風邪「清経」御礼

2006年06月07日

清経

今日は、九皐会の申合。今月私は「清経」を舞います。

この曲、特にクセは大好きな舞でして、前からやりたかった曲です。
でも、やってみて大苦戦です。

やはり一番難しいのは、舞台に出て最初に謡うところです。
妻の枕元に立つ清経は、自分が自害した経緯を妻にとつとつと語ります。

夢枕に呆然と現れる場面なので、あまり激しく強くは謡えません。
そうは言っても武将の出で立ちですので、芯には強さが欲しいところです。
長い独白の形ですので、情緒たっぷりに心持を持って謡いたいところですが、あまりたっぷり謡うと間延びしてしまい、どうにも聞き苦しくなってしまいます。

色々思うところがあって、自分なりに謡ってみました。

何せ、シテが出てきて約5分位ずっと謡っています。この謡で「清経」という曲の良し悪しが決まるといっても言いすぎでは無いでしょう。

当日までに、もう少し練っておこうと思います。


ところで、申合終了後、前々より注文していた「鬘」を取りに行きました。
「鬘」とは、女性の役の頭に付ける髪です。そうです、あの黒くて真直ぐな髪の束です。
能では、「かつら」とはいいません「かずら」と言います。

私は今まで持っていませんでした。初の購入です。

鬘屋さんで鬘を受け取り、紙袋に入れて喜び勇んで帰りました。
帰りの地下鉄は、そろそろ夕方のラッシュとなり、けっこう混んでいます。
両手一杯の荷物を抱えていたので、鬘の入った紙袋は足元に置いています。
そのとき、不意に地下鉄が揺れました。

足元の紙袋は倒れ、中から鬘がすべり出てきました。


混雑した地下鉄の床に広がる、長い女性の髪!!!


周囲の人が恐れおののいたのは、言うまでもありません。


at 23:50│
風邪「清経」御礼