2015年08月28日
「昭君」を演じます。


9月5日(土)緑泉会にて能「昭君(しょうくん)」を演じます。
見どころを紹介いたします。
この能は、楊貴妃などと共に、中国4大美人の一人に数えられている王昭君について描かれています。
王昭君の話は、日本でも「今昔物語」などにも出てきますので、かなり有名な話だったようです。
紀元前1世紀、漢の国は中国辺境の国・胡国といくさをしていました。和睦のしるしとして漢の美人を一人、胡国の王・呼韓邪単干のところへ送ることになります。
漢の帝のところには、美女の宮女が3000人もいます。帝は、絵描きに宮女達の似顔絵を描かせ、一番容姿を劣っている者を選ぶことにします。宮女達は、絵描きに賄賂を贈って自分を美人に書いてもらいました。そんな中、昭君は帝から一番寵愛を受けていたので安心していましたが、結果的に宮女の中で昭君だけ賄賂を贈らなかったため、一番醜い似顔絵を描かれてしまいました。
そういういきさつがあって、胡国に赴いた王昭君。史実では、呼韓邪単干の后となって胡国
(匈奴)で一生を送り、漢の文化を胡国に伝え、両民族の交流に貢献したと高く評価されました。この物語は歴史上の美談として中国は元より日本でも詩、演劇、小説などの題材にもなり、現在でも親しまれています。
昭君の悲劇は、国と国の争いに翻弄され辺境の地に送られてしまったこと、辺境の野蛮な民族と結婚させられたこと、またその地で一生をすごさなければならなかったことでしょう。
能では、その悲劇性を描くために、昭君の父母の嘆きという手法をとります。
父母の悲しみを通じて、昭君の悲劇をより強調させるのです。
前半のシテは、昭君の父です。20歳前後と思われる昭君の父なのに、老人の姿で登場します。これも、悲しみを際立たせるためでしょう。
前半の見どころは、この老人の悲しい心を長い謡で表現するシーンです。
聞きごたえのある謡です。単調にならないように、じっくりと謡い上げたいと思います。
後半のシテは、呼韓邪単干です。
能では、このように前半と後半とで全く異なる人物を演じることがよくあります。
この能では、美しい昭君と対比する存在として化け物じみた姿で登場し、激しく動きます。
鏡を見込み、その姿を恥じるなど、面白い型も交えながら豪快に舞います。
キレ味鋭く、スカッと舞いたいと思います。
悲劇性を複眼的に見せる前半と、美女と野獣の対比を面白く見せる後半と、見どころ一杯の構成です。
絶世の美女・昭君は子方が演じます。女性の美しさを子供の可愛らしさで現すのも、能らしい表現です。
今回は、次男・大志郎(8歳)が勤めます。
この前の5月には、悲運の少年天皇・安徳天皇を演じて、今度は中国四大美人・王昭君です。
能が大好きな次男は、張り切ってお稽古に励んでいます。
この公演は他に、緑泉会当主・津村禮次郎師による能「班女」・狂言「水汲」・仕舞3番と、見どころ満載です。
皆様のご来場をお待ち申し上げます。