2024年01月
2024年01月31日
下甑島にて能楽公演
朝、ホテルの窓を開けると素晴らしい朝日が飛び込んできました。
下甑(しもこしき)島というところに、文化庁学校巡回公演に行きました。
下甑島は、鹿児島県薩摩川内から、西に2時間半ほどフェリーで行ったところにある離島です。
離島の診療所の物語を描く「Dr.コトー診療所」という漫画や映画の舞台となった島だそうです。
人口1700人ほどの小さな島の中学校での学校巡回公演。
このような離島での公演こそ、文化庁学校巡回公演の事業の意義があるように思います。
今まで、西表島や徳之島や壱岐島など、いろいろな島に行きました。
その中でも下甑島は、最も小さな島でしょうか。
離島の生徒さんたちにとって、生の能と狂言を学校の体育館で見ることが出来るなんて、素晴らしい体験となったことでしょう。
演者の一員としても、こういう場所で演じることが出来ることは貴重なことです。
それにしても、時間がかかりました。
朝、10時ころ自宅を出て、羽田空港から鹿児島空港まで2時間。鹿児島空港から薩摩川内港までバスで1時間半。薩摩川内港から下甑島までフェリーで2時間半。
下甑島のホテルに着いたのは19時でした。
下甑島に着くと、真っ先に郵便局の車が出てきました。当然ですが、下甑島にも郵便局はあります。
仮に、東京から下甑島にハガキを出しても、63円で届きます。
郵便局の全国統一料金って凄いと、感心しました。
帰りは、フェリーの時間の関係でもっと時間がかかりました。
12時ころ学校を出て、自宅に着いたのは23時半。
長旅でしたが、清々しい気持ちです。
2024年01月26日
マレーシアから来たれる
先日、香港で20年前に教えた学生と再会した話をしました。
やはり20年前に教えたマレーシア人の学生が日本に来ているそうです。
この前の香港の2人の学生もそうですが、20年も前に教えたのに、未だに覚えてくれていて連絡をくれることをとても嬉しく思います。
彼女はマレーシアの演劇界ではかなりの地位にいるようです。まあ、それだけ20年の月日は大きいのですが。
東京に来るというので、20年前に同じくシンガポールで教えた日本人の学生(今は国際的に活躍している役者です)と彼の奥様も交えて食事をしました。
食事の前に、矢来能楽堂にて観世喜正師に会いに行きます。
観世喜正師は、お稽古の合間に彼女と少し談笑。
その後、神楽坂の和食の店に移動して昔話に花を咲かせました。
20年前のことですが、本当に昨日のことのように思い出します。
私も本格的に外国人に能を教えたのは初めてでしたので、本当に印象深いです。
20年前、シンガポールで能を教えたマレーシア人と日本人と、東京で再会するって、嬉しいことです。こんな風にお互いに役者として活躍している中で、20年後に昔を思い出して笑い合っている状況って、とても良いなあと思います。
2024年01月20日
深川江戸資料館「新春能楽初め」
香港から帰ってはや6日。
東京のあまりの寒さにまんまと風邪をひきました。
香港は今が一番寒い季節と言っていましたが、それでも日中は22~24度くらいはあります。東京の10月くらいの気候です。
暑くも寒くもなく、ちょうど良い気温なのですが、向こうの流儀なのでしょう。室内はどこもかしこも冷房がガンガン効いています。寒くてたまりません。
そんな状態だったので、実は香港にいるときから後半は少し風邪気味でした。
ただ、香港で風邪を引くわけにはいかないと、日本から持ってきた風邪薬をこまめに飲んで、何とか乗り切っていました。
やはり日本に帰ってきて気が緩んだのでしょう。久しぶりの風邪です。
思えばコロナ禍の間、感染症予防を徹底していたおかげで風邪らしい風邪は引きませんでした。
だから、免疫力や抵抗力が無いのでしょうか、今までにないくらい重い風邪の症状です。
月曜日から調子悪くなり、今日は丸6日目なのですが未だに声がかすれます。
そんな中、恒例の深川江戸資料館にての「新春能楽初め」
45分の時間、出ない声を振り絞って懸命に謡い、お話いたしました。
香港に行っていたので、この後のスケジュールもパンパンです。
頑張って乗り切るぞー!!
2024年01月13日
香港から 最終回
「風姿花伝 能劇大師班」もいよいよ最終日。
今日は4時間の稽古のうち、最初の3時間はリハーサル。最後の1時間が発表会です。
最初、本番同様に2~3人のグループに分かれて通してやってみると・・・・
けっこうポロポロ間違えます。
今まで、少なくても6人くらいのグループにて稽古していたので、少人数だと面食らったようです。
人数が少ないので、当然ながら間違えると目立ちます。しっかり覚えなければキチンと舞えません。
こちらとしてみれば、まさにそれが狙いです。しっかり覚えて、自身の体に身に着けてもらいたいの、こういった機会をあえて設けました。
ひと通りリハーサルをやった後、15分間の自主稽古の時間を与えました。
参加者たちは、それぞれのグループに分かれて目の色を変えて稽古しています。
みんなお互いに教え合いながらの自主稽古です。発表会で良いパフォーマンスが出来るように必死になっています。
ああ、この雰囲気良いなあ。
私は「風姿花伝 能劇大師班」の成果を確信しました。
自主稽古の後、もう一度リハーサルを行いましたが、先ほどよりは見違えるような出来栄えです。
もう心配ありません。
参加者たちはリハーサルの後、発表会までのわずかな時間も懸命に稽古しています。
やはり、彼らは役者です。舞台という目標にむけて一体となっていく様は、見ていてすがすがしいです。
急に設定した発表会ですが、参加者の友人や借りているスタジオのスタッフなど何人かお客様も来ています。
お客様の前で演じる彼らは、何と生き生きとしていることでしょう。
良い発表会となりました。
フィナーレに全員そろって集合写真。
皆、良い顔をしています。
その後、私と記念に2ショット写真を撮りたいと希望する参加者が長蛇の列。皆、私と思い思いのポーズをとって記念写真をとり、喜んでくださっています。
その行列を見て、「ああ、香港に来てよかったなあ」と、しみじみと思いました。
夜遅くまで、ビールを飲んで語り合いました。楽しい時間でした。
「風姿花伝 能劇大師班」を、やり切った充実感でいっぱいでした。
シンガポールでも毎回そうなのですが、長い時間を共にした参加者たちと別れるのは寂しいものです。
また会えるかなあ。
幸い、この能ワークショップは好評であったそうで、主催者の方からまたぜひ開催したいとのお話をいただきました。
きっと、また香港に来ることになるでしょう。
再会を約束して、香港を後にしました。
再見!!!
2024年01月12日
香港から 8
香港での能ワークショップ「風姿花伝 能劇大師班」も、9日目です。いよいよ大詰めとなってまいりました。
7日目で「鶴亀」「羽衣」「屋島」を終えた参加者は、8日目に3曲の総復習をしました。
最初はとても苦労した「鶴亀」の仕舞をスイスイ舞っている姿に、参加者の成長が見られます。
8日目の総復習の後、最終日の発表会で舞う仕舞を一曲選んでもらいました。最後の2日は発表会に向けての稽古です。
9日目の今日、まだまだ仕上がりには不安がありますが、ここでちょっと息抜きもかねて能面体験をしました。
能のエッセンスを学ぶにあたって、能面を着けることは欠かせないことです。
でも、「ただ単に着けてみました」という体験講座の参加者みたいなことはしたくありませんでした。
能の構えも歩き方(すり足)もある程度固まり、仕舞の動きもしっかり覚えた今なら、良い経験が得られると思います。
最初に、持ってきた能面の紹介して説明しました。
参加者は、食い入るように見ています。
そしていよいよ、能面の体験です。まずは、着けるにあたっての心構えと作法を教えます。
「能面は、能役者の命であり魂がこもっています。心して丁寧に取り扱ってください」
こう言うと、神妙な顔で能面を取り扱っています。
いざ、能面を着けて仕舞を舞わせてみました。
なかなか、上手に動ける人もいれば、完全に迷子になってしまう人もいます。
参加者をいくつかのグループに分けて2回ずつ体験しました。
2回目は、慣れてきて結構対応してきていることに驚きました。
参加者にとって、貴重な体験であったと思います。