2023シンガポール第2便 8深川能舞台 15周年

2023年03月16日

2023シンガポール第2便 9

昨日の発表会の後、皆で記念写真を撮りました。最初は晴れがましい顔で。
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次は、「面白い顔で」とリクエスト
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なかなかのヘン顔です。


一夜明け、今日は評価とミーティングの日です。
またこの日がやって来ました。
学生たちとお別れのをする日です。

学校なので、採点をしなければなりませんが、落第点を取る学生はいません。
素晴らしい成果が得られたITI能クラスの9週間でした。

私は学生たちにこのようなことを言いました。

私が、最初に来た2月13日を覚えているかい。
その日に自己紹介を兼ねて一人一人、仕舞を舞ってもらったね。これまで喜正先生が教えてきた4週間の成果を見たいと思ったんだ。1年生から始めたよね。その仕舞を見て、あまりに出来ないのでビックリした。その後、2年生3年生4年生と学年が上がるにつれ、上手になっていくので驚いた。
能は、1月に一斉スタートだったのに、こんなに差がつくものなんだね。それは、つまりこの学校のトレーニングが優れている証拠なのです。
やはり入学したての1年生(シンガポールは1月が新学期)は、訓練が圧倒的に不足しているし、12月に卒業した4年生は、さすがに様々な経験を積んでいるだけのことはある。
この学校で学んでいる、身体訓練や発声訓練などは、どんな劇をやるにも基礎となるのでしょう。この学校で学んでいる、能の他の3つの古典演劇(京劇・クーリヤッタム・ワーヤン・オン)も、基本的に根っこに流れるものは一緒のはずです。それらを総合的に訓練できる、この学校のカリキュラムのすばらしさを実感しました。
身体トレーニングの基礎をキチンと積んだ者は、どんなものを演じても、キッチリ出来ることをみんなは示してくれました。

あと、君たちは身体能力は抜群だから、能の舞の部分に関しては、出来ることは分かっていました。この学校で指導するようになって21年たちます。その経験から疑いもないことでした。
だから、今回はそれ以外のことをうるさく注意したね。
「ただ立つ」「ただ座る」「ただ歩く」
これがどんなに難しいか、分かってくれたと思います。
京劇などで、とてもアクロバティックな動きをしていると思う。だから能では、動かない演技をキチンと学んでもらおうと思いました。


そんなことをしみじみと語りました。
本当に、素晴らしい学校と学生たちです。

能の立ち役が出来ることは当然として、地謡の謡いっぷりも堂々としたものでした。
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短縮版とはいえ、1曲30分以上かかる能の間、学生たちは身じろぎもせずに正座して謡っています。
30分動かずに正座が出来る日本人が、どれほどいるでしょうか。

「もし、全く知らない人が昨日の能を観たら、日本語がわからない外国人が演じている能だなんて、誰も思わないでしょう」
最大の賛辞を学生たちに送りました。


ミーティングが終わると、恒例の大宴会。

楽しい時間は、やがて終わります。
でも、この9週間の能クラスで得たものは永遠に残ります。
それは教わった学生はもちろん、教えた私にとっても大きなものでした。

宴会の時、ある学生がこんなことを言いました。

「能のクラスが終わって直ぐに、もっともっと能が学びたいと思った。こんなことは初めてです」

とても嬉しいことを言ってくれます。
「私も、君たちにもっともっと教えたいよ」

何人の学生が、日本に行って能を稽古したいと言ってくれます。
私は、いつでもおいでと言いました。

「君たちだったら、いつでも教えるよ。お金なんていらない」
「条件はひとつ。君たちの稽古は疲れるから、稽古の後マッサージしてね」
そう言うと、さっそく肩をもんでくれました。


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色んな事がありました。
コロナ禍で2年延期になった能クラス。3年生と4年生は、ずっと楽しみにしていたそうです。
大いなる成果を得て、無事に修了することが出来て、本当に良かったです。

締めの写真は、能「紅葉狩」で出番を待つ鬼女たちです。
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9週間の能クラス、お疲れさまでした。
再会の日を楽しみにしています。


kuwata_takashi at 23:30│Comments(0)

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