仕舞鐘後見で貢献かねぇ

2010年06月26日

後見で貢献

今日は「のうのう能」
昼の部は、「のうのう能プラス」として、観世喜之師が「天鼓 弄鼓之舞」をお勤めになりました。
私は、後見の役を頂戴しました。

後見は、能の上演中ずっと鏡板の前に座っている役です。場合によっては、何もせずに本当に座っているだけのこともあります。

そんなことから、一般的には軽い役のように思われますが、とんでもありません。

後見は、能において舞台監督のような役割です。
常に舞台全体に気を配って、舞台の進行がスムーズに行われるように勤めます。
舞台上での着替え(物着)や、持ち物の受け渡しなど、舞台の流れを壊さないように滞りなく行わなければなりません。

また、舞台上のトラブルにはすぐさま対応する必要があります。
例えば、シテの装束の袖が絡まったり、持ち物を落としたりすると、すかさず直します。
シテやツレが言葉を絶句すると、正しい言葉をつけなければなりませんし、舞台上で約束事を違えたら、正しく導かなければなりません。

もし、シテが何らかの事情で舞台を欠勤する場合は、後見が変わることになっています。
それどころか、舞台上でシテが急病などで舞うことが出来なくなったら、後見が引き続き舞う決まりです。(実際に、そういった例は何度もあります)

つまり、後見はシテと同格以上のものでなければ勤まらないことになります。

師匠がシテの時、主後見は当然長老格の者が勤めます。
今日の主後見は、若師匠でした。

主後見がシッカリしている場合、副後見は勉強のため、若手が勤めることもよくあります。
今回はまさにそのケースです。


後見の大きな仕事に、楽屋でシテの装束をつけるというものがあります。

能では、衣裳屋さんやスタイリストなどはいません。能楽師がお互いに着け合います。

その時中心となるのが、後見なのです。

今回は、当然若師匠が装束をつける立場です。私は後ろでサポートするつもりでした。

いざ、装束を着ける時が訪れました。若師匠は・・・・
舞台で解説しています。

では誰が着けるのだろう・・・
その場の流れで、私が師匠の装束を着けさせていただくことになりました。

装束着け・・・・
これは大変な仕事です。
今までだって、シテに装束を着けるなんてことはほとんどありません。
それが、師匠の装束だなんて。。。
当然、初の経験です。

「え、私で良いのかしら…」

と思いつつ、師匠の装束着けを始めました。
最初に襟を巻く時、目の前に師匠の顔があります。
思わず手がプルプルと震えてきました・・・

「天鼓」の前シテも、小書が着くと特殊な格好となります。
不安を感じつつ、恐る恐る着け上げました。

いやあ、緊張しました。
上演中、装束に何かトラブルが無いかどうか、ヒヤヒヤでした。
何かあったら、着けた私の責任ですから。

大きなトラブルもなく、能が終わると心の底から安堵しました。

本当に後見は大変な役です。


kuwata_takashi at 23:04│Comments(0)TrackBack(0)

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