学生能 巡業中仙台 能-BOX

2011年10月12日

祝 60周年

いささか古い話になってしまったことを、お許し下さい。


この度、明治大学能楽研究部観世会は創立60周年を迎えました。
そして、その記念会が去る9月18日に矢来能楽堂にて、華々しく開催されました。

能楽師・桑田貴志の原点であるこのクラブ。
現在は、その指導にも当たらさせて頂いております。


私が明治大学に入学して、能楽研究部の門を叩いた時は、ちょうど40周年を迎える年でした。

私が入部して20年もたったことに驚きます。


今年は60周年を記念して、自演能「吉野天人」に取り組むました。

シテやワキ・ワキツレ、地謡はもとより、囃子まで学生が勤めるという画期的な能です。

お囃子に関しては、それぞれお囃子の先生の協力を仰ぎました。

例年、学生だけの舞囃子は行っていましたので、その延長という位置付けで能に取り組むことが出来るのですが、ここ何年かは人数不足により、舞囃子すらやっていませんでした。

したがって、今年の学生たちは初めてのお囃子が能、という信じられない状態です。

そのお稽古は困難を極めました。

囃子に取り掛かったのは半年前です。

2月の春合宿で、初めてお囃子に触れた彼等に、手付け(囃子の楽譜)の見方から教え、半年後には能を打たせる。

よくもまあ、こんな無謀なことに取り組んだものです。

学生達は、夏休み返上でお稽古に励みました。

その姿を見てると、20年前の自分が思い出されます。

当時の能楽研究部は、40周年記念会で行われる自演能「羽衣」に向かって孟稽古が繰り広げられていました。

入部して、訳も分からないまま、能「羽衣」の地謡をさせて頂きました。
本当に、訳も分からず謡っていました。

何度も謡ったので、「羽衣」はすっかり覚えてしまいました。

かくして、「橋弁慶」や「吉野天人」は謡えないのに、「羽衣」は囃子に合わせて完璧に謡えるという、奇妙な1年生が私でした。


天真爛漫に先輩方についてお稽古していれば良かった1年生から、徐々に責任が出てくる2年生3年生。

時には、お互い罵り合いながらお稽古していた学生時代。
今思えば楽しい日々でした。


当時師範だった藤村健先生から本当に多くのことを学びました。

そのご恩は、今の学生達をしっかり教えることで返そうと思います。



kuwata_takashi at 00:21│Comments(0)TrackBack(0)

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