2022年03月
2022年03月21日
九皐会「須磨源氏」
来る4月10日(日)に、観世九皐会にて能「須磨源氏」を演じます。
この能は、「源氏物語」に題材をとっています。
舞台は、須磨です。そう、「源氏物語」の「須磨」の巻が典拠になっています。
「源氏物語」に題材をとった能は、「葵上」「夕顔」「玉鬘」「浮舟」「源氏供養」等、たくさんあります。
この能は、その中で光源氏をシテとする唯一の能です。
そして、他の源氏物の能では、光源氏と浮名を流した女性が登場しますが、この能には女性は全く出てきません。(「源氏供養」だけは、作者の紫式部をシテとする点で異質ですが)
この能には、男女の恋の話や情事などは全く出てきません。光源氏が「須磨」の巻で植えたとの記述がある桜の木が重要な役割となります。
前場は、光源氏の化身である老人が登場し、その桜を愛でて、光源氏の生涯を詳しく語ります。
後場は、光源氏が美しく登場し、華やかに舞を舞う趣向の能です。
能の中で扱われる「源氏物語」では、光源氏との純粋な恋物語や、悲しい恋愛、または激しい嫉妬などが、ひたすら女目線で描かれますが、この能にはそういった「恋バナ」は全く出てきません。
前場では、光源氏ゆかりの美しい桜と、光源氏の華麗なる生涯が語られ、後場はただひたすら光源氏の美しさを愛でられます。
徹底的に、「絶世の美男子・光源氏」を持ち上げる能です。
「源氏物語」は、映像化のたいへんに難しい物語と言われます。
というのも、光源氏を演じる役者がいないからです。
物語の中で、ことあるごとに「玉のような美しさ」とか「目を見張るような華やかさ」などと言われ続ける光源氏を、いったいどの役者が演じられるでしょうか。これは難しい問題です。
だから、「源氏物語」の評価の高さとは裏腹に、ドラマ化や映画化は極端に少ないそうです。
能という演劇は便利なものです。
能面で顔を隠すので、この私でも光源氏を演じることが出来ます。
きれいな顔立ちの能面をつけ、豪華な能装束を身にまとえば、能舞台で光源氏になることが出来ます。
日本史史上、最高のイケメンである光源氏をどう演じるか。
こうご期待ください。
kuwata_takashi at 17:02|Permalink│Comments(0)│