2019シンガポール最終便 12019シンガポール最終便 最終回

2019年03月06日

2019シンガポール最終便 2

さあ、ITI能楽コースの集大成がやってきました。

13時頃に会場入りしました。学生たちは午前中から会場に入って、照明などのチェックを行っています。

今日は、16時から仕舞のテストを行いました。
ITIは学校ですので、採点をしなければなりません。

今までは、発表会本番をテストと位置付けて評価の対象としていました。
しかし、それでは学生たちの負担が大きすぎます。また、採点をする私達も慌ただしいのです。

そこで、今回は発表会とは別にテストを設けました。
その試みは良かったように思います。

16時の前後に、簡単に通し稽古をしました。テスト前の稽古は、照明をチェックするためのものでした。

この通し稽古も、学生たちは自主的に行っています。
特に私たちが、稽古するように指示したわけではありません。

今回の学生たちは、よく自主的に稽古をします。

普段の授業の時も、休憩時間などに学生同士で教え合いながらよく稽古しています。
リーダーシップをとって積極的に稽古する人が何人かいました。彼らにつられて、全体として自主稽古をやっていく雰囲気になっていきました。

とても良い傾向です。
そのうち、飲み会の席などでも能の謡を謡い始めるようになりました。

学生たちは、どんどん能が好きになっていっているのが分かります。
とても嬉しいことです。

発表会に向けて、懸命に能の稽古をする学生たちを見ると、毎度のことながら胸にジーンときます。

今回集まったITIの11期生と12期生の12人。
国籍はシンガポール、インド、マレーシア、フィリピン、台湾、韓国、中国と多岐にわたります。
そしてオーストラリアの演劇学校WAAPAから留学してきた5人。

総勢8か国17人の学生たち。
日本語が全く分からない彼らと共に、「能とは何か」を教えるところから始まった9週間の稽古。

さあ、その成果を思う存分見せましょう。

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まず最初に円陣を組んで、士気を高めます。
この辺のノリは学生ならではですね。

私も学生の頃、能楽研究部の舞台の前には、楽屋で円陣を組んだものです。
このノリ、良いですね。私は好きです。

今回は、冒頭に観世喜正師による番外の「敦盛」がありました。
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会場に集まってくださいました多くのお客様に、プロの能楽師による本物の能の舞台を見て頂きたいと思い、観世喜正師に演じていただきました。

その後、学生たちの発表です。
まずは仕舞という、短い舞をみんなにやってもらいます。

仕舞は、もう評価対象となる演技は終わっているので、のびのびと楽な気持ちで演じていました。
この仕舞が、今回の学生たちは、みんな素晴らしい出来でした。

今回の能楽コースは、割合に余裕のある稽古進行でした。今まで以上に発表会の稽古に時間を使えました。
例年、仕舞の稽古は直前まで懸命にやって仕上げる感じだったのですが、今回の学生は早い仕上がりでした。
日頃の自主稽古が生きているように思います。

能に限らず芸事全てにおいて、上達するためには自主稽古が重要ということです。

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役者である彼らは身体能力も高いです。飛び返りという飛びながら回転する型も、この高さでやります。

さあ、続いてかんたんな能装束と能面をつけての能の上演です。

最初は「邯鄲」

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いつものように、盧生と夢の中の皇帝の役にシテを分けての上演です。

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アイを勤めたインド人は、MOVEMENTの授業で骨折をしながらも、懸命に演じていました。

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ワキを勤めたインド人も、能のDVDを繰り返し見て、能のワキっぽい演技ができました。
最初はとてもワキには見えませんでした。
ワキなどの役をたんたんと演じるのはとても難しいのです。能面を着けて舞う方がよっぽどやりやすいように思います。

続いて、能「紅葉狩」

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「紅葉狩」って、本当によく出来た能です。
たくさんの登場人物が出てきて、それぞれに見せ場があります。

こういう場所で上演するにはピッタリ。
内容も派手で面白く、能を初めて見る外国人にも分かりやすいですね。

でも面白いことに、終演後の質疑応答などでは、「紅葉狩」より「邯鄲」についての質問が多く寄せられます。

派手で見栄えがするのは「紅葉狩」ですが、劇として面白いのは「邯鄲」のようです。

確かにその通りです。外国人でも、やはりそう思うのですね。
そういった感性は万国共通なのでしょう。


発表会は大成功でした。
とても良い雰囲気の中、9週間の能楽コースを打ち上げました。

終演後は、全く終わらないエンドレス大宴会。盛り上がりました。



kuwata_takashi at 23:30│Comments(0)

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