しずおか能楽サークル許せないこと

2012年05月26日

文楽三昧

先日、何とか時間を作って国立劇場に文楽公演を見に行きました。

私が文楽好きなのは、この日記でも度々書いています。
東京で文楽公演がある時は、なるべく時間を作って行っております。

今月は、欲張って一部二部通しで観ました。朝11時から、夜8時半までぶっ通しです。

「えー!! そんなに観たら疲れません?」

全く疲れません。

そもそも、普段は朝10時から夜の10時まで能の稽古をしています。
そう思うと、一日中文楽観るぐらいのことは、普通かなあと思えます。

一日観ていると、いろんな事が感じられます。
私は文楽を観ても、だいたい義太夫の太夫しか見ません。
とにかく、義太夫を聴いているのが面白いのです。

今までは人形にはほとんど目を向けなかったのですが、今回初めて人形に目が釘付けになりました。

いつものように、義太夫に耳を傾けながら、ぼんやりと人形を眺めていました。
その人形が舞台へ入ってくると、空気が変わりました。
人形なのに、オーラをまとい、大変な存在感です。

「何なんだ、、、、 この人形は」

その人形とは、「艶姿女舞衣」の「酒屋の段」の「お園」です。
そして、配役表に目をやって納得。
主遣いを勤めていたのは、人間国宝・吉田蓑助師です。

後で調べると、「お園」は世話物を代表する役柄だそうです。
吉田蓑助師が遣う人形は、今まで何度も観ていますが、こんな経験は初めてです。

「文楽人形は、人間が演じるより人間らしく見える」などとよく言われますが、それを実感しました。
文楽を観る引き出しが、また増えたように思います。


また最近、ひそかに文楽の三味線・太棹の力強い響きに心奪われています。
能にない、弦楽器の響きって良いなあと、しみじみ思うようになりました。

とにかく義太夫をひたすら聞いていた鑑賞の仕方が、少し変わったかなあと思います。

これも、一日中観ていたから感じるのでしょうね。
当り前ですが、文楽は、義太夫と三味線と人形が織りなす総合芸術です。

文楽を観にいって、ひたすら義太夫を聴いているのは、能を観にいっても全く舞台を見ずに、謡本を開いてひたすら謡ばっかり聞いている人(首本党)と一緒なのでしょう。

色々な楽しみが加わり、観るたびに、ドンドン文楽が楽しくなってきます。

良い一日でした。


kuwata_takashi at 23:35│Comments(0)TrackBack(0)

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