2014年09月
2014年09月27日
「小督」御礼
だいぶん時間が経ってしまいましたが、先週の日曜日に観世九皐会にて、能「小督」を演じました。
満員御礼の盛況でした。ご来場の皆様、有難うございます。
小督は、能面を使わない能です。
それでは、素顔で生き生きと演技して良いのかというと、そうではなく自分の顔という能面(直面)を着けて演技するのだと言われています。
小督のシテ、源仲国は音楽に秀でた雅な人物です。
役職も、弾正の大弼です。
弾正台とは、警察と裁判所を兼ねたような役所です。その大弼(トップ)ですから、今で言うと警察庁長官や最高裁判所長官ということになります。
自分の顔という能面で演じるには、ハードルの高い人物です。
師匠からも、同じ直面物の「小袖曽我」や「芦刈」のような若い武士ではないので、威厳を持って丁寧に演じなさいと、度々言われました。
装束も、単狩衣に風折烏帽子という貴族の出で立ちです。
品良く、凛々しく演じるように心がけました。
直面物って、難しいです。
能面を着けないので、視界は開けているし、声もハッキリ発声出来ます。そういう点で気分的には楽です。
でも、とても演じ難いのです。
直面をきっちり演じるということは、自分の顔に責任を持つということです。
まだまだ、そんな存在感は持てません。
後でビデオを見てガッカリしました。
桑田貴志の能面を着けた私の顔は、とても見ていられませんでした。
普段、いかに能面に助けられているのか、思い知らされます。
直面物の難しさって、技術的なことではありません。
自分に身に付いている、役者としての風格が求められるのだと思います。
その意識が感じられたことが、今回の一番の収穫でした。
今回終わった後、謡や舞についての注意は色々受けました。
それは、真摯に受け止めて、自分の芸に活かそうと思います。
でも、「どうすれば舞台上で風格を持って演じられるか」
これは、だれも教えてくれません。
こんなことは、教わるものではありません。
自ずと備わるものなのでしょう。
舞台の上での、圧倒的な存在感。
それが無ければ、直面物は成り立ちません。
その高みに、少しでも近づきたいと思います。
2014年09月26日
2014年09月08日
中秋の名月「小督の局」
中秋の名月の今日、残念ながら東京は雨です。
十五夜お月様はお目にかかれそうにありません。
さて、十五夜と言えば、能「小督」です。
少々、強引に話をつなげました。
来週の9月14日に、観世九皐会 定例会にて能「小督」を演じます。
帝から、小督の局を捜すように頼まれた源仲国は、中秋の名月の月明かりの中、嵯峨野を耳を澄ませて闊歩します。
風流を愛する小督の局は、このように美しい名月のもとでは、琴を弾いているに違いないからです。
宮中で一度小督の局と合奏したことがある源仲国は、琴の音を頼りに小督の局を捜し出します。。。
美しい月と妙なる琴の音が、嵯峨野の寂しい風情と相まって、素敵な雰囲気をかもしだします。
たいへん風流な内容です。
只今、稽古は大詰めです。
良い舞台にしたいと思います。
今日見れなかった、十五夜お月様を、来週は能舞台の上で煌々と照らしたいと思っています。
ご来場お待ちしております。