インドから明治大学能楽研究部 卒業生

2020年03月12日

横浜公演「藍染川」

今日は、鎌倉能舞台の主催公演で、「藍染川」という珍しい能が上演されました。場所は横浜能楽堂です。

この能は、とても珍しい能です。私は、20年ちょっと前に矢来能楽堂で荒木亮師が演じているのを一度見たことがあります。
たしかその時、東京ではかなり久しぶりの上演と聞きました。正確には覚えていないのですが、確か40年ぶりくらいの上演と、番組に書いてあったように記憶しています。

その後、17年前に故関根祥人さんが演じたそうですが、それは観ておりません。
おそらく、それ以来の上演かと思われます。

とても面白い能なのですが、あまり上演されないのは理由があります。
まず、子方が大変な能であること。
そしてなにより、この能はワキが事実上の主役と言える能であるためです。

シテは最初と最後に出てくるだけで、物語の大半はワキとワキツレと子方によって形作られています。
能公演は、ほとんどがシテ方によって企画運営されますので、このようにワキが活躍してシテがあまり出番がない能は、選曲されません。

まあ、そんなこんなで極めて上演頻度が少ない能であります。

今回、初めて地謡を謡います。
こういう曲は、とにかく覚えるのが大変です。
少しでも聞いたことある謡だと、頭に入っていくのも早いのですが、このように全く聞いたことのない謡は、全然頭に入ってきません。

私は、割に記憶力は良い方なのですが、それでもアラフィフと呼ばれる年齢になってきますと、やはり記憶力の低下は認めざるを得ません。

今回は、いつになく覚えるのに苦労しました。


最近、イベント自粛の流れから、様々な能公演が延期や中止となっております。
今日は久しぶりの能公演でした。

「何だか、久しぶりに紋付着るね」
皆とそんなこと言いながら、着替え、いつものように能公演を勤めました。

やはり、能舞台は良いですね。
私は能が好きなんだなあと、しみじみと思いました。

新型コロナウイルスは、まだまだ終息の気配を見せません。
役者が思う存分能が演じられて、お客様が安心して能を鑑賞できる、当たり前の日常に、早く戻ってほしいと、切に望みます。


kuwata_takashi at 22:00│Comments(0)

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