「茉莉会」御礼「大般若」飛天

2009年11月21日

初めての地頭

昨日、「のうのう能」公演にて「安達原」が出ました。
私は、地頭という大役を勤めさせていただきました。

地頭とは、地謡のリーダーでして、一曲の成否を決定するといっても過言でない、とても重要な役割です。
普通は、経験豊富な年長者が勤めます。

「のうのう能」は、観世喜正先生が能楽初心者への普及を目的に主催なさっている公演です。
またこの公演は、九皐会門下の若手の底上げをはかる目的も備えています。

シテや地頭などは、柔軟に若手が登用されています。
そういう趣旨の会ですので、私も地頭という大役を仰せつかることとなった次第です。

今まで、稽古能や学生能などで勉強のために地頭をさせていただくことはありましたが、こういう有料の催しで地頭を勤めるのは初めてのことです。

とにかく緊張しました。
シテと地頭は同格と、良く言いますが、それはあくまで表面上のこと。

シテのミスは、自分に返ってくるだけです。結局、自分が評価を下げるだけです。
地頭のミスは、シテの演技に大きく影響します。それによってその日の能を台無しにしてしまうことになります。

地頭は、あくまでシテが気持よく舞えるための縁の下の力持ちなのです。

先日、NHKの芸能花舞台という番組で、私が敬愛する能楽師の追悼特集をやっていました。
その中で、「シテと地頭は野球のバッテリーのようなもの」
という言葉を聞きました。

当代一の名地頭と呼ばれた方らしい、良い言葉です。地頭とは、ピッチャーを影で支えるキャッチャーなのです。


そんな身に余る大役です。
本当に緊張しました。シテを舞うときより、よっぽど緊張しました。
「安達原」なんて、しょっちゅう謡っている曲なのに、不安でしかたありません。


初めての地頭を、終えて見て。

うーん。あんなものかなあ・・・

終わった時の感想は、
「精一杯謡ったなあ・・」
「ふー。無事に終わった・・」


シテの演技に影響するような大きなミスは無かったかと思います。
でも、それだけだったのかもしれません。


とにかく良い経験をさせていただきました。

魅力ある地謡を謡えるように、日々精進していきたいと思います。


at 23:40│
「茉莉会」御礼「大般若」飛天