2012年05月

2012年05月27日

許せないこと

文楽の記事を書いているうちに、ふつふつと怒りが湧いてきて、もう抑えることが出来ないので、連続で書きます。

こんなに面白い文楽。
日本が生んだ、世界に誇る文化だと思います。

その文楽が、危機を迎えています。

例の、橋下大阪市長による、文楽の補助金カットです。

橋下市長いわく、
「公金を入れないと成り立たないのは文化ではない」
「文化団体に補助金を出すなら、コンクールで賞金を出した方がいい」

まったく呆れる。
それだったら、世界中の文化が滅びてしまいます。
コンクールとかいう、競争原理と市場原理に任せていると、商業主義のものしか残りません。

どうも、文楽を一度観たけど面白くなかったというのが、補助金カットの理由だそうだ。

大阪の生んだ世界に誇る文化を、ないがしろにする市長の横暴ぶりを、大阪市民はさぞかし怒っているのかと思いきや、けっこう喝采をうけているらしい。

基本的には、「こんなに景気悪いんだから、文楽なんかにお金使わないで、俺らに回せ」

という声が圧倒的だそうだ。。。。。

何という情けなさ。民度が低すぎます。


自分が住んでいない自治体の首長のことをとやかく言ってもしょうが無いのですが、この市長、本当に問題が多い方です。

卒業式や入学式で、国歌を歌っているかどうか、教員の口元をチェックさせたり、大阪市の全職員に、共済組合との関わり方を提出させたり、刺青をしていないかどうか調べたり・・・・

やっていることは、高校の生活指導の先生と同じです。


私が一番許せないのは、橋下市長率いる大阪維新の会が提出した条例案
「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因」

つまり、「子供の発達障害は、親の愛情不足」と言い放った例の暴言です。

これについては、さすがに橋下市長はすぐ否定しましたね。
これはあまりにひどすぎるから、「自分は関係ない」、「自分の知らぬところ」で逃げたいようである。

発達障害は、先天的な脳の障害で、親の生育の仕方とは全く関係ないというのは、常識となっています。

そうは分かっていても。小学生の中で7%はいると言われる発達障害児の親たちは、「自分の育て方が悪かったのだろうか」と、自分を責めてしまうものです。

その親御さんたちの気持ちを踏みにじる条例案には、呆れるというより腹立たしい思いで一杯です。


橋下市長に一貫しているのは、競争原理と弱者切り捨てのように思います。
自分は、競争社会で勝ち抜いてきたからといって、弱いものには冷たいように思います。

そんな人物を、大喝采して次の総理大臣候補にまでまつり上げているのが今の日本人です。
ブームに乗せられず、冷静に物事は判断したいものです。


あまりに腹が立ったので、少々きつい言葉で、気持ちを述べさせていただきました。


kuwata_takashi at 01:09|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2012年05月26日

文楽三昧

先日、何とか時間を作って国立劇場に文楽公演を見に行きました。

私が文楽好きなのは、この日記でも度々書いています。
東京で文楽公演がある時は、なるべく時間を作って行っております。

今月は、欲張って一部二部通しで観ました。朝11時から、夜8時半までぶっ通しです。

「えー!! そんなに観たら疲れません?」

全く疲れません。

そもそも、普段は朝10時から夜の10時まで能の稽古をしています。
そう思うと、一日中文楽観るぐらいのことは、普通かなあと思えます。

一日観ていると、いろんな事が感じられます。
私は文楽を観ても、だいたい義太夫の太夫しか見ません。
とにかく、義太夫を聴いているのが面白いのです。

今までは人形にはほとんど目を向けなかったのですが、今回初めて人形に目が釘付けになりました。

いつものように、義太夫に耳を傾けながら、ぼんやりと人形を眺めていました。
その人形が舞台へ入ってくると、空気が変わりました。
人形なのに、オーラをまとい、大変な存在感です。

「何なんだ、、、、 この人形は」

その人形とは、「艶姿女舞衣」の「酒屋の段」の「お園」です。
そして、配役表に目をやって納得。
主遣いを勤めていたのは、人間国宝・吉田蓑助師です。

後で調べると、「お園」は世話物を代表する役柄だそうです。
吉田蓑助師が遣う人形は、今まで何度も観ていますが、こんな経験は初めてです。

「文楽人形は、人間が演じるより人間らしく見える」などとよく言われますが、それを実感しました。
文楽を観る引き出しが、また増えたように思います。


また最近、ひそかに文楽の三味線・太棹の力強い響きに心奪われています。
能にない、弦楽器の響きって良いなあと、しみじみ思うようになりました。

とにかく義太夫をひたすら聞いていた鑑賞の仕方が、少し変わったかなあと思います。

これも、一日中観ていたから感じるのでしょうね。
当り前ですが、文楽は、義太夫と三味線と人形が織りなす総合芸術です。

文楽を観にいって、ひたすら義太夫を聴いているのは、能を観にいっても全く舞台を見ずに、謡本を開いてひたすら謡ばっかり聞いている人(首本党)と一緒なのでしょう。

色々な楽しみが加わり、観るたびに、ドンドン文楽が楽しくなってきます。

良い一日でした。


kuwata_takashi at 23:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2012年05月09日

しずおか能楽サークル

今日より、新しいお稽古場「しずおか能楽サークル」がスタートです。
場所は、静岡県富士市のロゼシアター。

2001年から、静岡県沼津市でお稽古をしております。2008年には富士市、2010年には富士宮市と、静岡県にてお稽古場を開設しました。

ただ、これまでは個人稽古しか受け付けておりませんでした。

かねてから団体稽古のご要望が多かったので、この度開設することにしました。

沼津・富士・富士宮の中間点である富士で行うことにしました。
多くの方に参加していただきたいと思います。

ただ今、創立会員募集中です。
ご興味のある方は、お問い合わせ下さい。


kuwata_takashi at 23:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)