2018年01月
2018年01月29日
緑泉会「桜川」
いよいよ今週の日曜日に、緑泉会にて「桜川」を演じます。
「桜川」は、世阿弥作の狂女物の傑作と呼ばれています。
曲名の通り、一曲が桜の趣きで埋め尽くされています。散る桜を背景に、美しい春景色を描いた詞章の優美さと、起伏に富んだ物語進行は他に類を見ない面白さです。
ストーリーは、行方不明になった子供を捜して旅をする母親が、最後に子供に巡り合うというハッピーエンドです。当然、再会シーンは感動的に描かれるのかと思いきや、あっさりしたものです。
母親は、子供を捜すために各地で物狂い芸を見せます。集まってきた群衆の中に、我が子がいるかもしれないとの気持ちを込めて、数々の芸を見せます。
この能においては、その芸尽くしが見どころとなります。
いかにも能らしい手法です。
能において狂女は笹を持って現れるのが通例なのですが、この能では「すくい網」と呼ばれる、朱に塗られた美しい網を持ちます。その網を使って、様々な芸を見せます。
狂乱した母親は、すくい網で桜川の川面に落ちて流れる桜の花びらを懸命にすくいます。桜花をすくってもすくっても、我が子・桜子は救うことが出来ません。その皮肉を上手く効かせています。
この「桜川」は人気曲であるにも関わらず、能としてはあまり上演されません。その理由は、子方がたいへんに過酷だからです。
この子方は、謡や所作は全くなく、一時間近くひたすらじっと座っていなければなりません。子供にとって何よりも難しいのは、動かずにじっと座っていることです。片膝立てた不自然な状態で座っていますので、足は相当痛いのです。
「『桜川』は舞いたいけど、子供がかわいそうだから出来ないなあ」
だから、なかなか能としては上演できないのです。
今回は、たっぷりとご褒美をあげる約束をして、次男の大志郎(小学校4年生)に子方をやってもらいます。こういう能は、自分の子供が子方として使えるうちにやってしまうに限ります。
チケットご希望の方は、下記の私の公式ホームページにてお願いします。
http://www.geocities.jp/kuwata_company/
2018年01月21日
朝日新聞ASACOM 掲載
朝日新聞に挟み込まれているASACOMという冊子に、私の記事が掲載されました。
深川在住で朝日新聞をとっている人は、今朝の新聞に折り込まれているので注目して下さい。
配布エリアは、たぶん深川近辺に限られると思います。
紙面は、今年で10周年を迎える「深川能舞台」にクローズアップして、私のインタビュー記事です。
最後に、何かポーズ取ってくださいと言われたので、照れながら舞台の上で能の型やってみました。
2018年01月20日
深川江戸資料館 御礼
今日は、深川江戸資料館にて能楽ワークショップ。
好評につき、今年で三年目を迎えました。
江戸時代の深川の町を再現したこの資料館は、密かな人気を集めています。
都営交通とトリップアドバイザーがとった「TOKYO100」という外国人に紹介したい東京の観光名所のアンケートで、堂々と52位にランキングされています。
これは、スカイツリーや歌舞伎座よりも高い順位なのです。
写真の火の見櫓の前で、新年にちなんだ謡と舞を披露しました。
今年はおめでたさの象徴である、「松竹梅」にちなんだ能の紹介です。
「松」と「梅」にちなんだ能はたくさんあるのですが、「竹」には苦労しました。
結局、植物の竹には全く関係ないけど「竹生島」を舞いました。まあ、おめでたい能ですから、セーフでしょう。
地元・深川で、このような形で能が紹介できることは、この上ない喜びです。
ずっと続けていきたいと思います。