2024年01月03日
香港から 3
香港にて、能の稽古に励んでいます。
さて、まず香港で能のワークショップを開催することになったいきさつです。
2019年の12月頃、一通のメールが届きました。
ウィリアムと名乗る香港の方からの突然のメッセージに最初は警戒しました。
メッセージにはこう書かれていました。
「自分は、香港でアンディとウォルターに演劇を習っています。彼らからよく能について聞いています。私は香港で演劇トレーニングのワークショップを企画しています。あなたにぜひ香港に来てほしい」
アンディとウォルターは、私が2002年にシンガポールの演劇学校「Intercultural Theatre Institute」で能を教えた学生でした。20年前は、若い役者の卵でしたが、現在は演劇学校で講師をするほど立派な役者になっています。
20年以上シンガポールで能を教えてきたことから、こんな風に他の国まで広がったことを嬉しく思います。
私は二つ返事で了承し、具体的な日程調整を行いました。
当初は、2020年の秋ごろという話でしたが、とても2週間も香港に行く日程を空けられません。
ダメもとで聞いてみませした。「年末年始なら、日程が取れます。でも、その期間だと人があつまらないですよね」
返事は驚くものでした「香港では、新暦の正月は別に何の変わりはない。ワークショップを開催することに何の問題もない」
そうか、香港も旧正月を祝う文化なんだった。
そういう訳で、いったんは2021年の正月に開催することが決まりました。
しかし、コロナ禍によりやむなく延期となり、ようやく3年遅れで今回の訪問に至ります。
ここ香港でも能に対する注目はそれなりにあるようです。30人の定員は、すぐ埋まったそうです。
そんなこんなで、1月2日から、2週間(10日間)の能のワークショップが、いよいよ開催されました。
外国人に能を教えることは、シンガポールでのノウハウがあるのでスムーズです。
ただ、演劇学校で教えていたシンガポールと違い、今回は一般募集から応募してきた参加者を対象に指導します。それなりの難しさがあります。
学校では、ある程度生徒間のコミュニティが出来ているので、そこにうまく入っていけば、稽古はやり易かったです。
今回は、中には元からの知り合いもいますが、お互いに初対面の人たちが大半のようです。
そんな中では、まずはワークショップのクラスの雰囲気づくりから始めなければなりません。
ただ淡々と能の稽古をしても面白くありません。
楽しく稽古できるように、様々工夫しなければなりません。
そうして、一人でも多くの参加者に「能って、面白いなあ」と思ってもらいたいなあと思います。
このワークショップの参加者の中から、次のアンディとウォルター(今回私を招待してくださった方の先生)が出てきてほしいなあと思います。
kuwata_takashi at 23:30│Comments(0)│