深川能舞台 建築記(5) 施工先ぽけかる倶楽部

2008年03月27日

引き渡し、そして新生活

今日、今まで約6年間住んでいた葛西のマンションを引き渡しいたしました。

引き渡しに際して、昨日掃除に出かけました。

全ての荷物が運び出されて、何もなくなったマンション。
前日まで普通に生活していたのがウソのようです。

掃除していると、ここに住んでいた6年間の出来事が、ありありと思い浮かんできます。

いろんなことがありました。

この部屋に、引っ越して来た時は1人で広々と使っていました。
結婚して、長男が生まれて、次男が生まれて、だんだんと家族が増え、手狭になってきました。

泣いたり、笑ったり、怒ったり。
思い出は尽きません。

その過程を、ずっと包み込んでいたこの部屋には、言い表せない思いがあります。
その思いを、謡に込めました。
祝言謡を心を込めて謡って、お別れいたしました。

「尽きせぬ宿こそめでたけれ」



……いつまでも思い出に浸ってはいられません。
新しい土地で暮らしていかなければなりません。

移り住む深川は、これぞ正に下町ド真ん中という場所です。

引っ越した日の夕方、蕎麦を持って、ご近所に挨拶しました。
挨拶の流れで、こう言いました。
「いつでも遊びに来て下さい」


次の日の朝10時、両隣の方が一升ビン下げて、さっそく遊びに来ました。
下町には社交辞令というものは存在しません。

さっそく町内会からも、一升ビンとビールがお祝いとして届けられました。


引っ越した次の日、近所に買い物に出かけました。
道でご近所の方とすれ違うと、当たり前のように話かけてきます。

「ウチのリビングから、おたくの3階がよく見えるのよ」
「今日は良い天気ね。そういえばさっき洗濯物干していたわね」

下町にはプライバシーも存在しません。


お米屋さんに買い物に行くと、当たり前のように家まで配達して下さいますし、お肉屋さんは地元商店街の発行するスタンプカードを紹介して、スタンプをベタベタ貼って下さいます。

とても温かい街です。


at 23:30│
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