2025年09月
2025年09月22日
映画「六つの顔」

映画「国宝」が空前の大ヒット上映中ですが、こちらの映画は実際の人間国宝・野村万作師のドキュメンタリー映画です。
94歳にして舞台で狂言を演じ続ける、野村万作先生のお姿は神々しいです。誇張抜きに光り輝いていらっしゃいます。
今年の座長公演「桑田貴志能まつり」にもご出勤いただき、その至芸を目の当たりにしました。
この映画は、万作先生の舞台人としての生き様を描いています。
九皐会「阿漕」も終わってホッとしたところで、先日鑑賞しました。とても感銘を受けました。
銀座・新宿・吉祥寺・恵比寿・青梅など、様々な映画館で絶賛上映中です。
kuwata_takashi at 21:17|Permalink│Comments(0)│
2025年09月14日
「阿漕」御礼

観世九皐会「阿漕」、無事に終わりました。
32度を超える猛烈な残暑の中、満員のお客様にお運びいただきましたこと、この場を借りて御礼申し上げます。
「阿漕」は、「善知鳥」「鵜飼」と共に三卑賎物と言われます。
能のシテは前半に老人姿で登場しても、実は神様だったり、在原業平や源義経などの歴史上の人物だったり、草木の精霊であったりするのですが、この三曲は実は卑賤な人物であるという変わった能です。
ただ能は、卑しい身分の人物だからといってボロボロの着物着てヨボヨボ出てきたりしません。
あくまでも、能としての美を能舞台で体現しなければなりません。
そういう意味では、存在自体が美しい貴婦人や美男子を演じるよりも、卑賎物はずっと難しい能と言えます。
この阿漕という能は、前半も後半も小道具の扱い方が難しく、その場面が大きな見せ場となっています。
前半は、釣り竿を持って登場します。

暗闇の中、こっそり密猟をする役どころなので、全体的に暗い色使いの装束を選びました。
前場の最後には、激しい嵐の中で釣りをするシーンを見せます。
その時、釣り竿に糸を巻き付けるシーンが二度登場します。
ここが、なかなか難しいのです。

もうちょっと巻き付けられれば良かったのですが・・・
後半は、網を持って登場します。
これを舞台に仕掛けて

仕掛けた網に、魚を追い込んで網で魚を釣り上げるという面白い所作を見せます。

これを、能面を着けて視界が狭い状態で自然に演じるのはたいへんに難しいのです。
手元は良く見えないので手探りでの作業になります。
そんな中、首尾よく出来たかなあと思います。
上の写真のように、手持ちの竿を左足の指で挟むのですが、これがなかなかうまくいきません。
この辺かなあと足を竿に乗っけたら、ちょっと上の方を踏んでしまいました。このままではうまく持ち上がりません。
手探りならぬ足探りで、足を指の間に竿が来るようにコソコソと動かしました。我ながら器用なことをしたものです。
網を引く糸も、引きやすいようにうまく束ねるのですが、これも手元が全く見えない状態で束ねました。
そんな風に細かな技を効かせながら、何とか網を持ち上げられました。

前場の釣り竿に糸を巻くところと、この網を持ち上げる所作は、200以上ある能の演目の中で「阿漕」にしかない型です。
上手くできるように、事前に何度も練習しました。
首尾よく出来てホッとしています。
このように特別な型をしなければならないので、「阿漕」は演者にとって難しいですが、やりがいのある能だと思います。
実際に演じていて楽しかったです。
後場で使用した扇は「阿漕扇」という阿漕専用の扇です。
観世喜之師匠が、観世姓の能楽師として初めて能の最奥の秘曲「関寺小町」を演じた時に、観世宗家からお祝いにいただいた扇です。
お宝の扇を使用させていただいて、たいへんに光栄なことです。

これが、「阿漕扇」です。
前場で、語りからロンギまで15分位座る場面があります。
左膝半月板損傷がまだ完治していないので不安でしたが、何とかなりました。
左膝の状態もだいぶん良くなってきました。
身体には気を付けつつも、これからも全力で良い舞台をつとめたいと思います。
kuwata_takashi at 22:30|Permalink│Comments(0)│
2025年09月13日
明日、九皐会「阿漕」

明日は、九皐会にて「阿漕」を演じます。
「阿漕」に因んだお菓子をいただきました。
津市の名物・平治煎餅です。

能「阿漕」では、阿漕の漁師は禁漁地で密漁を行うズルい漁師(アコギな漁師)として描かれますが、伊勢の伝説では、病気の母親のために禁を犯します。
この伝説を知っていれば能「阿漕」の見方も変わってきます。
伊勢の漁師(平治という名前)に思いを馳せながら、明日の「阿漕」に臨みたいと思います。
kuwata_takashi at 20:09|Permalink│Comments(0)│
2025年09月04日
9月九皐会「阿漕」
この能は、密漁を犯し、捕らえられ非業な死を遂げた後も罪に苦しむ漁師の姿を描いたお話です。
阿漕が浦(三重県津市)は、伊勢神宮に供える魚を捕るよう決められた禁漁区でしたが
何度も密漁した漁師の行為は露見し、処罰されました。
漁師が地獄に苦しむ様子を語り、網を仕掛ける所作が見どころです。
「あこぎな商売」など現在でも使われる言葉は、元々は「度重なれば露見する」という意味で使われ、
能の「阿漕」に由来しております。段々と「貪欲、図々しく、しつこい」の意味が加わり、現在では
主にこちらの意味で使われるようになりました。
狂言は野村萬斎師による「長光」です。刀にまつわるお話です。
チケットは、正面席と脇正面席は完売いたしましたが、中正面席はまで残席ございます。
ご希望の方は、私または矢来能楽堂事務所までお願いいたします。
チケットサイト・カンフェティでもお求めいただけます。
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ご希望の方は、私または矢来能楽堂事務所までお願いいたします。
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kuwata_takashi at 15:03|Permalink│Comments(0)│

