様の稽古をしました。
子供の頃の、「褒めて伸ばす」は卒業です。

二人とも、堂々と立派に舞っていました。

最後に、私が半能「敦盛」を舞いました。
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「敦盛」は、学生能などで舞う機会も多い能です。
何度も演じていますので、謡や型に不安はありません。

今回は野外の舞台で、さらにお客様も能を見慣れていない方が多くいらっしゃいます。
常より型を増やし、袖をかける回数を多くし、派手にやってみました。
ただ、派手にやりながらも雑にならないように、丁寧に演じました。

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この能奉納の舞台は、特別です。
能を見たくてお運び下さったお客様もいますが、「お祭り見物に出かけたら、何かやってるから見てみよう」と、足を止めてご覧いただいている方々も多くいらっしゃいます。
中には、生ビール片手に能を鑑賞なんて(羨ましい)方もいます。

そういう方々に、「ああ、能って初めて見たけど結構おもしろいなあ」なんて思ってもらえれば、こんなに嬉しいことはありません。
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数年前、こんなことがありました。

8月14日に「能奉納」を演じた翌日、バリ島のガムランを奉納するグループ「深川バロン倶楽部」に出演しました。
最近はお休みしておりますが、実は私は、以前はこのガムランのグループに所属して奉納にも出演していたのです。

バロン俱楽部の奉納が終わった後の宴会の席のことです。
同じテーブルに、メンバーの方が連れてきた見慣れぬ人がいました。

はじめて会うその人としばし歓談していたら、こんなことを言います。
「最近、舞台芸能が大好きななんですよ。昨日も、富岡八幡宮で能奉納を見てきました」

私はにんまりして、聞いてみます。
「へえ、能奉納を見て、どう思いました?」

「とても面白かった。カッコよくて、もう感動しました」

私は嬉しさがこみあげてきます。
「そりゃあ、そうだろうねえ。能は面白いよねえ」

周りの方が口添えしてくださいます。
「昨日、能奉納をやってた人は、この方ですよ」

「私は実は、本業は能楽師です。昨日舞っていた能面を取ると、この顔が現れますよ」

その方は、これ以上はないという驚きの顔を浮かべ、椅子から転げ落ちそうなくらいびっくりしていました。

これは、本当に嬉しい体験でした。
こうやって、ふらっと見た人が能を面白いと思ってもらえることほど嬉しいことはありません。


終演後、フォトセッションタイムです。
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上演中は写真撮影禁止ですが、この時間は撮影OKです。
お客様から、一斉にカメラ・スマホを向けられました。
こうやって、能を見た思い出を家族友人に語る。また、SNS等で拡散することによって、能に親しんでもらえれば嬉しく思い、二年前からこういう試みを行っています。

装束を着た私が、フォトセッションの司会をやるのも間が抜けているので、長男に司会進行をやらせました。
はじめてマイクを握ったはずなのに、よどみなく喋っています。
長男の成長ぶりも感じられました。



kuwata_takashi at 22:00│Comments(0)

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