二つの能楽サロン「葵上」御礼

2007年04月07日

生き仏

いささか旧聞ですが、先月末に観世流最長老(たぶん)の塩谷武治師が亡くなりました。
数えで享年101歳。

亡くなる直前まで舞台に立っていた鉄人でした。
恐らく、ギネスブックものでしょう。

大阪在住の塩谷師とは、一年に数回お目にかかるだけでした。
最後にお目にかかったのは去年の大阪九皐会。
塩谷師は「養老」の仕舞をなさってました。

100歳にして、背筋は真っ直ぐに伸び、たおやかに舞う姿は神懸かってました。
正に老いを養う、「養老」の神。


塩谷師は、たいへんなお酒好きとして知られています。
亡くなる2週間位前まで、晩酌は欠かさなかったようです。

また、塩谷師はとても信仰深く、興福寺薪能や薬師寺の奉納能などでは観世流の取りまとめとして毎年獅子奮迅の活躍でした。私が知っている塩谷師は、既に90代でしたが、とてもエネルギッシュに活動なさっていました。

先代の観世喜之師が亡くなって30年以上経ちますが、塩谷師はその間毎月、月命日には大阪の観世喜之師の家の仏壇にお参りにいらしていたそうです。


大阪で行われたお通夜に駆けつけました。

長命で、活動的で、信仰深く、お酒を愛する塩谷師に少しでもあやかりたいと、手を合わせました。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


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二つの能楽サロン「葵上」御礼