2017年01月
2017年01月30日
2017シンガポール第二便 1
新年明けましておめでとうございます。
なんて言うと、
「もう2月だぞ。なに正月ボケしとんねん」
などと言われそうですが、ここシンガポールでは「happy new year」の言葉が飛び交っています。
そうです、中国系住民が75%を占めるこの国では、盛大に祝われるのは旧正月(中国正月)なのです。
では、カレンダーの新年である1月1日はどうしているのかというと、小規模ですがやっぱりお祝いしています。
他にもインドの暦やマレーの暦にもそれぞれ正月のようなお祝いがあります。
「おめでたいことは、なんでも祝ってしまえ」ということのようです。
街中は、このように正月飾りがあちこちにあふれています。
仏教寺院はもとより
近代的なオフィスビルもこうです。
今年の旧正月は1月28日。今日30日は、いわゆる正月3が日のうちです。
学校や会社は今日まで休みのところが多いようです。
朝、朝食をとろうといつものホーカーズ(屋台村)へ行くと、屋台が全て閉まっています。
朝9時ころの通りは、こんな感じです。
いつもは、多くの人と車で賑わうチャイナタウンの駅前通りは、閑散としています。
ある学生の家で新年を祝う会があるというので、私も行ってみました。
一般のシンガポール家庭でどのように新年が祝われているのか、とても興味があります。
正月飾りはこんな感じ。
中国の正月飾りは、とにかく真っ赤っ赤。広島カープの応援席みたいです。
理由を聞くと、赤はデーモン(たぶん悪霊という意味だと思う)が嫌う色だそうです。
魔よけのために、赤の飾りをして赤い服を着るようです。
余談ですが、世を忍ぶ仮の小学生だった時に広島に住んでいたデーモン小暮閣下は、カープファンを公言して、赤いシャツを着て応援しています。嫌いな色でも、応援のためには我慢して着ていると思われるデーモン小暮閣下は凄い根性です。
さて、正月だから特別な料理でも出るのかと思ったら、割に普通の料理でした。
日本でいうところのおせち料理のようなものはないようです。
その代わり、「ロウ・ヘイ(撈喜)」という儀式をします。
このように、様々な野菜や魚片やスナックなどを
参加者で取り囲んで、一斉に箸でかき混ぜます。
高く上げながら、大声をあげます。
その時、一年の願い事などを叫ぶのだそうです。
そして、出来上がったものを、皆で食べます。
味は、、、、甘いようなすっぱいような、何とも言えない味です。
まあ、縁起物ですからしっかり頂きます。
この儀式、シンガポールとマレーシアにしかない風習のようです。
この時期のシンガポールでは、あちこちで見られます。
先週は学校で、事務のスタッフや先生たちとやりましたし、今週は学生たちと学校でやる予定になっています。
町のフードコートなんかでも、普通に行われています。
さすがに、あまり大声はあげていないですね。
今回は、学生や先生たちがたくさんいたので、すごい混雑ぶりです。
一瞬離れて、写真を撮ろうとしましたが、かんじんの料理が全く見えません。
ロウ・ヘイのあとは、ビンゴが始まりました。
シンガポールでもビンゴは「BINGO」なのですね。
聞いたら、インドでもフランスでも「BINGO」というそうです。
そんな世界的な遊びとは知りませんでした。
今回は正月バージョンで、一風変わったビンゴでした。
2~3人で組になって、何やら特別ルールで遊んでいます。
正直言って早口の英語が聞き取れず、ルールはよくわからないまま、一緒の組になったシンガポール人とインド人の女の子に任せて、一緒にゲームに参加していました。
盛り上がる中、なんだか分からないまま、私たちの組が優勝しました。
優勝者には、チョコレートの詰め合わせです。
ビンゴが終わると、麻雀が始まりました。
これは、私の得意なところ。
ルールはちょっと違いますが、基本的なところはあまり変わりません。
日本では、賭け事のイメージの強い麻雀ですが、シンガポールではカードゲームの一種として、割に普通に楽しまれているようです。
私も、楽しみましたが、この一月にシンガポールに来たばかりのオーストラリア人やフランス人なんかは、初めて迎えるアジアの正月に、大喜びの様子でした。
2017年01月29日
つかの間の日本
先週は月曜日から木曜日まで4日間しかシンガポールにはいませんでした。
木曜日の深夜便で日本に帰国しました。
金土日と3日間日本で仕事です。
土曜日は、鎌倉にて県民能。私は高砂のツレをさせて頂きました。
そして日曜日の深夜、またシンガポールに行きます。
1月から3月は、ずっとこの調子です。
今週は、月曜日から土曜日まで6日間シンガポールで、日曜日から5日間日本です。
そのあと、シンガポールに7日間の滞在。。。
改めて自分の予定を整理してみました。
最初にシンガポールに行ったのが1月23日。そこから今回の能の授業の最終日が3月8日。
その間の45日間のうちに、シンガポールを全て深夜便で4往復して、合計27日間はシンガポールにいます。
日本には18日間しかいません。
なんだか、世界をまたにかけるビジネスマンみたいです。
日本は、今が一年で一番寒い時期です。
そんなところから、常夏の国シンガポールを往復します。
シンガポールに行くと言ったら、よく言われます。
「良いですねえ、あっちはだいぶん暖かいのではないですか?」
「とんでもない。暑いです。赤道直下で高温多湿。日本の真夏が一年中続いていますよ」
こういつも答えます。
真冬と真夏の往復。
距離的なことより、気候の変化がけっこう大変です。
もっとも、私は大の寒がりである反面、暑いのは割に平気なので、シンガポールが快適に感じます。
さあ、寒い日本を、今夜脱出します。
2017年01月26日
2017シンガポール第一便 2
シンガポールの演劇学校で何を教えているのかといいますと、当たり前ですが能の謡と仕舞です。
能の謡本に、アルファベットでフリガナを付けて謡わせています。
細かな節の説明はせずに、ひたすらオウム返しで稽古します。
まあ、子供の稽古と一緒ですね。
彼らは、能の他にも外国語の古典演劇をいくつか勉強しているので、こういう稽古に慣れているようです。
仕舞は、一緒に動いて稽古すれば、勝手に真似して覚えてくれます。
稽古の基本は真似をすること。言葉による意思疎通がはかれない状況では、この基本が何よりも大切です。
学生たちは、色んな国から集まってきた現役の役者か、その卵たちです。
日ごろから発声や身体技法などを鍛えているので、声は立派だし、身体能力も高い。
短い仕舞など、すぐに覚えてしまいます。
稽古を始めて2週間ですが、もう4曲目に入っています。
といっても、そもそも稽古量も多いのです。
基本的に1日4時間、能の授業はあります。それを毎日やっているのです。
すっかり、能漬けの毎日です。
学生たちは、能が楽しいようで、休憩中もこのように自主稽古に取り組んでいます。
演劇学校ですので当然他の授業もあります。
朝8時の太極拳から始まり、「VOICE」「ACTING」「MOVEMENT」「TECHNICAL」など、様々な授業があります。
この学生たちを見ていると、うらやましく思います。
この学校に始めて教えに行ったのは、2002年でした。もう15年前です。
その間、中断期間もあったので、今回が6回目の能の授業です。
今回教えるのは9期生と10期生になります。
今まで8期、総勢80人くらいの学生に能を教えてきました。
学生たちは卒業後、シンガポールで、または本国に戻ってそれぞれ活躍しています。
中には、能を題材に演劇を作っている学生もいます。
動画をちょっと見せてもらいましたが、扇を持って能の舞のようなダンスを役者たちがしていました。
こんな話を聞くと、とても嬉しく思います。
さあ、今回もビシバシしごいて、みっちり指導したいと思います。
2017年01月23日
2017シンガポール第一便 1
恒例の、シンガポールの演劇学校ITI(Intercultural Theatre Institute)の能の授業が始まりました。
日曜日は「よこすかろうそく能」でした。終演予定は19時です。
22時50分の羽田発の飛行機に乗るためには、家に帰っていては間に合いません。
朝、スーツケースを抱えてまず羽田空港へ行き、荷物を預けてよこすか芸術劇場へ行きます。
公演が終わると、そのまま京急で羽田空港へ行き、飛行機に乗りこみました。
飛行機は朝5時半ころシンガポールに着きました。
ちょっと仮眠をとって、午後から早くも最初の授業です。
毎度のことながら、このハードなスケジュール。年々身体がしんどくなります。
私が教えていますITIは、アジアの古典演劇を必修科目にしています。
能の他に、中国の京劇、インドのクーリヤッタム、インドネシアのワーヤンオンの4つの古典演劇をそれぞれ3か月の短期集中授業で、学びます。
私は能の講師としてこの1月から3月までの能コースを担当します。
主任講師は、観世喜正師です。
喜正先生と私とで、交代で日本とシンガポールを往復しながら指導にあたります。
能の授業は2年に1回。三年制の課程の中で、1年生と2年生が古典演劇を学びます。
学生は、シンガポール人もいますが、アジア各国をはじめとして世界中から集まってきます。
講師も、世界中から集まっています。
多国籍国家のシンガポールらしい学校です。
今回の学生は、シンガポール・中国・フィリピン・インド・フランス・シリア・マレーシアの7か国から集まった16人です。
その他、オーストラリアの演劇学校から短期留学で来ている5人と、ニュージーランドからの聴講生も授業に参加しています。
総勢9か国22人の学生を相手に、3か月間能をみっちり教えてゆきます。
今回は、どんなドラマが待っているのでしょう。随時書いていきたいと思います。