休暇富岡八幡宮例大祭 能奉納

2009年07月17日

深夜の特訓

先日、若竹会の稽古能がございました。
この稽古能の特徴は、稽古用の装束を着けて行われる点にあります。

演者にとってみれば、能面と能装束をつけて、より本番に近い形で演じられるので、良い機会であることは当然ですが、我々若い者にとっては、他にも素晴らしいことがあります。

それは、装束着けの勉強が出来るということです。

若い者は、なかなかシテの装束を着ける機会はありません。
能では、だいたい後見が、装束着けを担当します。

若いうちは、装束着けの責任者の主後見の役割を頂くことはまずありません。
だから、のほほんとしていると、いざ主後見を頂いた時にあたふたいたします。

装束着けは、とにかく「慣れ」が何よりも大切です。
装束を着ければ着けるだけ、上手くなれるといっても過言ではありません。
ただ、実践で若い者がなかなか装束を着けさせてはもらえません。
やはり、演者はキレイに着けてもらいたいですから、どうしても手なれた人にお願いすることになります。

そういう意味で、若竹会は装束着けの稽古の絶好の場といえます。


さて、先日の稽古能「屋島」で、私は後見が付き、装束着けをさせていただきました。

「屋島」の装束で厄介なのは、尉髪という、時別な髪の結い方をすることです。
ちょんまげみたいな型に結う、能独特の髪形でしょう。

最初に束ねられた尉髪は、頭のてっぺんでポニーテールのように根元を縛って土台をつくります。
その時、特別な結び方をするのです。

稽古能の前夜、ふと不安になりました。

「あれ? 尉髪ってどう結ぶんだっけ?」

よし、練習しよう。何か、ポニーテールみたいに、細いものが直角に上にあがっているものないかな・・・

目に入ったのは、子供の消防車のおもちゃ。

これは良い。
消防車のハシゴをメイイッパイ伸ばし、その根元を、麻紐で結び始めました。

「えっと、こうしてこうやって・・・」
「あ、こうやるんだっけ」

消防車を使っての、大特訓です。


すると、そこへ息子がやってきました。
自分が大事にしている消防車は、父親によって麻紐でグルグルに縛られています。

一瞬の静寂のあと、息子の大号泣・・・

「いや、これは尉髪を結う練習をしているだけなんだよ。。。」

当然のことながら、3歳の息子にはいくら言っても無駄でした。。。

息子よ、いつかわかる時が来るぞ。


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