2020年12月15日
「唐船」御礼②
前回の続きです。
「唐船」はワキの名ノリに続いて、唐子(長男・潤之介と次男・大志郎)が舞台に登場します。
橋掛かりで長い謡を謡います。

「一声・サシ・下歌・上歌」 と、通常はシテの登場の後に謡われる段落の謡を、一揃い謡います。
ここの謡いは、かなり長大な分量でもあるし、何よりお囃子に合わせて謡わないといけません。
かなり難しい場面です。
今回の子供の稽古は、初めて謡本を使って行いました。
今までは、オウム返しで教えていました。聞いた通り、声を出していただけです。
今回は、二人とも中学生になったので、謡本の見方や節の説明を交えて稽古してみました。
謡本を見ることは、新鮮だったようです。
最初は戸惑っていましたが、そのうちスラスラ謡い出し、すぐ覚えてしまいました。
本当に、この記憶力がうらやましいです。
ここの場面は、稽古に時間がかかると覚悟していましたが、私が囃子をアシライながら地拍子謡を謡わせたら、案外簡単に謡っています。
地拍子謡とは、囃子に合わせて、謡を伸ばしたり寄せたりしながら謡うものです。長年謡のお稽古をしている人でも、難しいものです。なぜすんなり謡えるのか不思議です。
考えてみたら、「富士太鼓」や「望月」などでシテと一緒になら、地拍子謡で長い分量の謡を謡ったことはありますが、子供たちだけで、これだけの謡を謡ったことはありません。
そう思うと、「初めてなのに、よくもまあこんなにあっさり謡えるものだ」と感心してしまいます。
その後は、シテと日本子(佐久間瑞稀ちゃん・新井弘悠くん)の登場です。
ここも長い謡を謡います。
3人で一緒に謡う場面もチョコチョコあるので、気を遣います。子供と合わせて謡うのは難しいものです。
自分の子供以外と舞台で演じるのも久しぶりです。
自分の子供の場合、舞台に出る前に自宅で何度も合わせるので、いざ舞台になっても慌てません。
余所の子の場合は、舞台前に一緒に稽古することはほとんどないので、舞台上ではドキドキです。
申合の時は、子供の動きが気になって、謡の文句を3か所位まちがえてしまいました。
子どもたちはしっかり演じているのですが、どうしても気になります。
ただ、当日は能面を着けているので子供の姿は見えません。
これは、能面を着ける思わぬ効用です。良くも悪くも自分の世界の中で、演じなければなりません。
申合は、唐子と日本子の動きが気になって仕方ありませんでしたが、本番はほとんど気になりませんでした。
そんなこんなで、まずは自分のやるべきことをキッチリ演じることを心掛けました。
この能のクライマックスシーンはこれです。

海に身を投げようとするシテを、4人の子供が引き留める場面です。
ここも、申合はどうしても子供の動きが気になって、自分の動きを加減してしまいましたが、本番は能面を着けていると子供は全く視界に入りません。
思い切って正先に進んでいくと、子供たちが上手く引き留めてくれました。
ここは、止められなければ本当に舞台から落っこちるかの勢いで、前へ突進していました。
子供が横からくるのが全く見えなかったので、本当に止めてもらえるかどうか、ドキドキしました。
最後は、親子5人で中国への帰国を許されて、船の上で舞を舞うシーンです。

この作り物は、能の中ではかなり大掛かりなものですが、やはり狭いです。
この船の舳先で「楽」という長い舞を舞います。
舞うスペースは1メートル四方もありません。とても舞いにくいだろうなと、想像していました。
ところが、意外にスムーズに舞えました。
一畳台の上で同じ「楽」を舞う「邯鄲」の方がよほど緊張して舞いました。
「邯鄲」は、舞うスペースは畳一枚分はあるので、「唐船」の倍以上あるように思えます。
ただ実際は、四方に柱があるので動けるスペースは狭いのです。手を伸ばしたら、すぐ柱に当たってしまいます。また、気を抜いていると台から落っこちてしまいます。
「唐船」は、舞うスペースは狭いのですが、柱がないので、伸び伸びと手を動かせます。
また、枠で囲まれているので船から落ちる心配はありません。
キリ(終曲部分)になったら、横でワキも祝福の舞を舞ってくれるので、なかなか楽しく舞うことが出来ました。
それよりも、船の胴の間(畳半畳の広さしかない)に4人押し込められた子供たちが窮屈そうで気の毒でした。これは、密な空間だわ。。。 写真を見ると、長男の大口袴は外にはみ出していますね。
そんなこんなで、楽しく演じることが出来ました。
9月の「一角仙人」では叶わなかった親子3人の共演が、今回は実現しました。
3人とも装束を着る立ち役として同じ舞台に立つのは初めてです。
2人とも大きくなったので、もう子方は卒業です。これからは舞台に出るとしたら大人の役でしょう。子供達のこれからは、どうなるかわかりません。
ひょっとしたら、これが最後の親子3人共演かもしれません。
終わった後、感慨深かったです。
「唐船」はワキの名ノリに続いて、唐子(長男・潤之介と次男・大志郎)が舞台に登場します。
橋掛かりで長い謡を謡います。

「一声・サシ・下歌・上歌」 と、通常はシテの登場の後に謡われる段落の謡を、一揃い謡います。
ここの謡いは、かなり長大な分量でもあるし、何よりお囃子に合わせて謡わないといけません。
かなり難しい場面です。
今回の子供の稽古は、初めて謡本を使って行いました。
今までは、オウム返しで教えていました。聞いた通り、声を出していただけです。
今回は、二人とも中学生になったので、謡本の見方や節の説明を交えて稽古してみました。
謡本を見ることは、新鮮だったようです。
最初は戸惑っていましたが、そのうちスラスラ謡い出し、すぐ覚えてしまいました。
本当に、この記憶力がうらやましいです。
ここの場面は、稽古に時間がかかると覚悟していましたが、私が囃子をアシライながら地拍子謡を謡わせたら、案外簡単に謡っています。
地拍子謡とは、囃子に合わせて、謡を伸ばしたり寄せたりしながら謡うものです。長年謡のお稽古をしている人でも、難しいものです。なぜすんなり謡えるのか不思議です。
考えてみたら、「富士太鼓」や「望月」などでシテと一緒になら、地拍子謡で長い分量の謡を謡ったことはありますが、子供たちだけで、これだけの謡を謡ったことはありません。
そう思うと、「初めてなのに、よくもまあこんなにあっさり謡えるものだ」と感心してしまいます。
その後は、シテと日本子(佐久間瑞稀ちゃん・新井弘悠くん)の登場です。
ここも長い謡を謡います。
3人で一緒に謡う場面もチョコチョコあるので、気を遣います。子供と合わせて謡うのは難しいものです。
自分の子供以外と舞台で演じるのも久しぶりです。
自分の子供の場合、舞台に出る前に自宅で何度も合わせるので、いざ舞台になっても慌てません。
余所の子の場合は、舞台前に一緒に稽古することはほとんどないので、舞台上ではドキドキです。
申合の時は、子供の動きが気になって、謡の文句を3か所位まちがえてしまいました。
子どもたちはしっかり演じているのですが、どうしても気になります。
ただ、当日は能面を着けているので子供の姿は見えません。
これは、能面を着ける思わぬ効用です。良くも悪くも自分の世界の中で、演じなければなりません。
申合は、唐子と日本子の動きが気になって仕方ありませんでしたが、本番はほとんど気になりませんでした。
そんなこんなで、まずは自分のやるべきことをキッチリ演じることを心掛けました。
この能のクライマックスシーンはこれです。

海に身を投げようとするシテを、4人の子供が引き留める場面です。
ここも、申合はどうしても子供の動きが気になって、自分の動きを加減してしまいましたが、本番は能面を着けていると子供は全く視界に入りません。
思い切って正先に進んでいくと、子供たちが上手く引き留めてくれました。
ここは、止められなければ本当に舞台から落っこちるかの勢いで、前へ突進していました。
子供が横からくるのが全く見えなかったので、本当に止めてもらえるかどうか、ドキドキしました。
最後は、親子5人で中国への帰国を許されて、船の上で舞を舞うシーンです。

この作り物は、能の中ではかなり大掛かりなものですが、やはり狭いです。
この船の舳先で「楽」という長い舞を舞います。
舞うスペースは1メートル四方もありません。とても舞いにくいだろうなと、想像していました。
ところが、意外にスムーズに舞えました。
一畳台の上で同じ「楽」を舞う「邯鄲」の方がよほど緊張して舞いました。
「邯鄲」は、舞うスペースは畳一枚分はあるので、「唐船」の倍以上あるように思えます。
ただ実際は、四方に柱があるので動けるスペースは狭いのです。手を伸ばしたら、すぐ柱に当たってしまいます。また、気を抜いていると台から落っこちてしまいます。
「唐船」は、舞うスペースは狭いのですが、柱がないので、伸び伸びと手を動かせます。
また、枠で囲まれているので船から落ちる心配はありません。
キリ(終曲部分)になったら、横でワキも祝福の舞を舞ってくれるので、なかなか楽しく舞うことが出来ました。
それよりも、船の胴の間(畳半畳の広さしかない)に4人押し込められた子供たちが窮屈そうで気の毒でした。これは、密な空間だわ。。。 写真を見ると、長男の大口袴は外にはみ出していますね。
そんなこんなで、楽しく演じることが出来ました。
9月の「一角仙人」では叶わなかった親子3人の共演が、今回は実現しました。
3人とも装束を着る立ち役として同じ舞台に立つのは初めてです。
2人とも大きくなったので、もう子方は卒業です。これからは舞台に出るとしたら大人の役でしょう。子供達のこれからは、どうなるかわかりません。
ひょっとしたら、これが最後の親子3人共演かもしれません。
終わった後、感慨深かったです。
kuwata_takashi at 18:19│Comments(0)│