古稀に舞う茉莉会 大会

2011年11月18日

地頭やりました

今日は「のうのう能」。演目は「舎利」で、私はなんと地頭の大役をさせて頂きました。


地頭とは、地謡のリーダーです。通常は、当日出勤の能楽師のうち、一番序列の高い者が勤めます。

観世九皐会門下の中で、下から2番目の序列の私は、今の段階では絶対に勤めることのない役です。

今回は、私の勉強のため特別に地頭をさせて頂くことになりました。


有料の玄人会で能の地頭を勤めるのは、2年前ののうのう能「安達原」に続いて2度目です。

地頭をすると、自分の力の無さを痛感いたします。


前回の「安達原」は、良く上演される演目なので、謡い慣れていることもあって、滞りなく終わった印象でした。

今回の「舎利」は、どちらかと言うとあまり上演されない演目です。特にクセは省略されることが多く、ほとんど謡ったことはありません。


このひと月ほど、ずっと「舎利」の謡本をカバンに忍ばせて、時間があればにらめっこ。

もちろん、日々色んな演目を並行して覚えていますので、なかなか頭に入っていきません。


地頭を勤めるためには、地謡の詞章を完璧に覚えるのはまずは最低条件。その上でお囃子との間合いも意識しながら、地謡を引っ張っていく腕力も必要となってきます。

今回、お囃子の手組みもだいたい頭に入れ、シテやツレの型も勉強して臨みました。


前日の申合。完璧に覚えているつもりでした。

でも、地謡というのは自分一人で謡うのではありません。

まわりの地謡の方やお囃子とせめぎ合いながら謡わなければなりません。


「舎利」の中入り前の地謡は、極めて早い速度で謡いながら、かつややこしい拍子当たりという厄介な箇所なのですが、そこでまんまと「間」を外してしまいました。

外した瞬間、「しまった!!」と思ったのですが、私の力では制御することが出来ませんでした。

結局、お囃子方に上手く合わせて頂いて、事なきを得ました。


ただ、一番やっかいだと思っていたクセは、無事に終わりました。
大きな不安と、少しの自信を手つかんだ申合でした。

申合から当日までは、何度も何度も謡いました。


「これなら大丈夫」という自信は全然生まれませんでしたが、たくさん謡ったので、気持ちは落ち着いて当日を迎えました。



本番では、文句や間合いを間違えることはありませんでした。

でも、それだけだったのかなと反省します。

魅力的な地謡を謡えるよう、日々研鑽を積みたいと思います。


精神的には、シテを演じる時より何倍も疲れた一日でした。



kuwata_takashi at 21:52│Comments(0)TrackBack(0)

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