観世九皐会「賀茂」 「賀茂」御礼②

2021年07月12日

「賀茂」御礼①(別雷神、暴れすぎ)

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昨日、観世九皐会にて「賀茂」を演じました。
4度目の緊急事態宣言の発令を翌日に控えていたにも関わらず、多くのお客様にお運びいただきました。厚く御礼申し上げます。

開演時はカンカン照りでしたが、終演の頃には薄暗くなってきて、やがて雷鳴轟きヒョウまで降ってくる大荒れの天気となりました。
帰りにずぶぬれとなったお客様も多かったことと存じます。

「賀茂」上演の時は、こういわれます。

良い「賀茂」を演じれば、雨が降る。

「賀茂」もシテは、上賀茂神社の御神体である別雷神(わけいかずちのしん)です。すなわち雷の神様です。
神への奉納が起源の能では、良い能の後には神々が召喚されると言います。
つまり、良い「賀茂」の後は別雷神が召喚されて、雷を轟かせるのです。

これはまんざら迷信とも言えず、現に上賀茂神社の薪能では、演じると雨が降ってしまうという理由で「賀茂」は絶対に上演しないそうです。

まあ一種のお遊びなのですが、「賀茂」が上演されるたびに、
「お、雨が降ってきたぞ。今日は良い賀茂だったな」とか、
「なんだ、晴れているじゃないか。お前の賀茂はダメだなあ」
などと、楽屋内では言っています。

昨日は、開演のころはカンカン照りだったので、
「ダメじゃないか。こんなに晴れてるなんて」
などと冗談めかして言われていました。

しかし、終演後大荒れの天気となってしまったので、

「凄いなあ、別雷神をホントに召喚したぞ」
「何だよお前、暴れすぎだよ」
「まあ、良い賀茂だったってことだな」

まあこんな感じで、楽屋内はなごみました。

私としても、舞台の成果云々より、何となく誇らしい気持ちになってしまいました。


夜になって、こんなニュースが入ってきました。

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/596385

https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/596736

なんと、世界遺産の上賀茂神社の境内の木に雷が落ちて火事となり、救急車14台出動する大騒ぎとなったそうです。
幸いにも建物への延焼はなく鎮火したそうです。

上賀茂神社の御神体の別雷神、暴れすぎです。

私の「賀茂」の舞台の別雷神はそんなに暴れていないですよ(たぶん)

舞台のレポートは改めて書きます。


kuwata_takashi at 19:46│Comments(0)

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