九皐会「玄象」仕事納め

2023年12月10日

「玄象」御礼

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観世九皐会「玄象」、無事に終わりました。
今年最後のシテの舞台です。なかなか楽しめた舞台でした。

この能の後シテは村上天皇です。観世流の現行曲で、実在の天皇陛下をシテとする能は「玄象」だけです。
琵琶の名手として名高い村上天皇を演じるなんて、何とも恐れ多い気分です。

この能で、村上天皇はさすが実在の天皇陛下らしく、人間を超えた存在として扱われます。
村上天皇が海に向かって「いかに下界の龍神確かに聞け。獅子丸持参仕れ」と命令すると、龍神が獅子丸という琵琶の名器を携えて颯爽と現れ、藤原師長へ琵琶を授けると、勢いよく帰っていきます。

自分の一声で、海中から龍神が飛んでくるのを床几にかけて悠然と見送るシーンなど、たいそう気持ちの良い場面でした。

前シテは、村上天皇の化身である老人です。気品をもって謡い、所作をしなければなりません。

田子という天秤型の桶を持って現れますが、この桶の扱いがとても難しいのです。

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最初はこの格好から、


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この様に持ち替え、

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この様に桶を倒して海水をすくう型をします。
結構複雑な所作です。これを能面をつけてほぼ見えないまま持ち替えて型を決めます。
想像以上に難しい場面ですが、首尾よく出来ました。

また、前シテは琵琶をひく場面があります。
扇を開いて左手で持つだけで、琵琶をひいているように見せます。
能らしい演出だなあと思います。

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後場は、舞の名手でもある村上天皇が華やかなイケメン貴公子として登場します。

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優雅にエレガントに舞います。

この日のもう一番の能は「江口」でした。
「江口」で舞う序之舞と、「玄象」で舞う早舞は、型や動きがほぼ一緒です。
こういう場合、早舞の方を替の型でやることがあります。

今回、特別にお願いして替の型でさせていただきました。

替の型では、回転が増え、型も多くなります。舞に自信がない人は舞ってはいけないことになっています。
決して舞に自信があるわけではありませんが、替の型で舞うのは楽しいものです。

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早舞の最後の方で、両袖をキリリとはね上げるところなど、結構いい気分です。

琵琶と舞の名手と名高い、イケメン貴公子の村上天皇。
こんな美味しい役を演じられるのも、能の醍醐味です。


kuwata_takashi at 23:30│Comments(0)

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