2019年01月
2019年01月25日
2019シンガポール第一便 3
今回教えているのは、8か国から集まった17人の学生です。
最初にしなければならないことは、全員の顔と名前を覚えることです。
これは、おそらく全ての学校の先生が苦労することだと思います。
しかしこの学校の困難さは、特別です。
まず、顔。
インド人の5人の顔は、最初全く区別がつきませんでした。
そもそもみんな、立派な口ひげとあごひげをたくわえています。
顔の半分がひげなので、判別が困難です。
あと、オーストラリア人の4人の女子学生のうち、3人は最初は同じ顔にしか見えませんでした。
また、名前の発音が難しい!!
英語圏の人は、容易に発音できますが、中華圏やインド、マレーシアなどの人の名前は日本人にはなかなか発音しずらいのです。
だからシンガーポール人は、たいてい本名の他に英語名を持っています。
シンガポール人は、中華系やインド系でも、キャサリンとかトーマスとか名のっています。
稽古中は、全く覚えられませんが、稽古後、一杯やるとあら不思議。
なんとなく頭に入ってきます。
4日間稽古して、ようやくだいたい覚えてきました。
ただ、今日でまた日本に戻ります。
次シンガポールに来るのは2週間後。
また覚えなおしでしょう。。。。
2019年01月23日
2019シンガポール第一便 2
シンガポールの演劇学校ITIは、2002年の開校です。
その第1期生を教えて以来、今回の第11期生と第12期生まで、全ての学生を指導しています。
これは、能の先生だけだそうです。
アジアの古典演劇の先生は、どれも途中で先生の交代があったそうです。
また、演劇学校ですので、当然「voice」とか「acting」や「techniqual」などの授業や、太極拳までやっています。
それらの講師でも、開校以来全ての学生を指導している人はいないそうです。
いわゆる、校長先生と事務局長のような人は変わらずいらっしゃいますが、現場の講師で17年間も教えている講師は他にいないと聞いて、なんだか誇らしく思いました。
ずいぶん長く教えているとは思っていましたが、この学校の一番古くからいる先生という訳です。
もうすぐ、生き字引とか言われてしまうかも知れません。
能の主任講師は、観世喜正師です。
私と喜正師が交代で指導に当たっています。
1月から3月は、2人ともシンガポールと日本を行ったり来たりします。
大変ですが、やりがいのある仕事です。
今まで、100人位の学生たちに能の稽古をしました。
様々な学生がいました。
世界中の各方面で活躍している人ばかりです。
中には、日本に来て訪ねてくれる人もいます。
一昨日、シンガポールへ行く日の昼頃、15年前に稽古した3期生のインド人と東京で会いました。
彼は、インドの古典演劇(クーリヤッタム)の楽器の演奏者なのですが、能にたいへん魅せられていました。
稽古はとても熱心で、能が好きでたまらないようでした。
「卒業したら日本に行って能の勉強をしたい」とまで言ってくれました。
卒業してからは、クーリヤッタムはやめ、現代演劇の役者をしていました。
一度、日本に公演で来ました。
久しぶりに会い、話も弾み、他のインド人たちも交えて、東京で一杯やりました。
今は、演出家をしているそうです。
今回は事務手続きのために来ているようです。(どんな内容の手続きなのか、実は英語が理解できなかった)
矢来能楽堂で会い、せっかくだから希望通り、能の稽古をしてみました。
すると、、、、、
15年前に教えた「鶴亀」や「羽衣」を、まだ覚えています。
仕舞の動きはそんなに複雑じゃないので、覚えていることのそんなに驚きはないのですが、謡をほぼ完璧に覚えていたのは驚愕しました。
彼は本当に能が好きでたまらない様子です。
私は彼に聞きました。
「どうしてそんなに覚えているの?」
彼は答えます。
「あなたの指導が良かったからです」
!!!!!
彼は、日本式のお世辞もばっちり身に付けています。
2019年01月22日
2019シンガポール第一便 1
今年も、シンガポールへやってきました。
隔年で教えにいっております、シンガポールの演劇学校ITI(Intercultural theatre Institute)の授業が始まりました。
この学校は、アジアの古典演劇を必修にしている変わった演劇学校です。
中国の京劇、インドのクーリヤッタム、インドネシアのワーヤン・オン、そして日本の能を、それぞれ3か月間の短期集中コースで身に付けます。
シンガポールは建国して50年ちょっとという歴史の新しい国ですので、古い伝統には多大なリスペクトを持っています。
そしてシンガポールは、基本的には自国で物を生産しない国です。
物や金や人の中継点として、経済を動かしている国です。
アジア各国から役者や演劇人を集め、各地から講師を招いて、アジアの古典演劇を学ぶ。
実にシンガポールらしい学校だと思います。
初めてこの学校へ指導に来たのは2002年です。
その時に第1期生を教えて以来、今回の学生は第11期生と第12期生。
今まで、100人程の卒業生に能の稽古をしています。
今回の学生は、シンガポール、インド、マレーシア、フィリピン、台湾、韓国、中国の7か国から集まった12人。そして、毎回恒例なのですが、オーストラリアの演劇学校からの留学生5人が一緒に稽古に励みます。
今回、8か国から集まった17人の学生は、みな個性派ぞろい。
そもそも日本でも、演劇を志している人はどこか変わっています。
その傾向は万国共通なのですね。
毎回、この学校での能の授業では、様々なドラマが生まれます。
今回はどんなドラマが生まれるでしょうか。
2019年01月20日
公式ホームページ 引っ越しのお知らせ
この度運営会社の都合により、私の公式ホームページが移転しました。
新しいアドレスは
です。
当ホームページをブックマークやお気に入りに登録くださっている方は、お手数ではございますが、変更をお願いします。
検索では、「桑田貴志」とか「深川能舞台」などとお入れいただくと、すぐに表示されます。
今後とも、宜しくお願いいたします。
2019年01月12日
深川江戸資料館 能楽ワークショップ
毎年、正月に行っております深川江戸資料館での「能楽ワークショップ」
今年も開催いたしました。
この催しも、今年で4回目を迎えます。
地元・深川で能楽普及の機会をくださいます、深川江戸資料館さんには感謝です。
さて今回は、正月なのでおめでたく、能の神々について紹介しました。
能には様々な神様が登場します。
その中から、力強い神「嵐山」、女性の神「葛城」、老体の神「老松」と、三曲を紹介しながら、舞いました。
江戸時代の街並みが再現された資料館で、つかの間のタイムスリップを楽しんでいただければ嬉しく思います。