2015年02月

2015年02月28日

2015シンガポール最終便 2

今日はオープンクラスでした。
いわゆる学校公開のことです。多くの方が見学に来ました。

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これがそのチラシです。
2番目の「globally renoowned faculty(国際的に有名な講師陣」って、私のこと?


学生たちも、いつもと違っていささか緊張気味です。
まあ、学生たちには来週の発表会に向けて、良い予行演習になったでしょう。

やはり、外部の人が見ていると緊張感が違います。

その緊張感を保って、3月4日の発表会に向けて全力を尽くして下さい。


ところで、オープンクラスの最中、若い女性が小さな子供を連れて現れました。
何だかその顔には見覚えがあります。

この学校の1期生の子でした。彼女を教えていたのは、もう13年前のことです。

彼女は、可愛らしくて気さくな子で、授業の後、たびたび飲みに行きました。
一緒に演劇を見に行ったり、ドリアンという南国独特のフルーツを食べに行ったりしたものです。

その後も交流は続き、シンガポールはもとより、日本でも何度か会いました。

最初は、卒業後すぐに他の1期生の子たちと日本に訪ねてきてくれました。
日本で色んなところに行きました。

二度目は、日本の演劇フェスティバルへ参加のための来日です。

その時の様子は、何度かこの日記でも触れました。

http://shitashimu.dreamlog.jp/archives/2007-08-23.html

http://shitashimu.dreamlog.jp/archives/2007-09-14.html

http://shitashimu.dreamlog.jp/archives/2007-09-16.html

宜しければ、上記の過去の日記をご覧ください。


今回は、たぶん上の日記の時以来7年半ぶりの再会です。
結婚して子供もいると聞いていました。2歳半のお嬢さんは可愛い盛り。

オープンクラスの後、しばし歓談をしました。

彼女が帰ると、学生たちが寄ってきます。

「今の、ヤンヤンですよね?」

「そうだよ、この学校の卒業生だよ」

「1期生ですよね」

「そうだよ、知ってる?」

「会ったことはありませんが、テレビや映画で良く見ます」

そうか、彼女はシンガポールや母国のマレーシアではかなり有名な女優でした。

学生たちは、明らかにざわついています。

そりゃあ、そうだよなあ。シンガポールやマレーシアの芸能事情を知らない私にとっては、彼女はただの昔教えた学生に過ぎないのですが、学生たちにとっては、大スターであこがれの存在が、目の前に現れたのですから。

彼女は去年出演した映画「ILO ILO」が、カンヌ映画祭や台湾や東京の映画祭で賞をとるなど、いまや大女優のようです。

ちなみに、この映画「ILO ILO」は、現在「イロイロ ぬくもりの記憶」という邦題で、日本でも公開されています。
公式HPを下記に張り付けておきます。

http://iloilo-movie.com/cast.html

二番目のキャストの Yeo Yann Yannが彼女です。

彼女は来週の、能の発表会にも来るそうです。
大変に忙しい中、わざわざ来てくれます。

そのことを学生たちに告げると、緊張した様子です。

しかし、人気の女優になっても、母校に遊びに来て、昔の先生にきちんと挨拶して帰り、また後輩の舞台にも気をかけてくれるのですから、たいした人です。

そう、確かに昔から気配りが出来る娘でした。
そういうところを見ると、なるほど好かれる女優となっているのも納得です。


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2015年02月26日

2015シンガポール最終便 1

今期のシンガポールの演劇学校の授業のための渡航も、いよいよ最終便となりました。

今回の日本の滞在は旧正月休みの4日間。
すぐにシンガポールへ行きます。(いや、帰ります?)

今週は、来週の3月4日に迫った発表会にむけて、稽古も追い込みに入ります。

今回は学生が22名と多いので、「邯鄲」と「紅葉狩」の2番の能に取り組みます。
その通し稽古がやっと始まりました。
今週一杯で仕上げなければなりません。

今日は、いくつか装束と能面を着けて通し稽古です。
ここまで来るのは大変でした。
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これは、「邯鄲」の稽古です。
子方の役は2人でやってもらっています。


今回は、2年前より、1週間能のクラスの期間が短い所に、前半はオーストラリア人の留学生達もいたので、授業の配分が難しいのです。

前半でいなくなるオーストラリア人の発表会もあったので、結果的に発表会に向けての授業時間はかなり少なくなります。

さらに能が二番です。
普通なら倍の時間が必要なはずです。

今期は例年以上に、かなりのハードスケジュールで取り組みました。

学生たちは一生懸命取り組んでくれました。

日本語が全く分からない彼らが、必死で日本語の謡を覚えて能に取り組んでいる。

その懸命な姿に、心うたれます。
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これは、「紅葉狩」の稽古です。

あと一週間です。

これからは、ちょっと厳しくやっていくつもりです。



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2015年02月19日

2015シンガポール第三便 3

能のクラスは、オーストラリアからの留学生が抜け、少し寂しくなりました。

そうは言ってもまだ8か国22人の大所帯です。
これから、3月4日の発表会に向けて追い込みのお稽古に入ります。

17日の火曜日に、発表会で演じる予定の能「邯鄲」と「紅葉狩」のお稽古も一通り終え、いよいよ明日から通し稽古だと意気込んでいると、ある学生が「今週は『タイガータイム』は無いの?」と聞いてきます。

タイガータイムとは、私が作った造語です。
私が大好きなビール、タイガー・ビール(シンガポールで一番人気のビール)を、飲む時間です。

私が毎日口癖のように、「Class is finished. Tiger time is startinng(授業が終わったら、タイガータイムの始まりだあ」なんて言ってたら、ある日学生から、「先生、Tiger timeをしましょう」と誘われ、以後、授業の後の飲み会をタイガータイムと呼ぶようになりました。

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まあ、飲み会と言っても、こんな風に学校の中庭で持ち込みパーティーですけどね。


「いやあ、今週と言っても私は明日帰るから、、、、 明日飛行機の時間まで少し飲みましょう」

ということで、18日の夜タイガータイムを行いました。

すると、「多くの学生が、今日は大晦日だから家族とパーティーなので帰ります」

と言ってきます。「そうか、明日は旧正月だった」

そういえば昼間、いつも行くフードコートに行ってびっくりしました。
お昼時は、ほとんどの店が長蛇の列で大賑わいなのに、閑散としていました。
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営業している店は一店舗だけです。

シンガポールは、概ね今日から正月休みに入ります。

結局集まったメンバーは、ブラジル人にデンマーク人にフランス人にマレーシア人にアメリカ人にインド人に香港人。
充分賑やかなタイガータイムでした。


中国系住民の多いシンガポールでは、旧正月(チャイニーズ ニューイヤー)を派手にお祝いします。

街中は、正月飾りで一杯です。
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あちこちに特製ステージが出来て、イベントが開かれています。
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ところで、今年は「羊年」だと思いますが、シンガポールの飾りつけはどう見てもヤギです。
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ご覧の通り、漢字では「羊」と書いてあるのですが、飾りはヤギにしか見えません。
「洋洋得意」などと、「羊」とかけたロゴまであります。

英語表記では、「year of goat」です。
「year of sheep」ではありません。

中国では、羊とヤギの区別がないのかもしれません。
今度、現地の人に聞いてみます。

結局、その日のタイガータイムは8時くらいで切り上げました。

10時半の飛行機に乗らなければなりません。

まだ、荷造りをしていません。急いで、マンションに帰りました。

マンション最寄り駅の「チャイナタウン」の出口を出ると、、、、、
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身動きできないほど、人、人、人、人、、、、

シンガポールの中でもチャイナタウンは、とりわき派手にチャイニーズニューイヤーを祝います。
きっと、カウントダウンイベントでも行われているのでしょう。

人をかき分けて、マンションに入ると、マンション中が大騒ぎ。

おそらく、ほとんどの家で家族が集まってのホームパーティーが行われているようです。

シンガポールは、どの家も窓やドアを開け放しているので、パーティーの声は丸聞こえです。

私の部屋の隣も、いつもは老夫婦しかいないのに、
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たくさんの人が集まっていました。

ドアが格子戸になっていて、中が丸見えなのです。
部屋の靴箱に入りきらない履物が、この様に散乱しています。

この賑やかな雰囲気、良いものです。

このまま、シンガポールで年を越したくなりましたが、そういうわけにいきません。

名残惜しながらも、急いで荷造りを済ませて空港に向かいます。

空港でも、謎の着ぐるみのおじさんたちがにこやかに出迎えてくれます。
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飛行機に乗っても、お菓子が配られます。
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学校のスタッフや学生たちとも、
「have a nice new year!(よいお年を)」と言って別れます。

普段ほとんど会話しない、マンションの同じ階の住人と、エレベーターで乗り合わせた時も、私のスーツケースを見て、
「これから日本へ帰るのかい。よいお年を」

と言ってきます。

私もすっかり正月気分に浸りながら帰国しました。

日本では、、、、、、

当然誰も正月を祝っていません。


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2015年02月14日

2015シンガポール第三便 2

15日の新学期からずっと一緒に稽古していたオーストラリアからの留学生達は、今週で帰国します。

 

今まで主にアジアの学生達を教えてきたので、新鮮な経験でした。

 

 

ITIでの留学が終わるので、何か成果が必要です。

そこで、留学期間の最終日の13日に、能の発表会を行うことにしました。

 

留学生6人に、まず一番ずつ仕舞を舞ってもらいます。

そして、今稽古している能「紅葉狩」の次第から上歌の立ち並びのところを、能面を着けて通してもらいました。

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今回のお稽古の初日の火曜日に、発表会の事を知らせ、水曜日に一人ずつ稽古してみました。

 

すると、メタメタ。。。。

 

さすがにまずいと思ったのか、木曜、金曜と徐々に良くなってきて、当日はバッチリでした。

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普段ふざけている彼らも、着物を着ると神妙です。



 

終わった後は深夜まで、飲み明かします。

 

オーストラリア人は、良くビールを飲みます。

例年は、学生達と飲んでも私ばかり飲んでるばかりでした。

 

日本人以外のアジアの人は、あまりビールを飲まないのですが、さすがにオーストラリア人は違います。

 

例のごとく、インド人やブラジル人が歌って踊って大騒ぎ。

 

短期留学だった彼らは、シンガポールの風景が珍しくてしょうがないようです。

 

以前、学校の近くのリトルインデアで、正月を祝うお祭りがやっていると言うので、インド人の案内で、遊びに行ったことがあります。

 

珍しいお祭りでした。

 

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これは、かき氷ではありません。
お米を練って、甘く味付けした不思議な食べ物です。
インド版の、お餅でしょうか。

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そして、サトウキビを食べます。

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何だか、化粧した牛まで出てきます。
ヒンズー教では牛は神の使いだそうです。


オーストラリア人は、もう大はしゃぎ。

 

何でこんなものを、というものまで写真を撮りまくっています。




 

彼らにとって、アジアでの体験はみるもの聞くもの何でも珍しいようです。

 

 

「能」という演劇も、ずいぶん珍しく感じたことでしょう。

 

この学校で学んだ、能の謡や仕舞を、これからの役者活動にいかして欲しいと思います。

 



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2015年02月11日

2015シンガポール第三便 1

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シンガポールからのお便りも、第三便となりました。

三週間ぶりに、シンガポールのITIにて能のお稽古です。
日本にいた三週間、ハードスケジュールでした。
月の半分はシンガポールにいるので、日本のスケジュールがどうしてもキツキツになってしまいます。

月曜日の夜にお弟子様のお稽古を終えると、そのまま羽田空港に直行です。
夜8時まで自宅でお稽古していても、余裕で間に合うのですから、便利になったものです。

深夜の便に乗ると、早朝にシンガポールに着くので、火曜日は朝からフル稼働できます。
本当に便利になったものです。

その便利さが、うらめしい。。。

エコノミークラスの狭いシートで無理やり寝て、着いたらすぐ働くことが出来るほど便利なのです。

成田発着便しか無いころは、深夜の離着陸が出来ないので、深夜便はありませんでした。
したがって、移動日として一日必要でした。

確か、成田発が16時半頃。
成田の16時半の便に乗るためには午後の早い時間には家を出なければなりません。
その日は午前中に用事が出来る程度です。

シンガポール着は23時頃。
ちょっと飲んで、その日はぐっすりベットで寝れます。

一日移動でつぶれるなんて、なんて不便で効率の悪いことでしょう。

その不便さがなつかしい。。。。。


学生たちと、久しぶりの再会。

スタジオに入ると歓声が上がります。
うーん。この感じ、良いものです。

今回も、学生たちを喜ばせる日本のお菓子を用意しました。


さて、学生たちにお稽古をすると、さすがに上達しています。

私と入れ違いで観世喜正先生がお稽古に行っていました。
みっちりとお稽古したようです。

今回は、人数が多いので、最後の発表会では「紅葉狩」と「邯鄲」と二つの能に挑戦します。

この無謀ともいえる挑戦のためには、まだまだ稽古が足りません。
今週から急ピッチで仕上げにかかります。

シンガポールでも、忙しい日々が続きます。


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