あれ・・・ 何時だっけ?みんな芸術が好きだった

2009年10月11日

羽衣伝説

昨日は、能「羽衣」のご当地・三保の松原にて「羽衣」の上演という素晴らしい催しでした。

有名な「羽衣伝説」ですが、能「羽衣」では舞台は三保の松原となっています。
ところが、この「羽衣伝説」は至る所にあるそうです。

先週公演で行った、京都の丹後地方にも「羽衣伝説」は存在し、「羽衣の里」という場所もあります。

清水や丹後だけではなく、本当に色んな場所に存在します。
有名なところでは、滋賀県伊香郡余呉町余呉湖、千葉県佐倉市、鳥取県東伯郡湯梨浜町羽衣石、大阪府高石市羽衣、沖縄県宜野湾市真志喜 などです。


去年、バリ公演に行ったとき、時間が空いたので、美術館に行きました。
アルマ美術館という、バリ絵画の美術館です。

神々が住む島と言われるバリです。生活と信仰が一体化しているこの島で描かれる絵画は、ほとんどすべてが宗教画です。
圧巻の絵画の数々をのんびりと眺めていると、凄い絵を見つけました。

バリの神々の絵の中に、天女のような神が描かれている絵を見つけました。
しかも天女は木に衣を掛けて水浴びしています。
そして、その衣を男が、まさに盗もうとしている瞬間の絵です。

バリという所はありがたい所で、美術館の絵画の説明にも全て日本語表記があります。
その説明文を読んでみると・・・

「7人の天女が水浴びをしている。猟師のラジャパラは天女ケン・スラシーの羽衣を盗みとろうとしている。こうしてケン・スラシーは地上に留まらざるを得なくなる」

これはまさに、「羽衣伝説」です。
バリでは、7人の天女のうち、1人だけが地上にとどまってしまう伝説のようです。

よく、「羽衣伝説は日本だけでなく、世界中にあります」
などという説明を見ますが、その実例を目の当たりにしました。

バリの「羽衣伝説」に基づいた絵画は、他にも数点存在したので、バリでは結構広く知られた伝説であると思われます。
調べたら、羽衣伝説を基にした「ラジャ・パラ(Raja Pala)」というバリ舞踊まで存在するようです。
舞踊の「ラジャ・パラ」と上の絵の説明文とでは、話や舞台が違いますので、バリの「羽衣伝説」にも色んなバリエーションがあるようです。

それにしても・・・
バリには、獅子舞(バロン)もあるし、「羽衣伝説」もある。
バリ舞踊と能の関連性も、広く言われています。
日本芸能との共通点の多さには驚かされます。


at 22:38│
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