緑泉会「源氏供養」御礼 2024年

2024年12月14日

「源氏供養」御礼

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緑泉会「源氏供養」、首尾よく出来ました。

今年は大河ドラマ「光る君へ」の影響で源氏物語ブームの年でした。
その一年を締めくくりとして、能「源氏供養」に挑みました。

源氏物語をもとにした現行曲は、「半蔀」「夕顔」「葵上」「野宮」「須磨源氏」「住吉詣」「玉鬘」「落葉」(金剛流のみ)「浮舟」「源氏供養」と10番あります。

「源氏供養」以外の9番は、源氏物語の登場人物がシテとして登場しますが、この「源氏供養」のシテは、作者の紫式部です。



紫式部が現れて、登場人物の光源氏の供養をお願いする、けっこうすごい内容の能です。

本来の「源氏供養」は、狂言綺語(嘘いつわりの物語を書いて大衆を惑わせる)を行ったがゆえに成仏できない紫式部を供養する法要なのです。
しかし、能では光源氏を供養することで紫式部を成仏させる内容になっています。

源氏物語の作者が現れて、源氏物語の内容を語る能です。
好きな能なのでいずれ演じたいと思っていましたが、今年は絶好のタイミングと思い、今回満を持して緑泉会にて舞う機会をいただきました。

お客様から、石山寺のお札をいただきました。
きれいなお札だったので楽屋に飾りました。
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一年間、大河ドラマ「光る君へ」を楽しんできました。
紫式部のイメージは、どうしてもドラマで演じた吉高由里子さんのイメージが強くなります。

なんとなく吉高さんのイメージで紫式部を演じてみました。

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前場は、白っぽい唐織を着ました。
清廉潔白なイメージの紫式部となります。

前場が終わった後、普通の能は中入で間狂言が始まります。
間狂言の間に後場の装束に替えるのですが、この能は間狂言がありません。

ワキがワキツレと短い掛け合いの後、待謡となってすぐ後シテの登場です。
その間は、5分もありません。

楽屋ではしっちゃかめっちゃか大忙しで装束を替えて、慌ただしく後場の舞台へ出ていかなければなりません。
楽屋は忙しくて大変なのですが、お客様からしてみれば間狂言の無いスピーディーな展開は良いものでしょう。
全体の流れがコンパクトになるように思います。

後場の装束は、紫式部をイメージして紫地に源氏香の図柄をあしらった長絹を羽織りました。
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兄弟子が所有している長絹を、拝借しました。
以前より、「源氏供養」にはこの長絹を着たいなあと温めていた装束です。

後場は、仕方の多い能です。
まず、ワキに巻物を授けて弔いを促し
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その後、長大なクセの舞となります。
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能「源氏供養」のメインは、このクセの舞です。
源氏物語の巻名が次から次へとと出てくるクセの詞章は、聞いていて楽しいものです。

空蝉の。空しきこの世を厭いては。夕顔の。露の命を感じ。若紫の雲の迎へ末摘花の臺に座せば。紅葉の賀の秋の」

こんな具合に詞章が続きます。下線の言葉が源氏物語の巻名です。
源氏物語ファンにはたまらない舞です。

このクセの舞は、節付けや拍の当たりも難しく、また舞いにくさも随一です。
型が多く、また謡と動きの兼ね合いが難しい舞です。

あるところは、謡に対して型が少なく、謡が余って間が持ちません。
そうかと思うと、次の段落は謡に対して型が多くてとても忙しい。

それを、うまく平準化して違和感なく舞を構成しなければなりません。
事前に舞い込んで、スムーズに舞えるよう心掛けました。


自分でも、舞っていて楽しい能でした。
こんな絶好のタイミングで、「源氏供養」を演じることが出来たことを嬉しく思います。

写真 駒井壮介
無断転載厳禁



kuwata_takashi at 22:30│Comments(0)

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