「賀茂」御礼①(別雷神、暴れすぎ)50歳!!!

2021年07月13日

「賀茂」御礼②

「賀茂」は、難しい能です。

能では、神様が出てくるジャンルを脇能と言います。
脇能は、祝言の気持ちを持って爽やかに強く演じるように求められます。

前場のシテは、ほとんどの脇能では老人の姿で登場します。老人の姿であっても、声を張ッて力強く演じます。
老体の中の力強さに、生命力の象徴を見ているのだと思います。

この「賀茂」の前シテは、老人ではなく若い女性姿で現れます。
若い女性であっても、脇能らしく爽やかに力強く演じなければなりません。それがとても難しいのです。

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力強く演じながらも、女性としての柔らかさを内在させなくてはなりません。
この前シテの演技、とくに発声にはいろいろ試行錯誤をしました。

一人で、いろんな謡い方を試してみて、それがどう響くか録音して検証してみました。
しかし、なかなか納得が出来る発声が出来ません。

結局試行錯誤した結果、脇能の普通の発声に戻りました。
老人の発声と区別しないほうが、しっくりきます。
前シテは、見た目が美しい唐織を着た女性姿ですので、強い発声でも柔らかい質感の響きになります。

能では女性の役柄であっても、特別な声の出し方や声色などは使いません。常に力を入れて発声します。
でも、その声は女性の声でなくてはなりません。
それが能の謡の難しさです。


前場は、特段目立った動きはしません。
「賀茂」の舞台となっている上賀茂神社の境内の景色・風景を、ゆっくりを作り出すのが前場の役目です。

前場の聞かせどころは、上賀茂神社の御祭神である別雷神の由緒を語る「語」と謂われる場面です。
「語」とは、まとまったコトバ(台詞)で物語を語る手法で、多くはその能の中で大事な謡です。

普通は舞台中央にしっかりと座って物々しく語るのですが、この能は立ったままさり気なく語ります。
さり気なく謡うのは、結構難しいものです。

このように難しい前場ですが、とにかく脇能らしく演じられるよう気を付けました。
若い女性が前シテなので、華やいだ雰囲気を出すことにも努めました。

なかなか良い雰囲気で出来たかなと思います。

後場は、かなり荒々しい神様として登場します。
何といっても雷の神様ですから、派手に勢いよく演じました。
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こういった動き回る能は身体能力がものを言います。
割に身体は動く方ですので、こういったのは得意としています。

思う存分動き回りました。

そうは言っても身体の衰えは隠せなく、昔のようなスピード感では動けません。
しかし、やはり経験なのでしょうか。身体をうまく使って動くことができました。

後シテが着る狩衣という装束は大きく重い袖の扱いが難しく、なかなか思うように扱えません。
若いうちは、この袖に振り回されていました。
でも、今は袖をうまく振り回すことが出来ます。

今回は、自分の思い通りに首尾よく動けました。

でも、だからと言って若いころのような勢いを忘れては駄目だと思います。
この勢いに、経験から得た落ち着きが加わると、良い能が演じられるのでしょう。

より高みを目指して、研鑽を積みたいと思います。


kuwata_takashi at 17:19│Comments(0)

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