2018年12月
2018年12月31日
御礼 2018年
いよいよ大晦日。今年もあと少しで終わりです。
今年もいろいろなことがありました。
相変わらず忙しく、充実した年でした。ほとんど休みなくフル稼働でした。
例年より、舞台が多かった気がします。試しに数えてみました。
鎌倉県民能のように、午前・午後と二公演ある場合は、2つと数えました。
今年の、舞台と講演を合わせると・・・
何と164公演。。。
よく働いたなあと思っていましたが、これほどとは・・・
例年が何公演あるのか数えていないので、正確なことは分からないのですが、おそらく最高の回数だと思います。
また、多くのシテもさせて頂きました。
2月4日 緑泉会「桜川」
4月14日 能まつり「望月」
7月12日 文化庁学校巡回公演「小鍛冶」
7月22日 若竹能「野宮」
8月14日 深川八幡祭「海士」
11月1日 木材会館 能楽会「船弁慶」
11月11日 九皐会「国栖」
7番とも、印象深い能でした。
4月は自主公演「桑田貴志 能まつり」にて、重習の大曲「望月」を披きました。
開場は、GINZA SIXに開館したばかりの観世能楽堂に乗り込みました。
素晴らしい舞台でした。
7月には若竹能にて「野宮」を演じました。
2時間近くの大曲です。
36度を記録した猛暑の中、現在の芸力を存分に発揮してつとめました。
終わった後、ぐったりでした。
11月1日は、地元深川の新木場木材会館での能公演でした。
材木屋さんが打った能面を拝借して、気持ちの良い舞台を演じられました。
様々なことがあった平成30年も終わりです。
来年は平成最後の年と共に、新年号元年です。
新しい時代が、良き時代となるよう、精一杯頑張ります。
2018年12月14日
47都道府県 制覇
今週は、文化庁学校巡回公演で、佐賀・長崎を廻っています。
月曜日には佐賀県嬉野市の嬉野中学校にて公演。
初めて佐賀県を訪れました。
これで、47都道府県全てに行ったことになります。
たいしたことではありませんが、ちょっと嬉しいです。
文化庁学校巡回公演が始まるまでは、青森・秋田・山形・佐賀・宮崎・鹿児島が残っていました。見事に東北と九州が残っていました。
東京で仕事しているとどうしても行く機会の少ない所でした。
ここ数年で一気に廻らせていただきました。
ただ、全ての都道府県の能公演に参加したわけではありません。
鳥取県だけは、旅行では行きましたが、能公演では訪れていません。
いつか鳥取の地で能を演じたいなあと想います
2018年12月09日
矢来能楽堂楽屋 解体修理工事
我々、観世九皐会の本拠地・矢来能楽堂の楽屋が解体修理工事に入ります。
今日の九皐会定例会が、使用される最後となりました。
公演の時は、主に囃子方の楽屋として使われます。
普段はお稽古場として使用されます。
そして、夜は住み込みの内弟子の過ごす場所でした。
私は矢来能楽堂にて、五年間住み込み内弟子修業をしました。
その間、この部屋に布団を敷いて寝ていました。向かって左側が、私が寝ていた場所です。
夜、押入れからふとんを引っ張り出して、朝になると畳んでしまい、掃除をします。
毎日、この繰り返しでした。
寝ている部屋の隣は台所。ここで日々の食事や、夜の宴会が行われました。
ツライ修業時代でしたが、その分感慨深いものがあります。
解体工事は明日から始まります。
楽屋に隣接する土地とつなげて、新たに広く新しい楽屋に生まれ変わります。
完成は来秋の予定です。
楽しみです。
2018年12月06日
京都にて 謡曲史跡めぐり
月曜日から木曜日まで文化庁巡回公演で京都へ行ってまいりました。
京都は、紅葉シーズンの最終盤ということもあって、すごい人出です。
月曜日は八幡市に行ってきました。
学校のすぐ近くに、石清水八幡宮があるので、能楽師ご一行で公式参拝してきました。
代々武家の信仰を集めた八幡宮です。織田信長や豊臣秀吉、徳川家康・家光などが寄進し、豪華な社殿でした。
ここは、能「弓八幡」「女郎花」「放生川」の舞台となった場所です。
もう、紅葉も終わり。散った紅葉が赤いじゅうたんとなって参道を彩ります。
美しい景色です。
火曜日は、京都の北の方にある南丹市に行って参りました。
この辺りは能「氷室」の舞台となったところです。
さすが京都です。行く先々でいろいろな能の舞台に巡り会います。
水曜日は午前公演で、昼から時間があったので、電車にのって滋賀県に出向きました。
お目当ては「三井寺」です。
来年の自主公演「桑田貴志 能まつり」では、「三井寺」に挑みます。
その前に、「三井寺」に参拝してイメージを膨らせます。
先月の「安宅の関」に続いて、能を演じる前に、その舞台を見ることが出来ました。
全国色んな所に派遣されている、文化庁学校巡回公演に感謝です。
「三井寺」は想像以上に広いお寺でした。
京都市内からは外れるので、観光客も少なく静かな佇まいです。
これが、能「三井寺」で語られる釣鐘です。
日本三大釣鐘に数えられるそうです。
鐘を鳴らすのは有料です。一突き300円でした。
心をすまして、「三井寺」の名場面「鐘の段」の文句を口ずさみながら、思いっきり突いてみました。
心に響き渡る美しい音でした。
普通の鐘より、少し低い音でしみじみと鳴り響きます。
「はあ、これが『三井寺』のシテが鳴らした鐘か」
心にとめて、6月の上演に生かしたいと思います。
木曜日は、午後公演で出発時間が遅かったので、ホテル近くの「東寺」に行ってきました。
ここは、特に能の舞台となった訳ではないのですが、せっかくの機会なので、早起きして行ってきました。
紅葉をバックに五重塔。
楽園の景色です。
金堂・講堂に安置されている仏像は圧巻です。
良い時を過ごしました。
4日間の京都滞在。仕事で行っておりますので、そんなに充分な時間があった訳ではありません。
ただ、ちょっと時間があると、どこかしら観光が出来る京都というところの凄さを実感しました。
2018年12月01日
つれーツレ
今日は、兄弟子の小島英明師が主催する公演・「碧風会」でした。
演目は「山姥」です。私はツレをさせて頂きました。
この「山姥」のツレ、能の色んな役の中でも大変なものです。
まず、「山姥」自体が難しい能で、その中で重要な役柄なので当然難しい。
そして何より、この役は上演時間1時間40分程の間、ずっと立て膝で座っていなければならないのです。
しかも、唐織という足元をあまり開くことが出来ない装束を着て座らなければなりません。
能のツレやワキが座っている立て膝のスタイル、これはとってもツライ座り方です。
一見、正座よりも楽に見えます。
でも、左ひざを立てて座っているので、全体重が右足にかかってきます。
さらに、左足も曲げたまま固定しているので、左足もだんだん辛くなってきます。
色んな能がありますが、「山姥」ツレは、最も長く座っている役の一つと言えます。
だいたいの能楽師は、「山姥」のツレというお役を頂くと、光栄に思うのと同時に覚悟します。
私は、このツレはよく当たります。
今回でなんと7回目です。
これは、能楽界を見渡してもかなり多い方であると思います。
だいたい、50歳も近くなってくると、この役は付かないものです。
若手がいない九皐会の事情ゆえ、私に白羽の矢が立ちました。
足腰は年々弱ってきますし、体重は増加の一途です。
今回も、辛い思いをして座りました。
ただ不思議なことに、若いころの時のような悲痛な痛みはありませんでした。
やはり、座り慣れるのでしょうか。