岡山後楽能フランス人と能

2015年11月20日

「龍田」 御礼

のうのう能にて「龍田」を演じました。

http://kanze.main.jp/wp/wp-content/themes/kanze/pdf/knownoh151120.pdf
チラシは、こちらからご覧下さい。

龍田は、美しい能です。

一曲を通じて紅の色彩に彩られ、秋景色が見事に描かれます。

ただ、鬘物ではないのであまり優美にやるものではありません。
後シテは龍田明神です。
神々しく、凛とした気品を漂わせなければなりません。

龍田という能をどのように捉えるかは、本当に演者によって違います。

鬘物の割合を多くし優美に演じるやり方と、神体としての凛々しさを強調するやり方に分かれます。

今回は、全体的には後者の方法をとりました。

本来性別があるのかどうか分からない龍田明神を、あえて女神として登場させることにこの能は意味があるように思います。

特に後シテの謡などは、かなり強く謡いました。
ちょっと荒々しかったかも知れません。

ただ、舞は丁寧に演じました。

身体の力は強い質感を保ったまま、優しく型をしました。
きっと、龍田の舞はそう舞うのが正解なのだと思います。


龍田は作り物の中で装束を替えます。

後場で、作り物を覆う幕(引廻し)がゆっくり下がり、中から色彩豊かな龍田明神が姿を現すシーンは、息を飲む美しさです。

非常に効果的な演出です。

このように、作り物の中で装束を替える能は、気持ちの切り替えが難しいです。

中入の時、楽屋で前シテの装束を一度脱ぐことで、身体が一度リフレッシュ出来ます。
そこで一息つき、後場へと徐々に気持ちを切り替えます。

楽屋でホッと一息。
龍田ではこれが出来ません。

こういった能は、気が休まる時がないので、心身共にしんどいです。
中入で一回リセット出来る事って、大事なんだと実感します。

特に、龍田は後場が長いのです。
舞もかなりの分量があります。

集中力を切らさないように、気張ってまいました。

長絹の袖を頭上にかけたり、腕に巻いたりなどといった小技も上手くきまり、上手く舞えたと思います。

忙しい秋の真っただ中に、良いコンデションで舞えたことが何よりでした。


kuwata_takashi at 20:28│Comments(0)TrackBack(0)

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