2011年08月02日
「船橋」のこと
今週の土曜日、観世九皐会にて能「船橋」を勤めます。
おかげさまで、チケットはめでたく完売です。
当日はどうぞ宜しくお願い致します。
この「船橋」、けっこう珍しい曲です。
私は自分で、この曲を希望しました。
ずーっと機会があれば、演じたいと思っていました。
なぜそんなに思い入れがあるのか、ちょっといきさつを述べてみます。
学生時代に能楽研究部に所属していたころ、だいたい舞台では、1~2年連吟と2~3年連吟が行われていました。
1~2年連吟では、1年生が役謡で、2年生が地頭。2~3年連吟では2年生が役謡で3年生が地頭を勤めます。
1~2年連吟は、観世流初心謡本の15曲の中から選ばれますが、2~3年連吟は地頭が好きな曲を選びます。
3年生となった私は、連吟の地頭に指名され、曲を選ぶ権利を得ました。
観世流独吟集という、連吟でやると丁度良い謡い所を集めた冊子があります。それをパラパラめくって曲目を考えていたら、「船橋」という曲にめぐり合いました。
ふと謡ってみると、これが良いテンポの曲なのです。
拍子不合の謡から、大ノリ、中ノリと、リズムが色々変わり、稽古しがいのある構成です。
ちょうどその頃、観世流で「船橋」が上演されたので、能楽堂へ見に行きました。
何だか、思い入れを持って見ていたせいか、とても感銘を受けました。
これは、隠れた佳作だ。
それで私は、連吟の曲目を「船橋」にしようと提案しました。
ところが仲間から大ブーイング。あっさり却下されました。
結局、連吟の曲目は「草子洗小町ロンギ」というよくあるものとなりました。
「船橋」に変に思い入れが出来てしまった私は、おさまりがつかず、「船橋」の仕舞の稽古を、当時習っていた先生にお願いしました。
先生は開口一番、「そんな曲知らない」とおっしゃりながらも、珍しい曲を楽しんで稽古してくださいました。
私はこの曲をすっかり気に入って、学生の舞台でも度々演じ、「船橋」は一時私のトレードマークになりました。
すると、その後何年か「船橋」のブームが起こりました。
私の後輩たちが、次々と「船橋」の稽古を始めたのです。
なんとなく、隠れた佳作を発掘して、いい気分でした・・・
私が、「船橋」に思い入れがあるのは、そんな理由です。
学生時代から続く思いが、完結します。
ご覧頂いたお客様に、
全然見たこと無いけど、「船橋」っていい曲だなあ
そう思って頂ければと思います。
おかげさまで、チケットはめでたく完売です。
当日はどうぞ宜しくお願い致します。
この「船橋」、けっこう珍しい曲です。
私は自分で、この曲を希望しました。
ずーっと機会があれば、演じたいと思っていました。
なぜそんなに思い入れがあるのか、ちょっといきさつを述べてみます。
学生時代に能楽研究部に所属していたころ、だいたい舞台では、1~2年連吟と2~3年連吟が行われていました。
1~2年連吟では、1年生が役謡で、2年生が地頭。2~3年連吟では2年生が役謡で3年生が地頭を勤めます。
1~2年連吟は、観世流初心謡本の15曲の中から選ばれますが、2~3年連吟は地頭が好きな曲を選びます。
3年生となった私は、連吟の地頭に指名され、曲を選ぶ権利を得ました。
観世流独吟集という、連吟でやると丁度良い謡い所を集めた冊子があります。それをパラパラめくって曲目を考えていたら、「船橋」という曲にめぐり合いました。
ふと謡ってみると、これが良いテンポの曲なのです。
拍子不合の謡から、大ノリ、中ノリと、リズムが色々変わり、稽古しがいのある構成です。
ちょうどその頃、観世流で「船橋」が上演されたので、能楽堂へ見に行きました。
何だか、思い入れを持って見ていたせいか、とても感銘を受けました。
これは、隠れた佳作だ。
それで私は、連吟の曲目を「船橋」にしようと提案しました。
ところが仲間から大ブーイング。あっさり却下されました。
結局、連吟の曲目は「草子洗小町ロンギ」というよくあるものとなりました。
「船橋」に変に思い入れが出来てしまった私は、おさまりがつかず、「船橋」の仕舞の稽古を、当時習っていた先生にお願いしました。
先生は開口一番、「そんな曲知らない」とおっしゃりながらも、珍しい曲を楽しんで稽古してくださいました。
私はこの曲をすっかり気に入って、学生の舞台でも度々演じ、「船橋」は一時私のトレードマークになりました。
すると、その後何年か「船橋」のブームが起こりました。
私の後輩たちが、次々と「船橋」の稽古を始めたのです。
なんとなく、隠れた佳作を発掘して、いい気分でした・・・
私が、「船橋」に思い入れがあるのは、そんな理由です。
学生時代から続く思いが、完結します。
ご覧頂いたお客様に、
全然見たこと無いけど、「船橋」っていい曲だなあ
そう思って頂ければと思います。
kuwata_takashi at 23:00│Comments(0)│TrackBack(0)│