2011年09月01日
夏の終わりに
もう9月です。夏も終わりです。
今年の夏は本当に色んなことがありました。それが集約されたのが、8月4日でした。
この日記に書こうかどうか、さんざん悩みましたが、季節が巡ったので書くことにします。
8月4日木曜日、次の日には九皐会定例会「船橋」の申合が待っていました。
当日より、申合の方が緊張することは、しばしば書いていますね。
だいたい、申合の前の晩はなかなか寝付けないことが多いのです。
それで、いつもはビールをしこたま飲んで寝ます。
すると余計なこと考えずにリラックスして寝付けます。だからなるべく楽しいこと考えながら飲みます。
お気に入りの本を開いたり、とってもくだらない雑誌に目を通しながらガーっと飲むのはとても楽しい時間です。
でも、その日は楽しい酒になりませんでした・・・・
8月4日、私はかけがえのない友を冥界に送りました。
私と同い年の彼は、100メートルも離れていないところに住んでいる、バロン倶楽部の中核メンバーです。
ガムランのことが全然分からない初心者の私に、彼は本当に親切に教えてくれました。
何も分からずに踊っている私を、ずいぶん励ましてくれました。
彼は、古式の整体施術師。施術中は着物に袴という、古風な男でした。
お互い、着物で歩いているのを、近所でバッタリなんてこともありました。
「あれ、もう単衣着てるの?」
「暑いからなあ。5月が袷なんて、絶対おかしいよ」
「そうだなあ、こっちも単衣だすか」
こんな会話が、普通になされていました。
やはり近所に住む、美術家のバロン倶楽部メンバーと、よく街角の縁台に腰掛けて他愛もない話をしました。
下町には、近所の人が集まって世間話に花を咲かせる縁台がたくさんあるのです。
下町コミュニティの良さを味わいました。
去年の奉納では、土日になかなか練習できない私のために、その3人で何度かバリ舞踊の練習をしました。
平日の昼間の炎天下に、天下の往来で通行人に不審な目で見られながらの懸命の稽古です。
お互い本業に関係のないバリ舞踊を、本業の合間に集まって汗ビッショリかきながら大マジメに練習している、整体師と美術家と能楽師。
ああ、こういうのってイイなあ。
同じ世代の我らは、しばしば縁台に集まって、コーヒー飲みながらバカ話してました。
きっとこうしてド近所で、一緒に年をとってゆくんだと思っていた。
ジジイになっても。いつもの縁台で、梅こぶ茶をすすっていると思っていた。
それなのに・・・・
ヤツは先に旅立ちました。
あっけなく。
8月4日は、彼の葬式でした。
次の日の申合を控え、いつものように楽しくビールを飲もうと、お気に入りの本を開きました。
でも、ちっとも読めません。
何だか世界がうるんで見えます。
私は夜中、彼の家の前に行きました。彼がそこにいる気がしたのです。
申合の前のいたたまれない緊張と、友を亡くした絶望。
苦い酒を飲んだ、平成23年8月4日。
私は、40歳になりました。
今年の夏は本当に色んなことがありました。それが集約されたのが、8月4日でした。
この日記に書こうかどうか、さんざん悩みましたが、季節が巡ったので書くことにします。
8月4日木曜日、次の日には九皐会定例会「船橋」の申合が待っていました。
当日より、申合の方が緊張することは、しばしば書いていますね。
だいたい、申合の前の晩はなかなか寝付けないことが多いのです。
それで、いつもはビールをしこたま飲んで寝ます。
すると余計なこと考えずにリラックスして寝付けます。だからなるべく楽しいこと考えながら飲みます。
お気に入りの本を開いたり、とってもくだらない雑誌に目を通しながらガーっと飲むのはとても楽しい時間です。
でも、その日は楽しい酒になりませんでした・・・・
8月4日、私はかけがえのない友を冥界に送りました。
私と同い年の彼は、100メートルも離れていないところに住んでいる、バロン倶楽部の中核メンバーです。
ガムランのことが全然分からない初心者の私に、彼は本当に親切に教えてくれました。
何も分からずに踊っている私を、ずいぶん励ましてくれました。
彼は、古式の整体施術師。施術中は着物に袴という、古風な男でした。
お互い、着物で歩いているのを、近所でバッタリなんてこともありました。
「あれ、もう単衣着てるの?」
「暑いからなあ。5月が袷なんて、絶対おかしいよ」
「そうだなあ、こっちも単衣だすか」
こんな会話が、普通になされていました。
やはり近所に住む、美術家のバロン倶楽部メンバーと、よく街角の縁台に腰掛けて他愛もない話をしました。
下町には、近所の人が集まって世間話に花を咲かせる縁台がたくさんあるのです。
下町コミュニティの良さを味わいました。
去年の奉納では、土日になかなか練習できない私のために、その3人で何度かバリ舞踊の練習をしました。
平日の昼間の炎天下に、天下の往来で通行人に不審な目で見られながらの懸命の稽古です。
お互い本業に関係のないバリ舞踊を、本業の合間に集まって汗ビッショリかきながら大マジメに練習している、整体師と美術家と能楽師。
ああ、こういうのってイイなあ。
同じ世代の我らは、しばしば縁台に集まって、コーヒー飲みながらバカ話してました。
きっとこうしてド近所で、一緒に年をとってゆくんだと思っていた。
ジジイになっても。いつもの縁台で、梅こぶ茶をすすっていると思っていた。
それなのに・・・・
ヤツは先に旅立ちました。
あっけなく。
8月4日は、彼の葬式でした。
次の日の申合を控え、いつものように楽しくビールを飲もうと、お気に入りの本を開きました。
でも、ちっとも読めません。
何だか世界がうるんで見えます。
私は夜中、彼の家の前に行きました。彼がそこにいる気がしたのです。
申合の前のいたたまれない緊張と、友を亡くした絶望。
苦い酒を飲んだ、平成23年8月4日。
私は、40歳になりました。
kuwata_takashi at 23:30│Comments(0)│TrackBack(0)│