2014年10月

2014年10月31日

文化庁学生能巡回公演

最近、毎年お伺いしております、文化庁学生能巡回公演。
今年は、北陸エリアを廻っています。

一昨日から3日間、新潟県の小学校と中学校を巡回致しました。

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学校の体育館に出向いて、能と狂言を子供たちの前で上演するこの巡回公演は、たいへん意義深いものです。

数年前の読売新聞の調査によると、能を観たことがある日本人は、僅か2.5%だそうです。

能楽は、2001年に第一回の世界無形文化遺産に指定されています。
この時、ユネスコ加盟国200ヵ国弱の中から、推薦を受け、指定されたのはたった17。

能楽は、世界の全ての無形文化の中でも、その価値を一番に認められたものなのです。

この、世界に誇るべき日本の伝統文化を、ほとんどの日本人が観たこと無いという状況は、寂しいことです。

しかしこの不自然な状況に、文部科学省はやっと気付きました。
最近では、中学校の音楽の授業等で日本の伝統芸能が紹介されています。

最近の音楽の教科書には、なんと能「羽衣」や「高砂」が載っています。

「日本の伝統文化や芸能を見直してゆこう」という大きな流れの中、こうした学校巡回公演の意義は計り知れないものです。

要らない道路やダムの建設は直ちにやめて、こういう有意義な事業にどんどん予算を注入して欲しいと、切に願います。

その為には、いくらでも協力させて頂きます。


kuwata_takashi at 16:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2014年10月26日

龍田神社 謡曲史跡巡り

今日は、移動日。ナント10月の日曜日というのに、仕事がありません。

朝9時に丹後の久美浜から特急はしだてに乗りましたが、京都駅に着くのは12時過ぎ。
本当に遠い所です。

このまま東京に帰っても面白くないなあ、と思っていたら、同行の兄弟子から「龍田神社
に行かない?」と、お誘いを受けました。

その兄弟子は、再来月に能「龍田」を演じる予定なので、その前にお詣りしたいそうです。

私も来年に「龍田」を演じる予定です。
その提案を受けた時、思わず
「え!! 京都なのに龍田神社? 」

と思いました。龍田神社は奈良にあります。
ついでに行くには結構な距離です。

まあ、京都は割りに行く機会は多いけど、奈良にはほとんど行かないので、せっかくのお誘いに乗ることにしました。

京都から、龍田神社があるところまで、1時間20分程。ちょっとした小旅行です。

龍田には、龍田大社と龍田神社があります。
どちらが能「龍田」の舞台となったかは、諸説あります。

その二社は、割りに近くのあるので、せっかくだから両方行くことにしました。

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こちらが龍田大社。

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こちらが龍田神社。

龍田大社の方が歴史は古いようです。

地元の人は、龍田神社は新しい神社ですよ、と言います。

龍田神社は、聖徳太子が法隆寺を建立するとき、工事の無事を祈念して、当地の氏神の龍田大社の神様の分社を作ったのが由緒だそうです。

つまり、新しい神社といっても法隆寺建立からの歴史があります。
世界最古の木造建築の法隆寺の建立は、、、、607年です。

新しい神社が、1400年の歴史を持っているって、なんだか想像がつかない世界です。

龍田の二社を廻って、まだ時間があったので、龍田神社の神力で無事に建立された法隆寺も行きました。

法隆寺に行くのは、小学校の修学旅行以来です。いやあ、懐かしかったです。

小学校の修学旅行って、結構覚えていますね。
中学や高校の修学旅行は、ほとんど覚えていないのに。。。

一日、タクシーのお世話になりました。
そのタクシーは
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タツタ タクシーです。

おおお、奇遇です。




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2014年10月25日

丹後に来ました

浜松で「大江山」のお話をした後、更に西に向かいます。
今日は、「大江山」の舞台となった京都府京丹後市に来ています。

途中の電車で、「酒呑童子、大江山の里」等と看板を見つけて、「おお、昨日仕舞で舞ったなあ」と思い出します。

京丹後市は、京都と言っても京都駅から特急で3時間もかかります。

感覚的には、本当に鬼神でもいそうな山里です。

その地に、安養寺という大きなお寺があります。
その本堂での蝋燭能の公演に、伺いました。

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ものものしい佇まいの本堂が、今日は能舞台に早変わり。

写真は、昼間の能講座の前の写真です。

夜は、蝋燭の灯りに照らされてムード満点の中で能「安達原」 が演じられました。

このお寺のご住職のお母様が、九皐会門下の能楽師です。

長年、丹後地方で精力的に能の普及活動に励んでいらっしゃいます。

御年齢は、ナント90歳。
今日も、「羽衣」の仕舞を堂々と舞っていらっしゃいました。

お寺は人里離れた場所にあるのに、200人程の満員のお客様にお越し頂きました。

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境内では紅葉も始まり、良い雰囲気です。

暖かい公演でした。


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2014年10月24日

浜松「ざざん座能舞台 ワークショップ」

今日は、浜松にて「ざざん座能舞台 ワークショップ」がありました。

「ざざん座能舞台」とは、浜松の能楽愛好家達が能の普及のために立ち上げたグループで、様々な活動を行っています。

詳しくは、下記の公式ホームページをご覧下さい。

http://www.zazanza.jp


今回は、その活動の一環として私が講師として招かれ、ワークショップを行いました。

会場は、浜松の愛好家がビルの一室に作った、ゆりの木舞台という、面白い舞台です。

imageこのような、素敵なロケーションで、楽しくお話させて頂きました。

最初は、能の総合的な話をして、後半は秋の曲ということで、「大江山」と「井筒」を取りあげて、実践的な能のみどころ紹介をしました。

そして最後は、「大江山」と「井筒」の仕舞を舞いました。
凄いことに、ざざん座メンバーによる地謡とお囃子付きです。

ざざん座メンバーは、お囃子をお稽古なさっている人も多く、自前ですべての囃子が揃います。

ぶっつけ本番で、玄人相手に舞囃子が出来るのですから、凄い技量です。

キッチリとした地謡とお囃子にもり立てられ、首尾良く舞えました。


参加者は凄い熱気で、終わった後は質問が絶えません。
大盛り上がりの内ににワークショップは終わりました。


ワークショップの後は、ざざん座メンバー相手に、今度は能装束の着付け講座です。

ざざん座メンバーは、能装束も多く所有しています。
キチンと能装束を着て、素人だけで能公演まで行っているのです。

謡や囃子はどうにかなっても、装束着けには苦労しているようです。

装束着けは、私達玄人でも難しいものです。
長年練習して、何とか習得するものです。

装束着けを勉強したいという熱意には、感心しました。
本当に凄い人達です。

装束着けの講座が終わると、大宴会です。
これが一番盛り上がりました。


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2014年10月18日

茉莉会@沼津御用邸

本日は、沼津・富士のお弟子様の発表会でした。

場所は、沼津御用邸という絶好のロケーション。

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昭和天皇が皇太子時代に勉強していたお部屋「第一学問所」を舞台にして行いました。

 

会員の方々は、良い天気の中で気持ちよく謡い、舞っていました。

 

今回、2年前からお稽古を始めている「しずおか能楽サークル」の会員の方々が、初舞台をふまれました。

元気一杯の初々しい姿で、盛りたてて下さいました。

 

ベテランの方から初心の方まで、それぞれが目標を持って舞台に向けて取り組んできました。

その成果が存分に発揮されていました。

 

やはり発表会って、良いモノだなあとしみじみと思いました。

 

長男・潤之介は、仕舞「高砂」と素謡「富士太鼓」の子方。次男・大志郎は、仕舞「合浦」と素謡「百萬」の子方を勤めました。

 

次男は初めての素謡です。

謡の文句は少ししかないので、問題ありません。大きな声で堂々と謡っていました。

心配だったのが、素謡の間約25分、ジッと正座していられるかです。

子供にとって、動かずに座っていることほど難しいことはありません。

 

でも、感心するくらい行儀よく座っていました。

「キョロキョロしたりゴソゴソ動いたら、ご褒美は無し」と言ってあったのが効いたのでしょう。

 

長男は、「富士太鼓」という難役に挑みました。

この役は、まず謡の分量が多い。そして、シテとずっと一緒に謡わなければならないという点で、なかなか難しい役です。

 

開演前に一回シテと合わせて謡った時は、少々苦労していましたが、本番はバッチリ合っていました。

大役を終えてホッとしていました。

 

さあ、今度は1123日に東京のお稽古場の方々の発表会が控えます。

参加者たちは、目標に向けて懸命にお稽古しております。

 

頑張りましょう。



kuwata_takashi at 23:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)