2014年11月
2014年11月17日
2014年11月14日
嬉しい再会
飛行機が2時間も遅れ、劇場に着いた時はもう8時半。
簡単な場当たりを行って、ホテルへ着いたらもう夜10時です。飛行機の中で簡単な食事をして以来、何も食べていません。
お腹ペコペコです。
ここから私は、完全に添乗員です。
私がシンガポールに10回以上来ているので、土地勘はあります。
能楽師たちを、地元で評判の屋台村(ホーカーズ)へ連れて行き、美味しい料理と世界一美味しいタイガービールを紹介しました。
今日は、午後2時からリハーサルで、19時半から本番です。
午前中は空いていたので、私が講師をしている、懐かしの「Intercultural Theatre Institute」へ行きました。
マーライオンやシンガポールフライヤーへ観光に行く能楽師たちを横に見て、私はシンガポールで一番行きたい場所へ行きます。
学校へ着くと、中庭で3年生達が演劇の稽古を行っていました。

3年生は、この12月で卒業です。次に私が能を教えに行く1月には、もう在学していません。
今回会えて良かったです。
3年生は、11月27日に迫った卒業公演に向けて稽古に余念がありません。
残念ながら、卒業公演は見れません。稽古を見れて良かったです。
その後、2年生の面々とも再会し、感激しました。
みんな全然変わっていなくて、楽しいひとときを過ごしました。
来年、能を教えることになる1年生とも顔合わせしました。
なかなか、個性的な面々です。
1月が楽しみです。
学校のスタッフとも、来年からの授業の打ち合わせが出来ました。
何だか、とっても充実した気分です。
只今、リハーサルを終えて、休憩中。
今日が初日です。
張り切って頑張ります。
2014年11月12日
市川海老蔵「古典への誘い」


明日からシンガポール公演へ行ってきます。
市川海老蔵丈が、最近行っている「古典への誘い」のシンガポール公演です。
この催しは、歌舞伎と能を同時に演じることで、異なる伝統芸能を多角的に味わうことを目的として、すでに日本各地の能楽堂やホールなどで盛んに行われています。
今回のシンガポール公演では、能「石橋」と歌舞伎「連獅子」の同時公演という豪華版です。
私は「石橋」の地謡を勤めます。
シンガポールとは、現地語で「獅子の国」という意味です。シンガポールのシンボル・マーライオンがそれを表しています。

会場は、あの「マリーナベイサンズ」にある「マスターカード・シアター」です。
そう、屋上に船があるあのビルです。

シンガポールへ行くのは15回目くらいですが、この建物の中に入るのは初めてです。
(もっとも、最初の10回くらいの訪問では、このビルはまだありませんでした)
来年1月から、またシンガポールの演劇学校「INTERCULTURAL THEATRE INSTITUTE」でまた能の指導に行く予定ですので、その打ち合わせもしたいと思っています。
明日、出発して、金曜から日曜まで3日間、4公演した後、日曜日の夜便で日本に帰ります。
月曜日の朝6時過ぎに羽田空港に着き、9時から申合という強行軍です。
さあ、張り切って頑張ります。
2014年11月08日
12月7日「自然居士」


上記の通り、12月7日(日)緑泉会にて能「自然居士」を演じます。
この能を一言で現すと、「正義の味方ヒーロー物語」です。
シテの自然居士は、人買いに連れていかれた少女を命がけで取り返すというカッコいい役どころです。
自然居士は実在の人物です。雲居寺に仕える仏教修行者であると共に、花月や東岸居士(何れも能に出てくる芸能者)を弟子に持つ、有名な芸能者であったようです。
この能が出来た頃に、都で民衆の人気を集めていたスター・自然居士による少女救出物語。
こんな痛快で分かり易い物語はなく、超人気曲となっています。
前半は、現代劇を見ているようなセリフのやりとりが見ものです。
ワキ(福王和幸師)の人買いが「帰らなければ命をとるぞ」と脅しても、自然居士は「命をとられようが、断じて少女を取り返す」と、一歩も引きません。
シテとワキがお互いヒートアップして、丁々発止のやりとりを交わすコトバは、緊迫感あふれるシーンです。
能にしては異例なほど、リアルで刺激的なセリフの応酬が繰り広げられるので、力を込めて迫力満点に演じようと思っています。
最終的には、有名スター・自然居士の舞を見せることを条件に、少女を返してもらうことになります。その辺りはいかにも能らしい持って行き方だなあと思います。
(ちなみにもう一番の能「羽衣」も、天上界の舞楽を見せることで、天人の羽衣を返してもらうという内容です。)
後半は、ワキの命令で「中之舞」「舟の縁起を述べたクセ舞」「簓(ささら)の舞」「鞨鼓」と次々と舞を舞います。
一曲にこれだけ舞が出てくる能は、珍しいです。それが、この能の最大の見どころとなっています。
美青年のスター芸能者の、颯爽とした快男児ぶりを、惚れ惚れするような格好良さで演じたいと思っています。
この能の作者は観阿弥であり、生涯の当たり役だったようです。
世阿弥は、父・観阿弥の自然居士を「四十過ぎの大柄の父が、十六七の少年に見えた」と賞しています。
足利義満が「世阿弥がいくら技を尽くしても観阿弥にはかなわない」と、自然居士について語っていることからも、観阿弥がこの能をいかに得意にしていたか想像できます。
私は観阿弥と同じ、四十過ぎの大柄の男です。目指すは、観阿弥です。
子方は長男・潤之介(8歳)が演じます。この子方は、1時間ほど舞台でじっと立膝で座っていなければならないという難役です。子供にとって、じっと座っていることほど難しいことはありません。
最近の稽古では、意識して長く正座させて、慣れさせています。
この公演は他に、能「羽衣」・狂言「地蔵舞」・仕舞3番と、見どころ満載です。
皆様のご来場をお待ち申し上げます。
チケットご希望の方は、私までご一報下さいませ。ご用意させて頂きます。