夏の終わりに学生能 巡業中

2011年09月09日

地頭・後見

先週の土曜日、「のうのう能」
私は、能「葵上」の副後見でした。

この催しは、舞台の上で装束着けの実演を行うのが売りです。

私はいつもは、装束着けのモデルをやったり、サブ的な役割で装束着けを補助したりすることが多かったです。

だいたい、装束着けは二人の後見が担当します。
私は、副後見なので装束着けの補助のつもりでいたら、主後見より

「装束着けもそろそろ代替わりしよう」

との提案。私が舞台上で装束着けの実演を見せることになってしまいました。
日ごろ、楽屋の中でも装束を着けることはほとんどないのに、いきなり舞台上での実演です。

満員のお客様が見守る中、見栄え良く、手際良く着けなければなりません。
しかも「葵上」の装束は、唐織壺折という装束の着方の中でもかなり難しいものです。

いやあ、緊張しました。
その延長線上で、主後見的な仕事を任されました。

能において後見は、舞台監督のような役割です。
後見のお役を頂くと、とっても緊張致します。


昨日の木曜日は、若竹会稽古能です。
私は、能「融」の地頭を勉強させていただきました。

地頭
8人の地謡のリーダーです。とっても責任重大。

だいたい地謡の良しあしが能の印象を決めますので、地頭は能の出来不出来をつかさどる役割を担います。

私は、シテをやるより地頭をやる方がよっぽど緊張します。
地頭を勤める機会の少ない若手は、皆そうだと思います。

地頭は、謡の文句や節を完璧に覚えるのは当然として、囃子との兼ね合い、間合いも完璧に理解しなければなりません。
それらを、キチンと他の地謡メンバーに示して、引っ張って謡わなければなりません。

その上で、その曲の位や雰囲気を謡っていかねばなりません。

あああ、本当に大変です。

「融」は、スタンダードな構成からは少し外れているので、謡うのは少々難しい曲です。

良い勉強をさせていただきました。


装束着けを含め後見の仕事。または地頭。
これらは、とっても大事な仕事です。

我々能楽師シテ方は、まずキチンと後見が出来る人が、楽屋で最も尊敬を集めます。
そして、地頭は文字通り地謡のリーダー。

シテと地頭と主後見。
この三角形で、能は構成されます。

若手は、シテを舞う機会はありますが、地頭と主後見はする機会はありません。
これらを勤めるためには、何よりも経験が必要です。

その貴重な経験を積まさせていただき、有り難く思います。


はあ、なれないポジションに肩がこる一週間でした。



kuwata_takashi at 23:20│Comments(0)TrackBack(0)

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