2013年12月
2013年12月31日
2013年 御礼
今年も、残すところわずかになりました。
良い一年だったと思います。
今年は、例年になく多くの能のシテを演じさせて頂きました。
6月2日 桑田貴志能まつり「井筒」
6月9日 九皐会「善界」
8月14日 深川八幡祭 能奉納「高砂」
8月30日 のうのう能「殺生石」
10月22日 県民のための能を知る会「羽衣」
11月3日 岡山後楽能「船弁慶」
12月14日 緑泉会「融」
7番もの能を、心を込めて演じました。
また、11月24日には私の社中の発表会「茉莉会」を、矢来能楽堂にて華々しく開催できました。
1月から3月までは、シンガポールの演劇学校で世界8か国から集まってきた14人の役者たちに能を教えました。
大変でしたが、なかなか得難い良い経験でした。
まだまだ語りつくせないほど色々なことがありました。
まとめて、皆様に御礼申し上げます。
ところで、私の住んでいる地域では、毎年9月に「かかしコンクール」という催しが行われています。
少々時期外れですが、かかしを紹介しながら一年を振り返ってみます。
まずは、大河ドラマ「八重の桜」の八重さん。
一年間、お疲れ様でした。
こんなかかしもありました。
宮崎駿監督は、「風立ちぬ」で監督引退だそうです。
お疲れ様でした。
そして、やっぱり今年は、これですね。
天野春子さんや、なつばっぱを含めて、多くのかかしが道を飾りました。
先ほど、紅白歌合戦に「あまちゃん」出演者が勢ぞろいして、ドラマの中で歌われていた歌を皆で歌っているのを見て、胸がジーンときました。
といっても、私は「あまちゃん」はほとんど見ていません。
キチンと見たのは最後のひと月だけでした。
あまりにまわりで騒いでいるので、チョット見てみたら、すっかりとりこになってしまいました。
朝の連続ドラマをリアルタイムで欠かさず見たのは初めての経験です。
それにしても今年は、「八重の桜」に「あまちゃん」
プロ野球では東北楽天イーグルスが優勝して、高校野球では「花巻東」と「日大山形」の2校がベスト4入り。
東北の年でしたね。
今年、大きなニュースはまだありました。
富士山の世界遺産登録です。
静岡県にお稽古にいっているので、本当に嬉しいニュースです。
また、能「羽衣」の舞台となっている「三保の松原」も土壇場で登録されることになりました。
能楽関係者にとって、こんな有難いことはありません。
早速、能「羽衣」をかたどったかかしが登場していました。
このかかし、出展していたのは外国人のようですが、実によく出来ています。
かかしの前で足を止めて、連日見とれていました。
白の「舞衣」に蓮の花の「天冠」を着けている出で立ちは、「彩色ノ伝」の小書が付いた、最も高い位の演出です。
今年のベストかかしは、これです。
(ここに挙げられたかかし達は、もっと早く紹介したかったのですが、今年の秋は忙しすぎて、ほとんど日記が書けませんでした。
それで、こんな時期の紹介になってしまいました)
さて、来年も張り切って頑張ります。
2013年12月15日
「融」御礼
緑泉会「融」、無事終わりました。御来場の皆様、どうも有難うございました。
この能は、とにかく謡の分量の多い能です。
感覚的には、ずっと謡いっぱなしです。
単調にならないように、段落ごとに強弱をつけてメリハリをきかせるよう心がけました。
総体的には、まあ上手くいったかなあと思います。
もちろん、100%満足なんてことはありません。
現時点で出来ることを精一杯やれたかなあという感じです。
前シテでは、田子(水を汲む桶)の扱いに細心の注意を払いました。
こういった小道具をさりげなく扱うのは、本当に難しいです。
能面をかけていたので、自分では良く分からないのですが、まあ無難にこなせたと思います。
冒頭の「一セイ・サシ・下歌・上歌」の長い謡が最初の関門です。
ここは、去年の稽古能で絶句をしてしまった場所です。苦い思い出のある場所です。
ここで間違えると、完全に苦手意識が植え付けられてしまいます。
長くややこしい文句を、丁寧に謡っていきました。
こういう長い謡は、ダレてしまう癖があるので、なるべく運ぶように心がけました。
その後この能は、ワキとの問答、語り、名所教え、ロンギと次々に難関が待ち受けます。
本当にたいへんな能です。
謡っても謡っても、先は長い・・・・
しかも今回、紐の調整を誤ってしまい、少々頭の痛みをこらえながらの舞台でした。
頭に着ける尉髪か能面の紐を、キツク締めすぎたようです。
たまに、こういう事があります。
たぶん、最初締めた時より、汗で段々と締まってきたのだと思います。
この日は、暖房がよく効いて、舞台はかなり暑かったのです。
またこの能は、ワキの言葉が観世流と下掛り宝生流とはかなり違っております。
その違いに惑わされないように、気を使って謡います。
いつもは、観世流のワキを謡いながら稽古していますので、何だか違和感があります。
気を抜くと、自分の言葉が分からなくなってしまいます。
とにかく、各方面に気を配りながら慎重に演じた前場だったなあと思います。
中入り前に、田子で汐を汲むシーンも、上手くいったようです。
このシーンは、天秤のように担いだ水桶を前後に振って、両方とも舞台に首尾よく倒すという大業をしなければなりません。
田子は、壊れやすいので本物を使って練習することは出来ません。
ぶっつけ本番です。
水桶の振り方や、前へ出て行くタイミングや歩数など、全て事前に綿密に計算してシミュレーションしました。
私は、流れに乗ってアバウトに演じることの多いのですが、この場面はかなり計算しました。
後場は、舞囃子でよく演じられるので、お馴染の舞です。
ベタつかないように、流れよく颯爽と演じました。
今回、もう一番の能が墨敬子師の「胡蝶」でした。
「胡蝶」で舞われる「中の舞」と、「融」の「早舞」は型がほとんど同じです。
こういうときは、「早舞」を変えるのが習わしのようです。
五段構成の長いバージョンで、「替之型」でさせて頂きました。
「替之型」で舞うのは、プレッシャーです。
全体的に廻る型が多くなり、また度々袖を掛けるので、雑になりやすいのです。
丁寧に、かつ颯爽と舞うのはなかなか大変なものです。
「上手い人がやらないと様にならない」
そう言われている「替之型」に、あえて挑戦いたしました。
こういう遊興の舞を上手くみせるコツは、楽しそうに舞うことだと、兄弟子から言われました。
とにかく楽しげに舞ってみました。
実際、なかなか良い気持ちで舞うことができました。
装束も、白を基調とした爽やかな出で立ちでした。
光源氏のモデルとなったイケメン貴公子の源融を、華麗に演じられたかなあ。。。
2013年12月13日
福岡公演
そう書くと、じゃあ中洲で豪遊だねえなんて声が聞こえてきそうです。
確かに昨日は中洲近くのホテルに泊まっていました。
同行の能楽師達は、それぞれ外出していたようです。
私は、土曜日の緑泉会「融」のシテに備えて、ホテルで静養していました。
静養といっても、気持ちは休まりません。
シテが近いので、「融」の文句を謡って無いと落ち着きません。
幸い、部屋の両サイドの能楽師は、どうやら外出してるようです。
ホテル内で、かなり大声で謡ってました。
夕食は、コンビニで済ませました。
暴飲暴食しないように、気を配りました。
シテの前なので、体調を整えなければなりません。
普段は、朝から晩まで申合やお稽古で駆け回っていますが、このツアーでは仕事は昼間の学生能だけです。
地方なので、朝や夜にお弟子さんのお稽古を入れることも出来ません。
仕事は1日1つ。夜は、ホテルでゆったり過ごし、朝はノンビリ。
こんな日々を過ごしているので、体調はすこぶる良いです。
出発時は、肩と背中がパンパンに張って、まともに座れないぐらいでしたが、その張りもおさまりました。
明日は、思う存分に出来そうです。
張り切ってやります。
2013年12月10日
2013年12月07日
「融」申合 終了
来週土曜日、緑泉会にて能「融」を演じます。
忙しかった今年の締めの一番です。
この能は、「源氏物語」の光源氏のモデルの一人と言われたイケメン貴公子・源融をシテとする風流な能です。
全編を通して、月光の輝く能です。月に触れていない場所を探すのが難しいほどです。
日本人の美意識の代表として、古来より「花鳥風月」「雪月花」などと、月は称えられてきました。
その月の美しい光景が、感じられるように、演じたいと思います。
昨日、申合でした。
来週から一週間九州巡業があるので、早い申合となりました。
課題は色々見つかりましたが、幸い時間は一週間あります。
じっくり調整して当日を迎えたいと思います。
連絡が、直前になってしみましたが、ご興味がございましたら、ぜひともお運びくださいますよう、お願い申し上げます。