2024年03月10日
「大江山」御礼
若竹能「大江山」無事終わりました。
冷たい雨の中でしたが満員のお客様にお運びいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
今年の若竹能は、「山光水色」をテーマに山と海の景色を描きました。
まず2月は、山にちなんだ能の上演です。
初番は「吉野天人 天人揃」4人の天人が登場して、吉野山の美しい桜景色の中、華やかに舞いました。
その後が「大江山」です。
「大江山」は、5人の武士が勇ましく現れて、酒呑童子という鬼と戦うと言う、賑やかな能です。
どちらの能も派手で、楽しい内容でした。
私が演じた「大江山」は、おとぎ話のような能です。
前半は、お酒好きな童子という出で立ち。
「明け暮れ酒を好きたる」とか「酒ほど面白きものはなく候」
などと言いながら、ワキにお酒をお酌されて、喜んで呑んだくれます。
何だか、とても親近感のわく役どころです。
楽屋では「ピッタリな役だなあ」とからかわれました。
酔っぱらった酒吞童子は、自分の生い立ちを語って楽しそうに舞を舞います。
実は恐ろしい鬼なのですが、前場では楽しそうな雰囲気を出すように心掛けました。
ただ、無邪気な童子の装いの中にも、鬼としての強さを内在させて、謡い舞わなければなりません。
この日に着た厚板唐織は、大江山の時によく用いられる観世喜之家の名品です。
華やかな色彩の中にも、強い柄の模様が映えています。
後場は、酔っぱらって寝ているところを、ワキ方5人で構成される源頼光一行に襲われます。
鬼神の本性を現した酒吞童子と、源頼光たち5人の武士たちが勇ましく戦います。
この辺りの戦いは、キチンと型が決まっておりません。
その都度、相談してきめます。
今回のワキは、長身で身体能力の高い福王和幸師でした。
私と背丈も合うので、戦っていて見栄えがします。2人で、動きを相談して派手な型で戦いました。
鬼神を5人がかりでやっつけるのは、昔からゴレンジャーなどの戦隊物シリーズのお約束です。
舞台狭しと動き回り、結局やられてしまいます。
5人がかりで切り付けられた酒呑童子は、
あえなくやられます。
今回は、派手に仏倒れという型で最後シメました。
身体を直伸したまま、後ろに倒れるという大技です。私のような大きな体躯の者がやるとド迫力です。
結構危険な型で、過去には脳震とうをおこしたり、首の骨を折った人までいます。
今回は、きれいに決まりました。
実は、仏倒れをする前はけっこう怖かったのですが、上手く決まってホッとしています。
これだけ派手な立ち回りを見せたので、最後も華々しくやられようと、意を決して挑みました。
上手く倒れたので、頭は打ちませんでしたが、背中が少々痛い。。。
写真撮影 駒井壮介
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kuwata_takashi at 23:00│Comments(0)│