2023年01月08日
「翁」 四回目の千歳

1月8日は、観世九皐会の初会。
毎年恒例の「翁」の上演があります。
「翁」は、能にして能にあらずといわれます。ほかの演目とは違い別格の扱いです。
昔は、一座の太夫や長老しか演じることはありませんでした。
内容は、ストーリーのようなものはなく、祝祭の儀式といった感じです。
主に、正月や特別なお祝い事の時に上演されます。
「翁」の上演の前には、出演者は精進潔斎をし、楽屋には「翁飾り」という神棚がしつらえられます。
何とも言えない独特の神聖な雰囲気に満ちております。
今年の初会の「翁」を勤めたのは、小島英明師。今回は披き(初演)です。
「翁」の露払い役として「千歳」という役があります。
天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を祝うため重厚に老たけて演じられる「翁」に対して、「千歳」は、生命力の象徴としいて、若々しく颯爽と演じられます。
だいたい一座の若手が勤めます。
私は初めて「千歳」を演じたのは29歳の時でした。
入門以来、まず最初に「千歳」を演じるのが目標でした。
その目標がかなったのが、2001年の初会。
21世紀初の「翁」にて「千歳」を披きました。「翁」は永島忠侈師でした。
「千歳」は若手の登竜門と位置付けられ、喜之家では、だいたい内弟子を独立する頃に演じます。
2度目は観世喜之師と、3度目は長沼範夫師とさせていただきました。
ここまでは、30代のうちに演じました。
まだ若かったので、文字通り若々しく颯爽と演じたことを思い出します。
もう「千歳」をやる機会はないかと思っておりましたが、今回4度目の機会を得ました。
50歳を超えた肉体ですが、気持ちはまだまだ若いままです。
気持ちに任せて、躍動して舞いました。
我ながら、颯爽と動けたように思います。
「千歳」を4回もさせていただき、ありがたく思います。
職分家と言われる特別な家柄の能楽師でなければ、このように複数回させていただくことはありません。
喜之家門下の中でも、1度しか演じていない人もいます。
私は、たまたま機会に恵まれて4回、それも全て違う方の「翁」のお相手で演じさせていただきました。本当にうれしく思います。
今年の幕開けに、最高のスタートがきれました。
kuwata_takashi at 12:22│Comments(0)│