2021年04月
2021年04月15日
桑田貴志 能まつり「山姥」
昨年5月30日に予定しておりました、第11回「桑田貴志 能まつり」ですが、新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言により、残念ながら開催延期となりました。
この一年間、様々な能楽公演が延期・中止となりました。
舞台に上がれない日々が続き、悔しい思いもしました。今まで当たり前のことと思っていたことが当たり前ではなくなり、生活・行動様式も変わっていくことが求められます。
そんな時節ですが、「今まで苦労して手にしたもの・身に付けたものを簡単に捨てたくはない」という思いは、誰の胸にもあることと思います。
今回のコロナ禍は、能楽界では戦後最大の有事と言われております。
しかし、ここで能楽の歴史を終わりにする訳にはいきません。過去にも戦争や疫病などで能楽は何度も危機に瀕してきましたが、時々の能楽師たちは歯を食いしばって頑張ってきました。
後世の人から、「令和の人達は何をしていたのだ」と言われないように、この危機を乗り越えたいと思っています。
さて、この一年は「山姥」に向き合う毎日でした。能の中で描かれる「山姥」とは一体どんな存在なのか、なかなか答えは出ません。
「この世ならざる大きな何か」が山姥であるなら、演者は現実を超越した何かを表現しなければなりません。その表現の演技は、技術や理屈では語られないように思います。
自分の身体から「気」とか「オーラ」のようなものをいかに出すことが出来るかが、この能を演じる上で大事なことであると思います。
お客様が、「『山姥』とはこんな凄い存在なんだ」と感じてもらえるような舞台にしたいと思います。
このように壮大なスケールの能ですので、見どころもタップリとつまっています。
前場では、「山姥の曲舞」を当たり芸とした都のトップスターの遊女・百万山姥(ひゃくまやまんば)がまず登場します。山姥の物まね芸を得意とする遊女の前に、本物の山姥が登場するという面白い展開です。焦る遊女に対し、不敵な笑みを浮かべる山姥。面白いコトバのやり取りが繰り広げられます。
後場は、真の姿を現した山姥が、どっしりとした重々しい雰囲気で、「山姥の曲舞」「立廻」「山姥の山廻り」など、様々な舞を重厚に舞います。めまぐるしい場面展開をみせ、謡のリズムも緩急鋭く変化に富んでいます。
見ごたえ聴きごたえ満載の能です。
狂言は去年に引き続き「成上り」を、野村萬斎師に演じていただきます。たいへんにお忙しい中、出演を快諾してくださいました。萬斎師の洒脱で軽快な演技をお楽しみ下さい。
仕舞は、観世喜正師の「鉄輪」と観世喜之師の「大江山」です。どちらも鬼を題材にした能です。喜正師・喜之師の至芸をお楽しみください。
チケットは、私の公式ホームページの申込みフォームまたはメールからお申込みください。
お電話でのお申込みは、矢来能楽堂のみにて受け付けます。お待ちしております。
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