2013年09月

2013年09月20日

中秋の名月

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昨日は中秋の名月でした。
人生で一番きれいな月を見ました。

昨日は、台風一過で空気も澄み、雲一つない絶好のコンディションでした。

「ああ、これが一年で一番きれいと謂われる中秋の名月かあ。。。。」
しみじみと堪能しました。


ところで、恥ずかしながら最近「中秋」の意味を知りました。

「中秋」とは、文字通り秋の真ん中ということだったのですね。

太陰暦の昔は、月の満ち欠けで暦が定められていました。
1月から3月が春。4月から6月が夏。7月から9月が秋。10月から12月が冬。

この四季の移ろいの中で、七十二節気が定められたのです。

7月から9月の秋の季節で、8月15日はまさに秋の真ん中。
だから「中秋」なのです。

旧暦では新月の日が月初めでしたから、月の真ん中は満月というわけです。

そうか、もう秋の真ん中なのですね。。。。
その割にはまだまだ暑いですねえ。
気分はまだ夏です。

さて、昨日お弟子さんに「融」の謡をお稽古していました。

「秋は半ば、身は既に・・・」という詞章が出てきます。
その時、腑に落ちました。

「そうか、融の舞台は中秋の名月の日なんだ・・・」

すごい今更ですが、そのことに気が付いて、はたと膝を打ちました。

シテが「や。月こそ出でて候へ」と、折から見えた月に深く感じ入るのも納得です。

こんな綺麗な月が見えたら、驚くのも無理はありません。
今後、「や。月こそ出でて候へ」と謡う時の心の中には、昨夜の月が思い浮かぶでしょう。

実体験が、謡を豊かにするのです。

以前、故人となった九皐会の大先輩がこう言っていたという話を聞きました。

「謡が上手くなりたかったら、恋をしなくちゃあだめだよ。じゃないと、恋の謡は謡えないんだよ」

その言葉に、深く納得です。


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2013年09月15日

明大能研 合宿

「としま能の会」の疲れも残る中、翌朝早起きしました。

子供たちは、昨日の舞台のご褒美のオモチャで朝っぱらから跳ね回って遊んでいます。

私は、そそくさと準備して千葉県の岩井海岸にでかけます。
指導しています、明治大学能楽研究部の合宿に行くためです。
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私が在学していたころから、このクラブの合宿の厳しさは特別でした。

朝6時半起床で、体操してマラソン。
その後、声出し発声練習をして、宿に帰ります。
宿では朝の連吟を部員一同で行って、7時半にようやく朝食。

お稽古は、午前中は9時から12時まで3時間。
午後は、1時から7時まで6時間。
1年生は、全て正座して謡の稽古です。

上級生は、日中は1年生の指導などで自分の稽古が出来ないので、夕食後も舞囃子などの自主練習をします。

とにかく、1日9時間も謡の稽古をみっちりやります。
それが4日間続きます。

午前に1曲、午後に1曲お稽古を仕上げた後、4時くらいから、上級生皆の前で素謡を発表させられます。
1年生が間違えると、上級生は容赦なくやり直させます。

2曲終わるまで、夕食は食べられません。

1年生の時は、とにかく毎日9時間の正座が辛くて、泣きそうでした。
合宿が終わった後は、やり遂げた充実感で一杯だったのを覚えています。


私たちが学生だった20年まえと比べると、稽古内容はだいぶんソフトになっています。
ただ、4日間ぶっ通しで稽古することには変わりません。

岩井海岸のすぐ近くという絶好のロケーションで、全く外に出ないで、1日中能の稽古。
そんな青春も、良いものです。


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2013年09月12日

としま能の会

今日は、「としま能の会」。会場は、なんと池袋の東京芸術劇場。
都内でも有数の大劇場です。

IMAG0092IMAG0093_BURST002番組は、観世喜正師の「隅田川」

私の長男が、子方に抜擢されました。

長男・潤之介は、早くも3回目の隅田川の子方です。

この子方は、割りに小さな子がやることが多いので、お声がかかりました。

もう、「隅田川」は慣れたもので本人は余裕綽々ですが、親はそうはいきません。

大事なのは、健康管理です

大人の役だったら、急な代役も可能ですが、子供の代役はそうそう直ぐにいるものではありません。

なるべく風邪をひかせないように、また怪我をさせないように気遣います。

先日の日曜日、九皐会定例会のあと、5時15分から、申合がありました。
日曜日なので、一日遊びまわっていた長男は、少々疲れ気味。

この能は、出番まで作り物の中で1時間くらいずっと待ち続けなければなりません。

私は後見でしたので、後見座から何となく作り物の中をうかがいます。
最初はおとなしく座っていましたが、次第に体が揺れてきます・・・

もしや、、、

案の定、作り物のなかで寝ていました。

ここで懸念が。
当日は、能の開始は8時近くです。
彼の出番は9時くらいです。いつもならもう寝ようかという時間です。

本番で寝られたらたまりません。
当日は、無理やり昼寝をさせて、なるべく疲れさせないようにしました。


当日の楽屋では、やはり緊張していつもと様子が違う長男。
子供ながらに、舞台に出る非日常間のようなものを感じているようです。

もっとも、舞台に出てしまえばなかなか堂々としたものでした。

「隅田川」は悲劇的な終わり方なので、終演後シテが退場する時、満場の拍手は起こりません。
お客様は悲しみの余韻に浸っています。

シテが退場し、引き続いてワキとワキツレが静かに幕にひきます。
そして、最後に子方が中に入っている作り物が退場する時・・・

東京芸術劇場内に、割れんばかりの拍手が巻き起こります。
結果的に、一番おいしいところを持って行ったようです。

子供と動物にはかなわないというのが、テレビCMの常識だそうです。

子供は得だなあ。

ご褒美をもらって、大喜びの長男を見ながら、ぐたっと疲れる私。


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2013年09月09日

「殺生石」御礼

だいぶん、日が経ってしまいましたが、先日8月30日に演じた「殺生石」のレポートを書きます。

「のうのう能」でシテを演じるのは三回目です。
この催しは、今まで能になじみのなかった方々にも能に親しんでもらうことをコンセプトとしています。

そのため、イラスト入りの充実したテキストと、演者による詳しい解説に、装束付けの実演など、サービス満点の興行形態をとっています。

その特徴の一つに、開演時間が挙げられます。
なんと、平日金曜日の7時開演。能が始まるのは8時過ぎです。

お勤めしている方にも見やすい時間帯ということです。

そのコンセプトは、とても素晴らしいと思います。
時間の関係で、なかなか能に親しむことの出来なかった方々が、足を運んで頂けることは、大きな喜びです。

シテを勤める身として、問題となるのは、当日の自身のコンディション作りです。

だいたいにおいて、能公演は昼間に行われます。
その場合、朝ゆっくりして、昼前には楽屋入り。
というスケジュールをとります。

今回は、公演の開始時間は7時からです。楽屋入りはだいたい2時間前が目安なので、5時まで時間が有り余っています。

朝、一度稽古しました。といっても確認程度です。
当日色々やったら本番前までに疲れてしまいます。

ふだん、「のうのう能」の時は、昼間にお弟子さんのお稽古をしたりするのですが、シテの前はさすがにスケジュールを入れませんでした。

すると、5時まで時間を持て余します。
たまった、事務仕事をやろうと思っても、やはりシテの前なので気分が高揚して落ち着いて取り組めません。

とりあえず、次の日31日の素人会の覚え物を始めました。
すると・・・・

猛烈な睡魔が押し寄せてきます。
不思議なことに、覚え物をすると眠くなるのです。

午後からしっかりと昼寝してしまいました。

目が覚めて、苦笑い。。。。

「シテの前に、グーグー寝れるんだから、自分も大物だなあ」

結果的に、疲れも取れスッキリと楽屋入りです。


能「殺生石」は、今回はとても落ち着いて余裕を持って演じられたように思います。

今回は、前場のシテの声の作り方に、こだわってみました。

若く美しい女性なのですが、実は妖孤の精という役どころ。
もともとは、玉藻の前という、天皇に仕えた高貴な女性なのですが、今は田舎の女性。

この二面性を、謡の力で表現したいなあ・・・

そう思っていたのですが、とても満足いく謡にはなりません。

まあ、役者が自分の芸に満足してしまってはおしまいです。
現時点のベストを出せれば良いのかなあ、とは思います。

後半は、いろいろこだわっていた所が、上手くいかなかったところがちょっとありました。

一番は、「殺生石となって・・・」のところです。
ここでは、一畳台に乗って、両袖をかつぐ型をやりました。
格好良く決まったつもりだったのですが、左袖が少々落ちてしまったようです・・・

ううう、残念です。

そういうところが、少々ありました。
注意していても、ちょっとしたところで思い通りにいかないものです。
本当に舞台はナマ物です。


この「殺生石」を演じるのは9年ぶりです。
9年前は、それなりに精一杯の舞台成果だったと思うのですが、今回は少々悔いが残ります。

逆に6月に演じた「善界」は、8年前の残念な気持ちを、何とか晴らすことが出来ました。

長く、舞台を続けていくことは、こういうことの繰り返しなのでしょう。

もっとも、お客様は一期一会です。
今回失敗したから、次に頑張ります。 は通用しません

悔いのない精一杯の舞台を、いつでも目指したいと思います。


今回演じた「殺生石」は、今後能役者としてもうひとつ上のステップに上がる試金石だったように思います。

一度演じているので、気持はラク。
だからこそ、落ち着いた気持ちでより高い段階の能を演じることが出来るのでしょうねえ。

どんな能でも、初演の時は余裕なく演じているものです。
再演のとき、その能の本当の凄味が演じられるのかも知れません。

そういう能を演じていきたいと思います。

「殺生石」、良い経験となりました。


kuwata_takashi at 11:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2013年09月04日

「知恵泉」再放送

先週の8月27日に、先の日記で宣伝しました「知恵泉」が放送されました。

私が、織田信長役で「人間50年・・・」の舞を舞っています。
詳しくは、下記の日記をご覧ください。

http://shitashimu.dreamlog.jp/archives/51915628.html

自分で言うのもなんですが、なかなか格好良く映っていましたね。
「人間50年・・・」の謡も、私の声です。


「あ、そうだった。見るのすっかり忘れていた」
という方、再放送もあります。

http://www4.nhk.or.jp/chieizu/x/2013-09-05/21/28387/

上記のNHKホームページで確認してください。

9月6日(金)の午前2時10分から3時05分まで。NHK総合テレビで放送されます。

6日の午前2時ということは、5日の夜中ということです。
つまり、明日の夜中です。

見るのはつらい時間ですので、録画してご覧ください。



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