2020年11月
2020年11月22日
観世九皐会「唐船」 演じます
12月13日(日)に、観世九皐会定例会にて能「唐船」を演じます。
コロナ禍により、春から多くの能楽公演が中止・延期となりました。舞台に立つことが出来ない日々に悶々としながら、来るべき舞台に向け、自己研鑽に努めてまいりました。
夏頃から徐々に舞台も再開し、少しずつ日常が戻ってきたように感じます。しかし、相変わらず感染拡大は収束のきざしは見えず、元のように安心して生活できる日はまだ先のようです。
今まで当たり前だったことのありがたさを肝に銘じ、この様に能舞台で能を演じることの出来る喜びをかみしめて舞台をつとめたいと思います。
7月から公演を再開した観世九皐会では、お客様が安心して観能を楽しんでいただけるよう、様々な対策をとっております。詳細は、同封の番組をご覧ください。
万全の感染予防措置をとって、お客様をお迎えしたいと考えております。
さて、今回演じます「唐船」は登場人物も多く、賑やかで楽しい能です。
日本と中国との船の争いの末、日本に取り残された祖慶官人は、日本に暮らして13年が経ちます。その間に子供を2人(日本子)をもうけ、それなりに暮らしていました。そこへ中国の子供(唐子)が数々の宝物と引き換えに父親を迎えに来ます。祖慶は13年ぶりの再会に喜んで中国に帰ろうとします。しかし、日本子2人は中国へ行くことは許されませんでした。唐子は「お父さん、一緒に帰ろう」と促す一方、日本子は「お父さん、行かないで」と引きとどめます。日本と中国の子供の板挟みに苦悩する父親でしたが、結局親子5人で中国へ行くことを許され、喜びの舞を舞います。
親子の絆を描いたホームドラマ風の能です。
4人も子供が出てくるので、少子化の世の中では、なかなか上演出来ない珍しい能です。
前半の日本子との掛け合いの道行の謡や、後半の船中での喜びの舞など見どころ多い能です。
クライマックスは、日本と中国の子供の間に挟まれて、どうすることも出来なくなり、海に身を投げようとする父親を、子供たち4人が左右から引きとどめます。必見の感動シーンです。
今回、唐子2人を14歳の長男と13歳の次男が演じます。能の中では生き別れて13年という設定です。つまり1歳と0歳の時に父親と離れ離れになった可哀想な兄弟を演じることになります。
9月の緑泉会「一角仙人」では、長男が骨折したため実現しなかった、初の親子3人の共演です。楽しんで演じたいと思います。
日本子も、佐久間二郎師と新井麻衣子師のお子様が可愛らしく演じてくださいます。
皆様のご来場をお待ち致しております。
九皐会定例会は、感染予防のため1部2部入れ替え制をとっております。「唐船」は2部(15時始め)の舞台となります。ご注意ください。
kuwata_takashi at 18:34|Permalink│Comments(1)│
2020年11月19日
今年度初 文化庁学校巡回公演
今年度初の文化庁学校巡回公演のため、滋賀県彦根市に行ってきました。
毎年お手伝いさせていただいております学校巡回公演ですが、今年はコロナウィルス感染防止のため、悉く延期中止が続いております。
先月頃からやっと始まり、全国各地の学校へ能楽師たちがお邪魔しております。
今回、私は初めて参加しました。
会場となった彦根の小学校は、国宝・彦根城が望める場所にある歴史のある小学校です。
手前にクレーンが見えるのは、国体用の競技場を造っているそうです。
ワークショップも、写真のようにマスクをして行うなど、感染防止のために様々な工夫を凝らしました。
子どもたちが、楽しんでいる姿を見るのは、嬉しいものです。
来月も色んな学校にお邪魔する予定です。
こんなご時世だからこそ、次代の子供たちに、しっかりとした物を伝えていきたいと思います。
kuwata_takashi at 22:30|Permalink│Comments(0)│