ソロから 2バリから 2

2008年10月20日

バリから 1

ジャワ島を離れて、いよいよ最終目的地のバリ島のウブドへ到着しました。

バリ島へ来て、もうビックリ仰天。もう、一大リゾート地。今までの、ジャカルタやソロと同じ国とは全く思えません。
そもそもジャワ島とバリ島とでは、文化や風習が全く異なります。
ジャワはイスラム教の島ですが、バリはバリ・ヒンドゥ―教の島です。
偶像崇拝を否定するイスラムに比べ、ヒンドゥーのバリでは、いたるところに神々の像が存在し、ある意味とても華やかです。

私たちが公演を行う、ウブドという村はバリ舞踊のメッカとして知られています。
私は、さっそくどこかで見れないか聞いてみました。すると、私たちが公演を行う寺院でちょうどお祭りをやっていて、奉納の舞踊が見れるというではありませんか。私は、また飛び出して行きました。

行ってビックリ!!!
まず、老若男女凄い人。それらの人々が全員、サファリとウダンなどという正装をして祭礼に参加しています。
ヒンドゥー寺院に入るためには、原則として正装をしなければなりません。

屋台なんかも出ていて、雰囲気は日本の祭りと変わりません。
しかし、奉納舞踊が始まったときの熱気は、とんでもないものがあります。
私も、8月に深川八幡祭りでのガムラン奉納公演に参加しましたので、何となく様子は分かります。
深川バロン倶楽部の奉納公演と同じ舞踊もかなりあって、とてもためになります。

村人たちの熱気に煽られて、踊っている人たちのテンションもヒートアップ。
そして、驚くことにバロン・ダンスまで登場してきました。

バロンとは、各村の寺院に祀られている御神体で、お祭りの奉納公演でもめったに出てこない有難い舞踊です。
深川バロン倶楽部は、その名の通り、日本でも殆ど唯一バロンの奉納公演を行っていることで知られています。

とにかく、バロンが出てきた時の村人たちのハイテンションぶりはすさまじかったです。
村人たちの熱狂ぶりを見るのもまた楽しいものです。


途中、踊り手たちは、完全に「トランス(要するにイッちゃってしまった)」状態となり、ついには床に倒れ伏します。すると、儀式を取り仕切る人が現れて、聖水を踊り手にかけて正気に戻していました。


奉納は延々と続きます。夜中12時を回ったころです。また村人たちが騒ぎ出しました。またなにか出てくるようです。祭場に続々人が集まってきます。

すると、警備の人が何やら言っています。どうやら座れといっているようです。
あまりの人の多さに座らないと後ろの人が見えないのかな・・・ と思って座りました。

しばらくすると、今度は魔女ランダの登場です。
バロンが正義の象徴であるならば、ランダは悪の象徴。バリ人の世界観では、正義は常に悪とともにあるということになっており、ランダもまた御神体なのです。
バロンとランダは永遠に終わらない戦いを繰りひろげることになっています。そこには勧善懲悪は存在しません。

ランダが出てくると、一心不乱に手を合わせる老夫人もいます。
警備の人が座れと言った理由が分かりました。ランダは神様だから、立って見るんじゃないということのようです。
その証拠に、ランダが退場すると、村人たちは立ち上がりました。

祭りは延々と続いています。気がつくと同行の能楽師は殆ど帰っています。私と、今回の能楽の団長T師だけになっていました。

後半は、話芸が中心の舞踊に移ってきました。
たぶん、凄く有名な道化役者が出ているのでしょう。村人たちは大ウケです。夜1時を回っているのに、ある意味で今日一番の盛り上がりを見せています。ただ、バリ語が全く分からない私は、少々退屈してきました。
1時半ころ、結局お祭りを後にしました。
結局、2時半ころまで奉納公演は行われていたそうです。

それにしても、凄いお祭りでした。
こんな熱気で、かれこれ三週間行われているそうです。

踊り手たちは、基本的には村の人たち。バリでは、各村でそれぞれの舞踊団がバリ舞踊を伝えているのです。
ただ、現地の人に聞くと、中には有名なプロの舞踊家も混じっているそうです。
かなりの有名人も客演していて、確かにその人の踊りは、オーラが全く違います。

今回は、かなり大きなお祭りのようでして、奉納舞踊も滅多にないほど大きな規模だそうです。
なにせ、今回のためにバロンを新調したというのですから、驚きです。
さらに祭場も新調したようです。

祭りは明日までだそうです。
そして、明後日からいよいよ、新調した祭場で能公演です。

とても良い物を見ることができた、バリ初日でした。


at 15:36│
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