されど「羽衣」思わぬ花見

2012年04月20日

蟻通

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これは何でしょう。


能「蟻通」に使用する傘です。

能の小道具の内、頭に被る笠はたくさん出てきますが、手に持つ傘は観世流では「蟻通」にしか使用しません。

(他流では「邯鄲」の小書で使用するようです)


その「蟻通」が今日出ました。
国立能楽堂の定期公演で、シテは観世喜之先生でした。

この曲は、作者の世阿弥が「申楽談儀」に

「松明振り、傘さして出づる、肝要ここばかりなり」

と書いている通り、シテが傘をさして松明を腹筋ている姿が様にならないと成り立たない能です。

そういう意味で役者を選ぶ難曲です。

私がこんなことを言うのも何なのですが、今日の師匠の風情は、素晴らしかったです。

橋掛を松明を振りながら歩む雰囲気が、何ともいえない美しさです。
これが、芸の力なのでしょう。


ところで、「蟻通」は今回初めて地謡を謡わさせて頂きました。

なかなか出ない能ですので、今まで手付かずでした。

全くの白紙から覚えるのは、結構しんどかったです。

国立能楽堂の定期公演には、年に1、2回出勤します。

今年は例年より多く、3回お呼びがかかりました。
曲は、「蟻通」と「大社」と「松山天狗」。。。。。

うーん。どれも珍しい曲です。
勉強させて頂きます



kuwata_takashi at 21:29│Comments(0)TrackBack(0)

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