深川八幡祭 神輿連合渡御旅芸人日記

2017年08月14日

能奉納「船弁慶」 御礼

昨日まで、怒涛の神輿ラッシュで、身体は疲労困憊。
だいぶんセーブして担いだのですが、それでも身体はしっかりダメージしています。

深川界隈では、昨日の神輿連合渡御でお祭りは終わったようなムードですが実際は明日まで続きます。
明日の例大祭が、富岡八幡宮にとって一年で一番大事な行事だそうです。
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今日は、今年で9回目を迎える「深川八幡祭 能奉納」。
朝起きると、、、、雨です。

天気予報を見ると、この雨は昼過ぎには止むようですが、午後6時から再び降り始める予報です。
能奉納は、午後4時半から6時までの予定。何とも言えない様相です。

こういう空模様の時が一番困ります。

この能奉納、晴天の時は境内の特設神楽殿で行いますが、雨天時は神社本殿の内拝殿で行います。
内拝殿での能奉納は、大変に趣があり、また冷房が効いていて涼しいのでなかなか良いものです。ただ、あまり多くのお客様に見て頂けないのが難点です。

やはり、お祭りの中での能奉納ですので、多くのお客様の前で開放的に演じたいと思います。
「なんとか雨が止んでくれないかなあ」
そう願いながら、午前中は準備していました。

願いもむなしく、雨は家を出る2時半頃も降っています。

「残念ながら、今日は本殿だな」
そう諦めて神社に向かいました。

しかし、3時頃になると雨があがり、薄日が差してきます。
私たちの前の雅楽の団体も、神楽殿で奉納を始めました。

神社側の担当者も、
「能奉納は、お客様も多いので是非外で奉納してください」
とおっしゃいます。

6時からまた雨が降る予報なのは気になりますが、思い切って神楽殿で奉納することにしました。

朝からの雨のおかげで、例年に比べてとっても涼しいのは幸いです。
参加者の皆様は、いつもは汗びっしょりになって懸命に舞台を勤めていますが、今年は文字通り涼しい顔して演じています。

この能奉納も回を重ねて参りましたので、参加者の方もだいぶん慣れてきたようです。

今年も江東区謡曲連盟の方々の参加を頂き、より一層にぎやかな番組となりました。

いよいよ私の演じます、能「船弁慶」が近づいてきました。
装束を着けて、さあ出番だと思ったところ、何と雨が降ってきました。

最悪のタイミングです。

このまま、雨が降り続くと能の上演は出来ません。

私は師匠家から拝借した、大事な能面と能装束を着けています。
またワキ方も狂言方も、それぞれのお家の大事な装束を着けていますし、お囃子方も貴重な楽器で演奏されます。

それらを雨で濡らす訳にはいきません。
物によっては、修理や修繕のきかないものもあります。

今から、本殿に場所を移すことも出来ません。
私たちの後にも奉納団体はあるので、迷惑をかけてしまいます。

せっかく次男と何度も稽古を重ねた「船弁慶」、何としても上演したい。

私は雨が止むよう祈りました。

すると深川八幡の神の御加護か、雨は止み、空は明るくなっていきます。

「よし、出来るぞ」
私は踊るような気持ちで舞台に上がりました。

能「船弁慶」は、もう何度も演じている演目ですので、あまり不安はありません。
特に、時間の関係で後場だけの上演ですので、思いっきり演じました。

何度もやっていますが、次男との共演は初めてです。
能が大好きな次男は、張り切って演じていました。

今回、人手不足により長男に後見をやらせてみました。

普段の稽古の時も、別に強制していないのに子供たちは後見の真似をしています。
長男の稽古の時は次男が、次男の稽古の時は長男が、それぞれ後見の真似事をしたがります。

子供は、いつでも身近な大人の真似をしたがるものです。
我が家にとって、身近な大人は能楽師たちなのです。
特に、舞台上で色々用事をする後見はカッコよく見えるようです。

今回、長男に後見をやるように言ったら、飛び上がって喜びました。
後見といっても、要するに子方の床几の出し入れをお願いしたのですが、とっても嬉しそうに役割を勤めていました。


冒頭に書いた通り、深川の人にとって14日の月曜日は、もうお祭りは終わったという雰囲気でしたし、何よりも朝からずっと雨模様の天気だったので、お客様は多くないだろうと思っていました。

しかし、例年にも増して多くのお客様がお運びくださいました。
300枚用意した当日用番組は、あっという間になくなったようです。

深川の人たちにも、徐々に浸透しているのだなあと、嬉しく思います。

「いずれこの能奉納を、「深川の夏の風物詩」にしたいなあ」
そう、願ってやみません。



kuwata_takashi at 21:00│Comments(0)

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