鐘後見で貢献かねぇ身体表現研究 2

2010年07月21日

身体表現研究 1

5月から7月にかけて、芸術造形研究所というところで、「身体表現研究」なる講座をしておりました。

芸術造形研究所とは、臨床美術士を養成する機関です。
臨床美術士とは、認知症や心の病を患っている方に、絵画や音楽の力で心を豊かにして治療に役立てる医療技術士のことです。

元来、人間の心には絵や音楽を心地よく思う感性が備わっています。
感性を豊かにする臨床美術という医療行為は、今とても注目されている分野のようです。

臨床美術士の3級を取得するにあたり、「身体表現研究」という授業が必修となっています。

その講座を、私が担当させていただくことになったのです。

講座をお受けしたのは良いのですが、何をして良いのか迷いました。
臨床美術士を目指す人に、能楽師の私が何を教えられるのだろう・・・

そもそも「身体表現研究」とは、自分の体の効率のよい使い方を学んで、臨床美術の現場に役立てるための授業です。
きめられたカリキュラムはなく、どのように授業を組み立てても良いと言われました。

前任者は、どういう授業をしていたのか聞いてみますと、バリ舞踊や格闘技の体の使い方を練習して、自分なりのパフォーマンスを作るという授業だったようです。

実は、今まで二回、その授業の一環として一コマだけ授業を担当させて頂き、私は単純に謡いと仕舞を教えただけでした。

それが好評だったのか、今回は6回の講座の全てを受け持つことになりました。

担当者と打ち合わせします。

「前任の方は、バリ舞踊や格闘技の動きを教えていたんですよねえ。私はどうすれば良いですか?」

「どのようにしていただいても結構ですよ」

「でも、私に出来ることといったら、謡いや仕舞を教えることくらいしかありません。そんな普通のことやっても、どうですかねえ・・・」

「・・・・謡いや仕舞の稽古は普通のことではないですよ」

「え!! まあ一般の人にとっては確かにそうですねえ」

「よし、それでいきましょう」


かくして、絵や彫刻がならんでいる部屋で、6回シリーズで謡いと仕舞を教えることになりました。


kuwata_takashi at 16:46│Comments(0)TrackBack(0)

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