体が資本真面目な国民性

2009年09月30日

引き際

先日の緑泉会にて、私の「敦盛」と、もう一番稀曲の「六浦」が出た。
「六浦」のあらすじはざっと以下の通りです。

昔鎌倉の中納言為相卿(藤原定家の孫・母は阿仏尼・冷泉家の祖)という人が、紅葉を見ようと思ってこの寺へやって来たところ、山はまだまだ紅葉していないのに一本だけ色濃く紅葉している楓を見て感動して一首の和歌を詠む。その歌に感動した楓は、このように面目をほどこしからには、身を引くのが天の道だと考え、その後諸木みな紅葉している中にただ一本だけ紅葉せずに緑を保っているという。

その楓の精がたおやかに舞を舞うのが「六浦」の見どころです。
さてこの楓、和歌に感動して次のように言います。

「功成り名遂げて身退くは天の道」

以後、紅葉することから引退したというのです。
「功成り名遂げて身退くは天の道」とは、中国の老子が残した有名な言葉です。
能では、「船弁慶」のクセにも取り上げられていますので、ご存じの方も多いと思います。

成功を収めて名声を得た人は、後進に道を譲って退くのが天の道であるという言葉は、けだし名言であります。


ある政党の総裁選のニュースが入ってきました。
私は、その政党のお偉方に、この言葉を贈りたいと思います。

どうして、一国の首相まで勤めた方が、いつまでも権力にしがみついているのでしょう。
その首相の座を投げ出した人が、どうして偉そうにしているのだろう?

その点、あっぱれだったのは、小泉元首相。
彼はまさに、老子の言う「天の道」を心得ていましたね。




at 10:18│
体が資本真面目な国民性